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コミック昭和史 全8巻セット
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 講談社 |
発売年月日 | 1994/12/01 |
JAN | 9784069316715 |
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コミック昭和史 全8巻セット
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ノンビリした性格、底なしの生存能力、自然界と交流をもつ霊感、といった要素を一人の人間の中に兼ね備えた稀有な存在が太平洋戦争の前線で凄絶な経験をしたということ、それを8巻の昭和史兼自伝にして残したということに大きな意義を感じずにいられない。いわゆる戦中派は高齢でどんどん死んでいき、...
ノンビリした性格、底なしの生存能力、自然界と交流をもつ霊感、といった要素を一人の人間の中に兼ね備えた稀有な存在が太平洋戦争の前線で凄絶な経験をしたということ、それを8巻の昭和史兼自伝にして残したということに大きな意義を感じずにいられない。いわゆる戦中派は高齢でどんどん死んでいき、実体験を語り継ぐということができなくなってきていている事態が進行するなか、水木が漫画という形で、肩の力をぬいて(そうみせるのが彼の知なのだが)昭和と自分史を交互に語っているということがこのうえなく貴重なのだ。 昭和史のいわばマクロで客観的な部分をねずみ男に語らせているというのも巧い。政治的社会的事件のレポーターであるねずみ男の語り口は簡潔で、断定を避け、事実および分析、視点をややひょうきんに語る。これは中立を保って史実を語ろうとする意図というよりも水木の、特定個人や団体に責任がある場合でさえ究極的には運命のうねりの中の不可抗力だったとする寛容さ、前向きな諦観からきているとわたしは読む。例えば東条英機の描写がそうだ。東条英機の趣味がなくまじめな性格を批判しつつまじめであったために本人も苦しんだのではという見方をしている。 昭和史といえども太平洋戦争、特に彼自身が壮絶なサバイバルをした南方戦線の部分が「バカに力が入ってしまう」と著者はあとがきに記している通り大きく占められているが、この偏りがこの本の面白いところでもある。 開戦までの日中の抗争の歴史的経緯にも詳しく、経済と庶民の生活が戦争と世界の動きからどう影響を受けたかというところも要点を絞ってかかれている。陸軍と海軍、戦中戦後の左翼内の分離、大本営と戦地の指揮官という大雑把には同類な仲間内でも対立、分離があって事態を複雑にする、ということも学べたのは大きかった。 そしてミクロの自分史の部分は水木だけでなく彼をとりまく家族、友人、知人がユーモアたっぷりに描かれていて何度も笑わせられ、なぐさめられる。ラバウルの空爆で左腕を失った水木はマラリアにも罹る。物資が絶対的に不足した野戦病院で衛生状態がよいわけがなく切断された腕にわいた蛆虫が彼の顔に向かって登ってくるがそれを鼻息でとばそうとする描写には笑ってしまった。悲惨な局面を生き抜くにはかっこをつけていられず、それがおかしみにつながるし、そういうことも交えて語らなければやってこれなかった、やってられないという彼の人生観、人柄の反映にも思えた。 太平洋戦争以外にも政治思想史、社会風俗史、民俗学的観点から考察した日本と南島(ニューギニア原住民の生活)、日本の漫画の黎明期、戦後民主主義と高度成長の明暗など読みどころが多い。
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