死ぬときはひとりぼっち

レイブラッドベリ【著】, 小笠原豊樹【訳】

• 販売会社／発売会社: サンケイ出版
• 発売年月日: 1986/06/10
• JAN: 9784383024938

商品レビュー

2020/02/19

いつものブラッドベリとは趣の違う作品。
読み始め、これは南米の作家が書いた作品かと思ってしまった。

確かに現実の出来事しか書いていないはずなのに、なぜか時間軸が、空間の距離が、濃密の空気の中で捻じれていく。
マジック・リアリズム？
そう思って読むと、実はそれほどマジック・リアリズムでもないのだけれど。

主人公は売れない小説家なのだけど、海辺のさびれた街と朽ちかけたカーニバル。
どこかエキセントリックな登場人物たちは、淋しさを埋めるかのように、何かにこだわり続ける。
音楽、映画、悲しみに溢れた本。

カーニバルが舞台のせいか、フレドリック・ブラウンの『エド・ハンター』シリーズを彷彿とさせるところもある。
ブラッドベリの書いたハードボイルドという評価もあるようだけど、どうだろう。
主人公も犯人も、決してタフではないと思う。

人は弱いから、一人では生きていけないから、誰かと繋がっていたいのだ。
死ぬときはひとりぼっちかもしれないけれど、生きているうちは。
いや、死んでからも。

”さあ出て来い。私はみんなと一緒にここで待っている。”

2018/11/11

2012/6/7　ニュース　　「華氏451」や「火星年代記」などでお馴染みのSF作家レイ・ブラッドベリ氏が91歳で死去した。彼の娘であるアレキサンドラ・ブラッドベリが発表したことで明らかになった。
レイ・ブラッドベリ（Ray Bradbury, 本名:Raymond Bradbury, 1920年8月22日 - 2012年6月6日[1]）は、アメリカ合衆国の小説家（SF作家、幻想文学作家、怪奇小説作家）、詩人。
レイ ブラッドベリは、大好きな作家。　　→　http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%83%BB%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%83%E3%83%89%E3%83%99%E3%83%AA 〜 レイ・ブラッドベリ - Wikipedia
たぶん、この本が　最初に読んだ作品で、それから何冊も読むことになった。
なんとも　不思議だけれど奇想天外というわけではなく　優しい気持ちに包まれる作品。

いつごろ読んだか？・・・。　ずいぶん前です。　もう一度読んでみよう！

内容　：
夜霧に沈む港町。住民が怪死を遂げてゆく。その謎を追う男は迷宮に迷いこむ…。
名匠の静かな叙情が冴え渡る幻想探偵小説。
「黄泉からの旅人」「さよなら、コンスタンス」へと続く、ハードボイルド三部作の第一作。

著者　：　レイ・ブラッドベリ
１９２０年アメリカ生まれ。アメリカで最も名高い小説家。映画や演劇の脚本も執筆。
米国ナショナル・ブック・アウォードなど数々の賞を受賞。
著書に「華氏４５１度」「たんぽぽのお酒」など。