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スミヤキストQの冒険 講談社文芸文庫
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スミヤキストQの冒険 講談社文芸文庫

倉橋由美子【著】

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スミヤキストQの冒険 講談社文芸文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 講談社
発売年月日 1988/02/10
JAN 9784061960060

スミヤキストQの冒険

¥825

商品レビュー

3.7

14件のお客様レビュー

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2010/05/28

ある島の感化院の練師…

ある島の感化院の練師となったQ。院長、主事、ドクトル、看護婦と、奇妙な人物がQを惑乱させる。独特な文体のせいで読者の頭はさらに惑乱。

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2010/05/28

スミヤキ党員Qが孤島…

スミヤキ党員Qが孤島の感化院で奮闘する。風刺小説でもあります。

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2025/01/01

革命をめざす前衛党に所属するQは、H感化院の練士に就職し、そこで「スミヤキ党」の教義にもとづく活動をおこなうことをもくろみます。ところが、彼には仕事らしい仕事はあたえられず、ほかの練士にならって院児たちの「巡回」をおこなうものの、その方法も目的もまったくあいまいでした。Qは、彼の...

革命をめざす前衛党に所属するQは、H感化院の練士に就職し、そこで「スミヤキ党」の教義にもとづく活動をおこなうことをもくろみます。ところが、彼には仕事らしい仕事はあたえられず、ほかの練士にならって院児たちの「巡回」をおこなうものの、その方法も目的もまったくあいまいでした。Qは、彼の奉じる唯物論の立場において、活動の足場となるべき「労働」の実態すらも明確につかむことのできません。そればかりか、感化院では院長の体剃りをはじめ、常識はずれの奇妙な慣習と規律が行きわたっており、Qはそれらの事態に対して教義にもとづく解釈をくだし、活動の方針を定めようと、むなしい努力をつづけます。 やがて感化院では、院児たちの反乱が起こり、Qも騒動に巻き込まれることになります。彼は、抑圧された院児の解放に同調し、彼らの抵抗運動を革命へ向けて組織することを試みますが、彼のことばは院児たちにとどくことはなく、なすすべのないまま感化院を去っていきます。 唯物論に立脚する左翼理論が観念的なことばの肥大化をもたらすことを素材にして、パロディとアイロニーを駆使する作家である著者がその資質をぞんぶんに発揮して見せた作品といえるように思います。Qが実践するスミヤキ党の理論闘争は、カフカ的な官僚機構をその巨大な肉体によって象徴される院長の観念体系のうちに埋没し、そればかりか同僚の練士である神学者や文学者、あるいは確率論的世界観と決定論的世界観の対立を回転円盤ゲームと競犬の考案者たちの観念世界のなかに紛れ込んで引っ張りまわされます。他方で、現実の世界における院児たちの反乱が、彼らの観念遊戯とはまったく無関係に起こることで、Qの滑稽さが浮き彫りにされています。

Posted by ブクログ