- 中古
- 書籍
- 文庫
無知の涙 河出文庫BUNGEI Collection
定価 ¥1,408
550円 定価より858円(60%)おトク
獲得ポイント5P
在庫なし
発送時期 1~5日以内に発送
商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 河出書房新社 |
発売年月日 | 1990/07/04 |
JAN | 9784309402758 |
- 書籍
- 文庫
無知の涙
商品が入荷した店舗:0店
店頭で購入可能な商品の入荷情報となります
ご来店の際には売り切れの場合もございます
お客様宅への発送や電話でのお取り置き・お取り寄せは行っておりません
無知の涙
¥550
在庫なし
商品レビュー
3.1
29件のお客様レビュー
永山則夫(1949~97年)は、北海道網走市で、8人兄弟姉妹の第7子(四男)として生まれ、幼い頃に父親は家からいなくなり、母親や兄弟からも疎まれて育ち、小学校、中学校にはほとんど通わなかった。集団就職で上京した後、仕事を転々としながら、ときに窃盗事件を起こし、また、外国船に乗って...
永山則夫(1949~97年)は、北海道網走市で、8人兄弟姉妹の第7子(四男)として生まれ、幼い頃に父親は家からいなくなり、母親や兄弟からも疎まれて育ち、小学校、中学校にはほとんど通わなかった。集団就職で上京した後、仕事を転々としながら、ときに窃盗事件を起こし、また、外国船に乗って密航を企てたりしたが、一時通った明大付属中野高校夜間部では上位の成績だったという。そして、1968年、19歳のときに、在日米軍・横須賀基地内の住宅で盗んだ小型拳銃を使って、4件(東京都・京都市・函館市・名古屋市)の連続殺人事件を起こし、最終的に死刑判決を受け、1997年に死刑が執行された。 本書は、ほとんど学校に通うことのなかった(高校の一時期を除き)永山が、拘置所の中で、本を貪るように読みながら、1969年7月~1970年10月の一年余りの間に、自分の思いを大学ノート10冊に書き綴った手記で、1971年に出版された。出版直後からベストセラーとなり、1970年代前半は、本書を持ち歩くことが「反権力」を通す若者にとって、ある種のファッションだったともいう。永山は、その後も獄中で小説家として創作活動を続け、小説の『木橋』(1983年新日本文学賞受賞)、『捨て子ごっこ』等を残した。 私は、随分前に、堀川惠子氏の『死刑の基準』を読んで、永山と連続殺人事件のことを詳しく知り、そのときも本書には興味が湧いたものの、(パラパラめくってみて)読み切る自信がなくて止めたのだが、今般、新古書店で手に入れ、評論家・秋山駿氏の解説を参考にしつつ、飛ばし読みしてみた。 ページをめくり終えて、まず驚いたのは、思索のボリューム・密度と、わずか一年余りでのその向上ぶり(という言い方が適切かは疑問だが。。。)であった。全体のイメージとしては、ノート4までは、自分の思いついたこと・感じたことを、詩の形式で断片的に描いたものが多く(義務教育もまともに受けておらず、文章を書く力がなかったのだろう)、ノート5あたりから、本を読んで得た言葉・表現や知識(ドストエフスキー、カント、フロイト、マルクス等の著書を次々と読んでいるのだ)を使って、人の生や社会・世界について自分の考えたことを、散文形式で表現するようになっている。 そして、犯罪者の手記として最も知りたいことは、当然ながら、なぜこのような凶悪犯罪を起こしたかであるが、この事件は典型的な「動機・理由なき殺人」と言われ(幼少期からの不遇が背景との分析は為されたが)、その原因は永山本人にすらわからず、秋山氏によれば、この手記は、「いったいそこに何が在ったかへの、なぜ自分がそこにいたのかへの、果てのない追求の手記」なのである。そういう視点で見た場合、最も気になるのは、ノート5の「この108号事件は私が在っての事件だ。私がなければ事件は無い。事件が在る故に私がある。私はなければならないのである。・・・死刑になるなら自殺した方が最良だと考えた・・・自殺は出来なかった。・・・世論の同情する私であるために出来なかった。」という文章なのだが、これは、その後も後を絶たない無差別殺人の犯人がしばしば口にする、「注目される事件を起こして、死刑になりたかった。相手は誰でもよかった」という考えと大きく違わないようにも聞こえる。 永山は、もともと知的作業に向いた知力を持ち、それ故に、驚くべき短期間で思索し、それを表現することができるようになったが、これは、間違いなく永山に特有のことであり、本手記に散りばめられた様々な思索は、他の動機・理由なき凶悪犯罪に通じるのだろうか。。。 本手記をどう読む(べきな)のか。。。現時点ではよくわからない。 機会があれば、永山の書いた小説を読んでみたいと思う。 (2024年5月了)
Posted by
読後は「ピストル魔の少年」と軽々しく呼ぶ事は憚られる。時代が違いヒップホップに出会っていたら…と夢想せざるを得ない。
Posted by
読み書きがまともにできなかった著者の学びへの執念の凄さを突きつけられた。自己を見つめ、社会に問いかけ、考えたことがびっしりノートに書き綴られている様は圧巻だった。本当に読み書きできなかったの?と疑ってしまうほど。左に偏る思想は賛同しかねるが、言いたいことはわかる。客観的に見たら罪...
読み書きがまともにできなかった著者の学びへの執念の凄さを突きつけられた。自己を見つめ、社会に問いかけ、考えたことがびっしりノートに書き綴られている様は圧巻だった。本当に読み書きできなかったの?と疑ってしまうほど。左に偏る思想は賛同しかねるが、言いたいことはわかる。客観的に見たら罪を犯したことは事実。遺族を思えば当然の判決なのかもしれない。だけど…だけど…と思わされる1冊だった。答えは出ない。
Posted by