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ケンブリッジのエリートたち
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ケンブリッジのエリートたち

リチャードディーコン【著】, 橋口稔【訳】

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ケンブリッジのエリートたち

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 晶文社
発売年月日 1988/01/14
JAN 9784794957610

ケンブリッジのエリートたち

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2011/04/12

”自分の国を裏切るか、自分の友人を裏切るか、どちらかを選ばなければならないとしたら、国を裏切る勇気を持ちたいと思う。 ─── E.M.フォスター” 映画『アナザー・カントリー』を見る前に、グレアム・グリーンの『ヒューマン・ファクター』を読んでいた。ジョン・ル・カレの『ティンカ...

”自分の国を裏切るか、自分の友人を裏切るか、どちらかを選ばなければならないとしたら、国を裏切る勇気を持ちたいと思う。 ─── E.M.フォスター” 映画『アナザー・カントリー』を見る前に、グレアム・グリーンの『ヒューマン・ファクター』を読んでいた。ジョン・ル・カレの『ティンカー・テイラー・ソルジャー・スパイ』、『スクールボーイ閣下』も読んでいた。これらはフィクションだが、ある人物が国を裏切るとはどういうことなのか、国を裏切ってまで貫き通す信念とは何なのか、そんなことを考えさせてくれるストーリーであった。 だから実在のスパイ、ガイ・バージェスを描いた『アナザー・カントリー』は、よく比較される『モーリス』よりも遥かに気に入っている。 この本はその『アナザー・カントリー』の背景とガイ・バージェスについて知りたくて買ったものだ。 リチャード・ディーコンの『ケンブリッジのエリートたち』はケンブリッジの秘密結社、いわゆる「ケンブリッジ使徒会」についてレポートしている。詩人のテニスン、哲学者ラッセル、ヴィトゲンシュタイン(墺出身)、経済学者ケインズ、文学者リットン・ストレイチー、E.M.フォスター。これらイギリスを代表する知識人たちはケンブリッジ使徒会のメンバーであった(ブルームズベリー・グループとも関係のある人物が多い)。 そして『アナザー・カントリー』のモデルになったガイ・バージェス、王立美術館鑑定官であったアントニー・ブランドもこの使徒会に所属していた。 この1820年に創立されたエリート中のエリートたちの秘密結社は、次第に秘密結社特有の密やかな「信条」が形成されていった。それは大学教会からの独立、徴兵忌避、そしてプラトニック・ラブ、つまり同性愛志向である。これらは当時、どれも極めて重大な反社会的、反国家的な行為である。 ここにバージェスやブラントらの実際のスパイ事件が起る。 この本の筆者リチャード・ディーコンは、ケンブリッジ使徒会がそのスパイ事件の温床であったことを中心に、この歴史ある「秘密結社」を紐解いていく。 よって訳者の後書きにも書いてあるように、筆者のスタンスは、使徒会についてかなり批判的である。バージェス、ブランドを強く攻撃している。使徒会のメンバーとかかわりのあったブルームズベリー・グループを辛辣に評している。 しかし、この本ほど使徒会についての本質を非常に的確に一級の資料でもってまとめた本は(少なくとも邦訳書の中では)見当たらないと思う。ここには使徒会の会員名簿まで付いてある。 確かにこの本では一貫して使徒会と同性愛の関係を率直に語る一方、タブロイド風のスキャンダラスなアウティングも行っている(あのケインズが同性愛者だと知っていたら、マクロ経済学をもっとマジメに勉強したのに…)。使徒会をときに「同性愛のマフィア」と呼ぶなど毒のある表現も見られる。 それでもこのアウティングが単なる中傷よりも、「高級なゴシップ」と読めるのはさずがである。ガイ・バージェスが同性愛の手柄話を自慢していたことや(そういえば『アナザー・カントリー』でもガイ役のルパート・エヴァレットが大胆な行動を諌められるシーンがあったように思う)、ヴィトゲンシュタインが自分のお気に入りの男を奪われそうになったゴシップなど、どこか微笑ましい感じがする。 何よりこの本では「高級なソドミー」という章があるだけでなく、全編にわたって同性愛のゴシップに彩られている。 もっともリチャード・ディーコンは同性愛の擁護者ではないので、ある程度距離を置いて本書を読まないと、彼一流の術中に嵌る可能性がある。ジョンソン博士の主張を引用した下の文章はその一例だろう。 ”許容度を高めたわれわれの社会は、かつては周辺にあった同性愛を、社会構造の合法的な一部にすることによって、その社会的価値を、知らず知らずのうちに犠牲にしてしまっているのではないでしょうか? われわれの兄弟アナンは、同性愛を罪だとする法律を、人間の自由のために改正しようと、長いこと努力しました。その結果、疑いもなく、より人道的で、受容度の高い社会がつくられました。しかし、それはよりよい社会なのでしょうか? より寛容ではあっても、面白くも愉しくもない社会になるのではないでしょうか。──中略──そしてもし女性までが男性との平等をかち得てしまったら、われわれの文化と社会は、死んだアヒルとなるでありましょう。” [関連] ●MI5、ゲイの情報員を「公式に」募集 http://d.hatena.ne.jp/HODGE/20080831/p2 ●ディスインフォメーション ~リチャード・ディーコン『情報操作』 http://d.hatena.ne.jp/HODGE/20060924/p4

Posted by ブクログ

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