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日本の近代化と社会変動 テュービンゲン講義 講談社学術文庫
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日本の近代化と社会変動 テュービンゲン講義 講談社学術文庫

富永健一(著者)

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日本の近代化と社会変動 テュービンゲン講義 講談社学術文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 講談社
発売年月日 1990/12/10
JAN 9784061589520

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商品レビュー

4.3

3件のお客様レビュー

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2022/03/13

著者みずからの近代化にかんする理論にもとづいて、日本社会の近代化のプロセスをたどった本です。 テンニースは、「ゲマインシャフトからゲゼルシャフトへ」ということばで近代化を特徴づけましたが、彼の視野は西ヨーロッパのみにかぎられており、非西洋社会における近代化に対する考慮は払われて...

著者みずからの近代化にかんする理論にもとづいて、日本社会の近代化のプロセスをたどった本です。 テンニースは、「ゲマインシャフトからゲゼルシャフトへ」ということばで近代化を特徴づけましたが、彼の視野は西ヨーロッパのみにかぎられており、非西洋社会における近代化に対する考慮は払われていませんでした。ウェーバーは、『宗教社会学論文集』において儒教や道教、あるいはヒンドゥー教と仏教についての議論を展開していますが、プロテスタンティズムの倫理が近代化において果たした役割を重視する彼の理論では、近代化は西洋に固有の事態としてとらえられています。たしかにウェーバーの時代には、西洋以外の社会で近代化を実現した国はなく、西洋からの文化を受け入れることで近代化に成功した日本も、当時はまだようやく産業化の初期段階に到達したにすぎませんでした。しかしいまや、日本以外の国々もしだいに近代化を果たしつつあります。こうした状況を受けて、非西洋社会における近代化をも説明するような、より包括的な近代化理論が求められていると著者は論じています。 従来の日本における近代化にかんする議論は、単線的発展論か日本特殊論という二つの見かたに終始していました。著者は、経済的側面(産業化)、政治的側面(民主化)、社会的・文化的側面(自由・平等・合理主義の実現)という三つの観点から、西洋社会の近代化と日本社会の近代化を比較するとともに、単線的発展論とも日本特殊論とも異なる近代化の理論を提出しています。そして、日本では上からの近代化によって経済的側面の産業化は実現されたものの、政治的側面の近代化の歩みは遅く、文化的・社会的側面の近代化はなかなか進んでいないという指摘がなされます。

Posted by ブクログ

2011/10/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

経済だけにこだわらず、社会学や多方面から日本の近代化を記した良著。日頃から、「やはりそうだったか。」と思わせる記述が多い。 日本は明治維新で近代化を成し遂げたとするが、その精神は「和魂洋才」というように精神としては非近代的なものであったこと。 また昭和維新など資本主義に対する敵意は、民衆の間にもあったこと(とはいえ暴力に依る解決は正当化され得ないだろうが。また一部の左翼政党は軍部と結託していたのもある意味納得できるかもしれない。)。 またいわゆる「日本的経営」は、第一次大戦と第二次大戦の間にあらわれたこと。これは労働運動の高揚や公共などが重なったことが、要因である。 戦後のいわゆる高度成長は、戦前までは「国家のため」であったが、それ以後は「自分が豊かになるため」という目的にすげ替えられ、それが要因となったこと。 またこの近代化理論は、マックス・ヴェーバーの理論が随所に現れ、一概な「経済史たる側面」に釘を指しているし、マルクスの理論は一面的であることを示す。彼のいう「上部構造の反作用性」は、日本では顕著に現れているであろう。

Posted by ブクログ

2010/06/24

●構成 Ⅰ 近代化理論と日本社会 Ⅱ 日本の近代化 Ⅲ 日本の社会的近代化と社会構造変動 --  現在は先進諸国として自他ともに認めている日本であるが、その近代化は明治維新後になされたとする見方が一般に少なくない。  本書は、この日本の近代化という事象がいつどのように達成されたの...

●構成 Ⅰ 近代化理論と日本社会 Ⅱ 日本の近代化 Ⅲ 日本の社会的近代化と社会構造変動 --  現在は先進諸国として自他ともに認めている日本であるが、その近代化は明治維新後になされたとする見方が一般に少なくない。  本書は、この日本の近代化という事象がいつどのように達成されたのかについて、社会学の手法を用いて、理論的枠組みを通して歴史を分析することにより詳述する。  まず、表題にある「近代化」と「社会変動」、さらには「近代」と「社会」と「変動」の語の意味するところについて厳密に定義づける。その上で、これまで様々な社会学者によって提示されてきた様々な近代化理論が日本の近代化の解明について適合できるか否かを一つ一つ考察する。そして、近代化の先駆者である西洋諸国から近代化の伝播が生じることで、非西洋後発国の近代化が成されること、近代化は「産業的近代化」・「政治的近代化」・「社会的-文化的近代化」の各サブシステム毎になされること、なかでも産業的近代化がもっとも達成しやすく社会的-文化的近代化がもっとも達成しやすいこと、また一般に近代化は、産業的近代化が「上から」(=政府など)なされることに対して政治的近代化及び社会-文化的近代化は「下から」(=民衆など)なされることを示す。  この近代化理論に基づき、3つのサブシステムの観点からから日本の各時代の史実を分析し、産業的近代化については明治維新以降に「上から」始まったが、政治的近代化は第二次大戦終結後に、また社会的-文化的近代に至っては高度成長期以後に、本来ありえないはずの「上から」達成されるという、西洋諸国とは異なる形で近代化が成し遂げられたと結論付ける。  理論的な、丁寧で厳密な記述であり、気軽に読める本ではないが、腰をすえて一言一句大切に読めば十分理解できる内容である。また「歴史学は過去を通じて現代を理解する学問」であることを、社会学の手法で明快に示している好著である。

Posted by ブクログ

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