知的な痴的な教養講座

開高健(著者)

• 販売会社／発売会社: 集英社
• 発売年月日: 1990/03/10
• JAN: 9784087801125

商品レビュー

2013/01/13

(1990.07.14読了)(1990.06.10購入)
（「BOOK」データベースより）
「一本のワインには二人の女が入っている。一人は栓をあけたばかりの処女、もう一人は、それが熟女になった姿である」―。酒、食、色、人、エトセトラ。恐怖の博覧強記作家・開高健が知性と痴性をブレンド、男の世界の森羅万象を語り尽くす教養エッセイ50章。1ページに一度はニヤリと笑い、ウーンと唸ります。

☆開高健さんの本(既読)
「オーパ！」開高健著、集英社文庫、1981.03.25
「輝ける闇」開高健著、新潮文庫、1982.10.25
「もっと広く！(上)」開高健著、文春文庫、1983.12.25
「もっと広く！(下)」開高健著、文春文庫、1983.12.25
「破れた繭」開高健著、新潮文庫、1989.12.20
「夜と陽炎」開高健著、新潮文庫、1989.12.20
「シブイ」開高健著、TBSブリタニカ、1990.05.08

2012/06/17

教養とはむずかしいものですが、あって生活のためになるものではなく、生活を豊かにするものだと考えています。

2012/05/08

　週刊プレイボーイに連載されていた開高健氏のエッセイ集。題名通り、数々の本や史実からの知識と見聞が詰め込まれているエッセイ集である。「痴的」という言葉から想像できるように下ネタも多くあるが、それがいやらしい印象を与えず、紳士のユーモアとして上品に機能している。下ネタの文章でよく見受けられるような脂ぎった、欲望を過剰に刺激しようとする押しの強い文ではない。程よい刺激なのである。他にもお酒や煙草、料理から戦争、侵略、世紀末など幅広く、しかし男の色を添えたエッセイである。
　知識を多く詰め込んだ書物は、その堅い文章から、興味が無い人や慣れていない人には退屈に思えてくることがあると思う。そこに知識に裏打ちされたユーモアを混ぜることによって、多くの読者を惹きつけることができるのだろう。澁澤龍彦氏のエッセイ然り。開高健氏の語り口は面白い上司や酒場にいるおじさんのように陽気な笑顔であるが、スマートである。敵には回したくないような鋭さも併せ持っているのだ。