未来人カオス(愛蔵版)(2) 講談社Cグランドコレクション

手塚治虫(著者)

• 販売会社／発売会社: 講談社
• 発売年月日: 1996/03/01
• JAN: 9784063134155

商品レビュー

2023/09/02

友情がテーマの物語。友人に手をかけられた主人公が、ある存在の意思によって蘇り、宇宙を舞台に、異なる性別や人種と交わりながら物語は進んでいきます。
主人公は、猪突猛進で短絡的で無鉄砲な性格で、読んでいて展開にハラハラしますが、真っ直ぐな心根の人情家の面もあり、行く先々で助けられながら仲間を増やしていきます。

あとがきで手塚先生がこう語っています。
「未来になれば、親子はバラバラで、だんだん肉親の愛情はなくなるだろう　親を知らない試験管ベビーも生まれるし　子供はみんなティーチングマシンで勉強するから、師弟愛もなくなるだろう　もちろん弱肉強食の未来社会では、義理も人情もなくなっちまうだろう　だが…ただ1つ友達と言うものはきっと残る」
20世紀の終わりにこのような考えを持っていたとは、さすが漫画界の巨匠としか言いようがありません。私は環境が変わっても、人間と言うのは、大昔からさほど変化していないのではないかと考えます。むしろ、これからは限りのある資源をみんなで分かち合って、心の豊かさを追い求める時代が来ると信じております。これからAIがますます発達した社会になりますが、それは、より一層、人間とは何なのか、考えさせられる時代への突入を意味していると思いました。

2022/07/28

銀河総合学院への受験を前にした大郷と須波。俺たちきっと合格しよう！と励ましあったが、もしも須波だけが入れて、自分が不合格だったら…そんなことを考えていると突然誘拐されてしまった。誘拐者達は頼みがあると言う。それは、友人の須波を殺せ、そうすれば見返りとして学院に合格させてやろうという話だった。

手塚作品の中でも知らない話でしたが、さすが巨匠だなと思えるくらい、よく出来ている面白いお話でした。
大郷と、偶々出逢った女の子のお話が好きです。
あとがき漫画で、手塚治虫さんが友情への憧れについて語っていて、ああなんだかすごく分かるなあと思いました。
お話は第一部完となっており、もし続きがあればどんなお話だったのだろうか、読みたかったなと思いました。