こいのうた フラワーC

彬聖子(著者)

• 販売会社／発売会社: 小学館
• 発売年月日: 2004/05/26
• JAN: 9784091353177

商品レビュー

2023/02/24

5552さんの本棚から気になって穂村さん繋がりだったので、たまにはコミックもいいかなと思い、古本で購入。
「穂村弘さんの鋭く、息を止めるような心臓をぎゅっと掴まれるようなうたの世界」を扱った、ハッピーエンドの３つの短編物語。あの短歌からこのような物語が生まれるのかと感嘆。遠い昔の乙女チックなキラキラした学生時代の恋愛で、こっぱずかしさもありつつ甘々な清涼飲料水を飲んで若返ったような気分。

2022/12/25

天才歌人穂村弘（ほむら・ひろし）の短歌と正統派少女マンガ家彬聖子（あきら・せいこ）がコラボレーション！

穂村さんが少女漫画に強い影響を受けたことは知っていたけれど、まさか彼の短歌を小道具として使って描かれた少女漫画があったとは。

穂村弘の短歌がゆるやかにつなぐお嬢様高校・鈴女の生徒が主人公の連作短編三作品と、全然短歌と関係ない読み切り『ハルノシルシ』が一篇。

キラキラとした輝きに満ちた高校生の恋愛に照れます。

『終バス』
鈴女に通う咲子はある日通学のバスの停留所のベンチにこんな落書きがされているのをみつける。
「終バスにふたりは眠る紫の＜降りますランプ＞に取り囲まれて」
穂村弘の短歌だ！と、すぐに気づく咲子。
なぜならよくそのベンチで穂村弘の歌集を読んでいたからだ。
咲子はその歌集から一首を選びベンチに書き込んでみる―――。

『片思いの姫』
えりなは実家が大金持ち。
“自慢じゃないけど欲しいものはたいてい手に入るお嬢様”。
そんな彼女には気のおけない仲の幼なじみの栄太郎がいる。
彼はえりなが幼い頃告白をしたたったひとりの相手で、その思い出を今でも大切にしている。
でも、父親に顔良し、性格良し、家柄良しの修一を紹介され―――。

『Before kiss』
早智は物理の森崎先生と学校で皆に内緒でキスをする関係。
“それをちょっとゲームみたいに面白がっていた”早智。
あらたなスリルを味わうため森崎にこう持ちかける。
“どうせ規則を破るならもっともっとスリルがあって楽しいことしませんか”
その言葉に乗った森崎と学校の外で会うことにするが―――。

いずれも穂村弘の歌集『ラインマーカーズ』からチョイスされた短歌が重要な小道具として描かれている。
誰かを好きだという気持ちが短歌と出会うとき、その短歌は一瞬で真空パックされ、色あせることなく、その人の人生の中で輝くのでしょう。

ちなみに穂村さんは高校のときは天文部で趣味は立ち読み。ガールフレンドなどいなかったそう。
その時の（恋愛的に）不遇の時代も、歌人穂村弘をつくったんですね。

2022/09/10

穂村弘さんの短歌と少女漫画のコラボレーション。甘酸っぱい話でした。 「終バス」が好きです。 恋に一生懸命な男の子ってかわいい。