密教の読み方 徳間文庫

ひろさちや(著者)

• 販売会社／発売会社: 徳間書店
• 発売年月日: 1990/04/15
• JAN: 9784195990636

商品レビュー

2015/02/08

90年の作。小乗仏教と大乗仏教、顕教と密教、自力仏教(禅宗)と他力仏教(浄土宗)と密教(両者の統合)など、仏教のフレームを大きく捉えて、歴史と教理を分別した上で双方の視点から解説を試みています。

平易な語り口のため一部で"仏教芸人"などと揶揄されることもある筆者ですが、それだけに僕のようなシロウトにもとっつきがよいところです。

○凡夫がほとけになって、それからほとけらしく生きるという考え方は、基本的に顕教の考え方で密教のそれではない。密教では、わたしたちはいきなりほとけになって生きるのだ。「即身成仏」(この身このままでほとけになる)ということばが密教にあるが、それがこういう意味だと思う。

○密教は「秘密仏教」である。…一つは、「如来秘密」である。仏の教えが難解であり、秘密めいているということである。密教の教えは、顕教の教えのように、化身仏が時間的・空間的や真理(法)を解釈・翻訳して、それを私たち衆生に教えてくださるものではない。大日如来の悟りの世界そのままに表現されたものが密教である。

○「凡夫イコール仏陀」
なのである。迷える凡夫がそのままで仏陀であるーそれが密教の考え方である。したがって、凡夫が自分のうちにある仏性を磨きあげようというのは、密教の考え方ではない。