時の家 の商品レビュー
賢い人が書いた、つまらん人生の視点だった。 その文体や言葉遣い、文字のバランス、どれも賢い人そのもの。男女どちらが書いたかは問題ではなかった。 ただ一つ明確に感じたのは、ここまで感情に真摯に向き合った結果が、これなのか?と言う事。言うならば"面倒臭い"。 好み...
賢い人が書いた、つまらん人生の視点だった。 その文体や言葉遣い、文字のバランス、どれも賢い人そのもの。男女どちらが書いたかは問題ではなかった。 ただ一つ明確に感じたのは、ここまで感情に真摯に向き合った結果が、これなのか?と言う事。言うならば"面倒臭い"。 好みの問題でしかないが、冒頭から欠伸が止まらない。 この作者はなんのためにこの本を書いたのが?普遍的なメッセージ性と、自身の職種柄(読後調べると建築家らしい)のリアリティーを詰め込んだつもりかもしれないが、かなりいい身分の皮肉たっぷりな御坊ちゃま視点だなとしか感じなかった。 かなり苦手、嫌いな本であった。
Posted by
家の寿命は概ね長い。災害に遭わなければ3世代にわたって居住できる家は多い。そして同じ家族が住まい続けるだけでなく、時に中古住宅として販売され、施主の家族ではなかった人が購入し居住することもある。私がまさにそれで、ずっと賃貸生活を続けるつもりが突然の縁で売りに出ていた家を買った。...
家の寿命は概ね長い。災害に遭わなければ3世代にわたって居住できる家は多い。そして同じ家族が住まい続けるだけでなく、時に中古住宅として販売され、施主の家族ではなかった人が購入し居住することもある。私がまさにそれで、ずっと賃貸生活を続けるつもりが突然の縁で売りに出ていた家を買った。以前のご家族のために構成されたはずの間取りにも、10年住むと何の違和感も持たなくなる。とはいえいくつかの箇所には「ここはどうしてこの広さをとったのだろう」「駐車場は、これだけでよかったのか」などの「疑問に至らないほどのハテナ」が浮かぶことは、ある。 過去の居住者の、様々な生活のあった場所で、私も生きている。 本作は一軒の家を舞台として「当物件設計者でもある、最初の居住者」「海外から単身戻り数学塾を開いた女性」「結婚生活にひずみが生じつつある夫婦」の3世帯が並列して登場する。章立てもなくほとんどが改行で時間軸が変化するため、初読では戸惑った。しかし読み進めれば、作中に出てくる籐巻柱のように、少しずつ形が見えてくる。読むスピードも徐々に速くなった。 時々出てくる「死んでしまったことと長く会えないことの違い」という問いが印象に残った。私も時々思う、もう数十年も会っていない人は今、何をしているのだろうか、今この時点をどんな思いで生きているのだろうか、と。接点がなければそれは想像するしかない。 しかし、家は時間が違っていても人を包み、その気配を刻んでいく。 私自身も自宅の元居住者のことは全く知らないが、なんとなくぼんやりと、かつての暮らしを想像する。 接点がなくても、「家を通じて」人を知り得るのだ。 余談だが、私の職業は(現場担当ではないが)住宅を含めた建築事業に身を置いている。その立場からの視点で・・・といった本作の読み方は意識していなかったが、建物は、人の時間を思っている以上に引き受けている、それは心に留めておきたい。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
冒頭、屋根が温められて下地材がきしむ音。設計者であるという作家のあいさつ代わりか。空き家の中のよどんだ空気感、細かい細かい内装の描写に作家の意図を図りかねて読みづらい。 描きたかった一つは、この建物の建て主であり設計者である藪さんの、建築設計という仕事への思いや、それを支え、一緒に楽しんだ昔の職人の仕事ぶりか。設計者目線では一つの理想であろう。 もう一つは、建物が、時間をかけて劣化しいてく様子。住人の生活を通して床の傷や壁のひび割れの由来が念入りに描かれ、青年はそれらをスケッチブックに描き止める。細く流れる人の死と記憶の話は、いずれ壊されるこの建物をだれが記憶しているだろう、という伏線のよう。終盤、建物はあっけなく取り壊され、青年がスケッチをしたように、せめて記録を残したいという思いか、解体の描写は執拗に緻密。 藪さんが意図して点検口を配置したのか、屋根裏の図面たちに後の住人が誘導され、これはとてもいい場面で、解体時にそれを救出するかと思いきやそのままだった。
Posted by
最初はすごく読みにくかったけど、過去の住人の思い出が出てきて読みやすくなってきた。 誰もが生まれ育った家には思い出や歴史があるけど、人と同じで段々朽ち果てていく哀愁。 空き家が問題になっている現代にあっているなと。 こだわりを持って、みなの手で作られた家、どんな事があっても迎え...
最初はすごく読みにくかったけど、過去の住人の思い出が出てきて読みやすくなってきた。 誰もが生まれ育った家には思い出や歴史があるけど、人と同じで段々朽ち果てていく哀愁。 空き家が問題になっている現代にあっているなと。 こだわりを持って、みなの手で作られた家、どんな事があっても迎え入れてくれて、一緒に震災や家族の問題を乗り越えてきた家を壊す哀しさがただよう。 これぞ芥川賞だというほんだった。
Posted by
家というのはそこで暮らす人の思いが刻まれるものなんだなというのが、あらためて実感された感じ。 時の流れに着目して家族を書こうとした本なのですかね? 私の場合ですけど、本でも読まないとなかなか人生を長期的に見る機会って少ないかなと思ってて。 人の老いとか死を感じるエピソードが沢山...
家というのはそこで暮らす人の思いが刻まれるものなんだなというのが、あらためて実感された感じ。 時の流れに着目して家族を書こうとした本なのですかね? 私の場合ですけど、本でも読まないとなかなか人生を長期的に見る機会って少ないかなと思ってて。 人の老いとか死を感じるエピソードが沢山あって、 自分では当事者感持てない感じ(普段感じるんですけど、皆さんどうでしょう?)が緑さんや圭さんにも通ずるかなと思いました。 わたし的参考図書 ・かないくん 谷川俊太郎 ・家の本 アンドレアバイヤーニ
Posted by
そこにあった家の記憶は人の記憶に。人がいなくなればそれは気配や空気になり昇華されていくのだろう。 絵でいえば長谷川等伯の松林図屏風のよう。 読んでいると突然語り手の変わる瞬間がくる。 普段わかりやすい文章しか読んで無いからか、結構読みずらい(自分の能力の問題)。
Posted by
青年は描く.建築家が自分のために建てた家のすみずみを.その注がれた想いとその後住み継がれた2世代の記憶が,売家となった家にそっと入ってきたかってその家で絵を描いた子供によって,スケッチの中から立ち昇ってくる.時代の流れの中にまぎれていた阪神大震災や東北の地震,コロナ感染などもそこ...
青年は描く.建築家が自分のために建てた家のすみずみを.その注がれた想いとその後住み継がれた2世代の記憶が,売家となった家にそっと入ってきたかってその家で絵を描いた子供によって,スケッチの中から立ち昇ってくる.時代の流れの中にまぎれていた阪神大震災や東北の地震,コロナ感染などもそこにあるかのように現れている.時間の持つ奥行き,あるいは記憶の深さを感じました.
Posted by
その家に住んでいた人たちの思いが家中に宿っている。 特に設計し住んだひとの思いが強い。 そんなことしか読解力のない私には読み取れない。 文章は気づくと違う人が主人公になっている。 ちょっと読みにくかったかな。 『家』自体が主人公になってる部分もあった? 気のせい? なんか、掴...
その家に住んでいた人たちの思いが家中に宿っている。 特に設計し住んだひとの思いが強い。 そんなことしか読解力のない私には読み取れない。 文章は気づくと違う人が主人公になっている。 ちょっと読みにくかったかな。 『家』自体が主人公になってる部分もあった? 気のせい? なんか、掴めそうで掴めない不思議な感覚をおぼえました。
Posted by
配架場所・貸出状況はこちらからご確認ください。 https://www.cku.ac.jp/CARIN/CARINOPACLINK.HTM?AL=00144574
Posted by
ある意味、「芥川賞受賞作」らしい小説。 何処が優れたブンガクなのか全く良くワカラナイが、でも、うん、なるほど、なんとなく技巧が凝らされた文章や構成が、何処かブンガクっぽい。 自分自身、元々建築に興味があり、一級建築士となった一人息子にも、幼い頃からその進路に進むことを強く勧めたこ...
ある意味、「芥川賞受賞作」らしい小説。 何処が優れたブンガクなのか全く良くワカラナイが、でも、うん、なるほど、なんとなく技巧が凝らされた文章や構成が、何処かブンガクっぽい。 自分自身、元々建築に興味があり、一級建築士となった一人息子にも、幼い頃からその進路に進むことを強く勧めたこともあり、建築を生業として来た著者の作品に強く関心を惹かれ読んではみたのだが、残念ながら、面白かったか?と問われれば必ずしも面白くは無かったのだ。やっぱり芥川賞だよなあ。 しかし不思議に、(自分的には)読み終えた直後にはもう読んだ内容の殆どを忘れてしまうような印象が少なくない受賞作の中では珍しく、読後から暫く経た今もなお、その内容や、印象に残る表現、描写の幾つかをかなり鮮明に記憶している。その意味では稀有な体験かも知れない。
Posted by
