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乱歩賞作家の創作術 の商品レビュー

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2025/12/03

寡作な著者だけに、既刊のものについてはほぼ既読ってこともあり、その解題も含めて楽しめるだろうと思い入手・読了。正直、作家論については、先だって読んだ小川哲新書に軍配。論考対象がやや異なるから、比較対象ではないのかもしらんけど。とはいえ、こちらもかなり興味深く味わえたのは間違いなく...

寡作な著者だけに、既刊のものについてはほぼ既読ってこともあり、その解題も含めて楽しめるだろうと思い入手・読了。正直、作家論については、先だって読んだ小川哲新書に軍配。論考対象がやや異なるから、比較対象ではないのかもしらんけど。とはいえ、こちらもかなり興味深く味わえたのは間違いなく、氏の小説の大方を楽しく読んだ身としては、その追体験も兼ねた面白読書時間だった。

Posted byブクログ

2025/11/25

高野和明『乱歩賞作家の創作術 エンタメ小説の書き方 初心者ガイド』(講談社文庫)を読了。『13階段』で第47回江戸川乱歩賞を受賞した著者による“エンタメ小説家”志望者に向けた創作の手引書。エンタメ小説の書き方に加えて、著者による仕事術(取材の方法)や使っている道具(辞書や執筆道具...

高野和明『乱歩賞作家の創作術 エンタメ小説の書き方 初心者ガイド』(講談社文庫)を読了。『13階段』で第47回江戸川乱歩賞を受賞した著者による“エンタメ小説家”志望者に向けた創作の手引書。エンタメ小説の書き方に加えて、著者による仕事術(取材の方法)や使っている道具(辞書や執筆道具)についても紹介されている。さらに、著者が過去に行った対談(相手は宮部みゆき、野沢尚、桜庭一樹)の再録と、著者が“エンタメ小説家”になるまでの経歴、(2025年現在までの)全作品解題も収録されている。 個人的にもっとも興味深く読んだのは、著者が自身の経歴を語っていくパート。映画監督を志して脚本家になった著者が、『日本のいちばん長い日』などを手がけた岡本喜八監督に弟子入りする経緯が書かれている部分だ。岡本監督に弟子入りして以降の創作活動において、著者は岡本監督からの教えがひとつの指針になっていることを何度かに渡って名言している。それだけ著者にとって要となる教えなのだろう。前述した宮部みゆきとの対談のなかでは、お気に入りの岡本喜八監督作品について語っている場面もある。 その対談パートでは、著者と同じく脚本家から江戸川乱歩賞作家になった野沢尚(個人的には、劇場版『名探偵コナン ベイカー街(ストリート)の亡霊』の脚本を書いた方として認識している)による、映画とドラマのナレーションの扱いの違いの話を興味深く読んだ。全作品解題では、第2回山田風太郎賞と第65回日本推理作家協会賞を同時受賞した『ジェノサイド』の項目が読ませる。著者がこの作品を著すまでの大変な道のりを思うだけで畏敬の念を抱かざるを得ない。とにかく読み応えのある一冊。そのほか、愛用している辞典を紹介するパートで『明鏡国語辞典』を絶賛しており、我がことながら嬉しくなったりもした。

Posted byブクログ