MONKEY(vol.37) の商品レビュー
- ネタバレ
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年を取ってくるとMONKEYのサイズが目にやさしい。 ブレイディみかこ『No Music, No Stories』読了 懐かしい現代作品というあべこべな印象が残る。 懐かしいのはなぜだろう。スチュアート・ダイベックの『路地裏の子供たち』を読んだ時のような、子供の目を通して世界を見つめ直す感覚があるからかね。登場人物の少年レオは自分とはまったく違うタイプの子供なのにね。鋭く冷たく青い未熟な目線を今の私は評価しない。それでも、大人としては、そんなふうに世界を見ている現実の子供たちを守りたいと思い、自分の中の子供は彼らに共感さえ覚える。 新しいのは間違いなく、親と子とスマートフォンの関係が、まさに現代の感覚で描かれているから。そう、もはやガジェットを一面的に教育上の害悪とみなすのは古い。現実にそれ抜きではどうしようもない場面が多いし、そこに人との関係も息づいているから。 人――世界とのつながりを今にも断ち切ってしまいそうな、危うい繊細さを抱えて生きる子供が、世界を前向きにとらえ直すような作品にはいつだって胸が震えるよ。これはもはや親として。 実は、ブレイディみかこ作品はこれが初。彼女はやはり親として親を描ける作家さんなんだろう。 にしても、日本語作品でありながら、翻訳作品と同じような常識を要求し、同じような文体の味わいがあることに脳が驚いている。
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