夜明けまでに誰かが の商品レビュー
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【自由研究シリーズ】のピップとは真逆のキャラクターである本作の主人公レッド。語り手としてはぼんやりしていて頼りなくて不安になるのだが、実は誰よりも冷静で賢い。 舞台はキャンピングカー内に固定されており、登場人物も限られているにも関わらず、さすがのストーリーテーリング力、読ませる力がある。オリヴァーには始終イライラさせられた…。 狙撃犯との攻防もおもしろいが、レッドの隠していた第二の秘密が明らかになってからより引き込まれる。限られた設定のなかで、うまく盲点をついた真実だった。
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ホリー・ジャクソンといえばピップが主役の「向かない」シリーズ。三部作のどれもがミステリファンを虜にした。 今回の主人公は3年前に警官の母親を亡くした女子高生レッド。 友人3人とお目付け役の大学生カップル6人が、RVでキャンプ場へ向かう途中で巻き込まれた事件。 ライフルでタイヤとガソリンタンクを撃ち抜かれ身動きの取れない状況で犯人から突きつけられた要望が、6人の中の誰かが持つ秘密を明かせ、というもの。 そのタイムリミットが「夜明けまで」。 母親同士も、自分たちも幼馴染みで助けられてきた親友とその兄。他のメンバーもそれぞれレッドにとって大切な人たち。 なのに、犯人からの容赦ない攻撃と、それへの対応で6人の中に不協和音が生まれていく。 疑心暗鬼。この言葉がこれほど似合う状況はそうそうあるまい。 犯人の知りたい「秘密」とは。それを抱えているのは誰か。 命のかかった状況で、それぞれの持つ秘密が明かされていく。 なんとスリリングで、なんとクールで、なんと悲しい事件なのか。 他人事ではない冷や汗が背中を流れていった。
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500ページもあるのにジェットコースターのような展開で一気読み、読みやすくてあっという間に読めた印象。前作とは全く異なるテイストで、ホリージャクソンのストーリーテラーの才覚に驚かされます。ラスト近く、あらゆる真実が明かされるところは見事としかいえませんね。ところどころ伏線?と気に...
500ページもあるのにジェットコースターのような展開で一気読み、読みやすくてあっという間に読めた印象。前作とは全く異なるテイストで、ホリージャクソンのストーリーテラーの才覚に驚かされます。ラスト近く、あらゆる真実が明かされるところは見事としかいえませんね。ところどころ伏線?と気になるところチェックしていましたが、関係ないところも。深読みしすぎ?とは思いましたが、そうしたくなる作風です。大変楽しめました。老夫婦が気の毒すぎ。
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警察官の母を亡くしたレッド、その親友マディ、マディの兄で最年長・リーダー格のオリヴァー、オリヴァーの言うことは何でも受け入れるレイナ、飄々としたお調子者サイモン、レッドが想いを寄せる優しいアーサー。 旅行へと向かう6人が乗ったキャンピングカーが、何者かに銃撃される。その何者かはトランシーバーの向こうから「6人の中で秘密を抱える者を選べ」と要求してくる。当初6人は脅迫者に立ち向かい、キャンピングカーから脱出する方法を模索するが、ことごとく失敗し脅迫者の要求を呑みことを選ぶ。 31フィートのRVに閉じ込められ、外へと出ようとすれば即座に射殺される。生き残るためには、脅迫者の求める秘密を曝け出さなければならない。まるで生贄を選ぶように秘密を抱えた者を見つけ出そうとするオリヴァーによって、疑心暗鬼に陥り、車内の緊迫感が次第に高まっていくスリルがたまらない。 序盤でのある人物のポケットに関する記述に注意を引かれていたので、その人物がいつ、どのように行動するかハラハラした。
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ほぼ、この土日で一気読みでした。めちゃくちゃ面白かったし、読まれる時は時間を確保することをおすすめしたい。止まらなくなるので……!! ホリー・ジャクソンは、もちろん『自由研究には向かない殺人』シリーズ(三部作+一作)を読んでいて、めちゃくちゃ信頼厚い作家さんだ。特に、本書も高校...
ほぼ、この土日で一気読みでした。めちゃくちゃ面白かったし、読まれる時は時間を確保することをおすすめしたい。止まらなくなるので……!! ホリー・ジャクソンは、もちろん『自由研究には向かない殺人』シリーズ(三部作+一作)を読んでいて、めちゃくちゃ信頼厚い作家さんだ。特に、本書も高校生たち(と大学生たち)がメインと知り、いやが上にも期待が高まる。 ストーリーは、RVといういわゆるキャンピングカーの中で展開するサスペンス。 道に迷い込んだ主人公のレッドたち6名は、何者かにRVのタイヤ等を狙撃され、身動きが取れなくなってしまう。狙撃者はさらに、6名に「とある人物のとある秘密を明かせば解放する」という条件をつきつけ、そこから、お互いの秘密を知らない6名による心理戦がはじまる…… 前作のシリーズで一躍、YAの名手におどり出た著者。ティーンが抱える(には少々重い)胸の内を描かせたらやっぱりすごい。6名の各々が葛藤し、徐々に追い詰められていくさまは本当にハラハラした。 ある人物の造形がとっっっても嫌な奴に描かれていて、フィクションのキャラクターなのに読んでいて本当に腹が立ってしょうがなかったが、大矢博子さんの解説を読んでなるほどなと思うなど。 概ねわたしの予感どおりの着地で物語が終わり、余韻というか感慨がすごい。
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金曜日、久しぶりに行った本屋の平積みコーナーで目に入った本。 「自由研究に向かない殺人」の作者さんの新刊。 面白さは保証されているはず。 好物のクローズドサークルもの、ということで値段と厚さに迷ったものの、この土日で読んでやる、と気合を入れて購入。 オリヴァーのヘイト集め役っぷりがすごい。 他責思考のクソ野郎だろうが本物の殺人者だろうが、そんな人物がリーダーであること、全員がそうであることを許容している空気が作り出されているところがなんだかリアル感あった。 誰にどう思われようがリーダーは君だぜ、オリヴァー! 主人公レッドの一人称で話が進んでいく。 こちらは自責思考が随所に出てくる。そうなった原因も少しずつ明かされていったので説得力があった。最後の謎解きでその仕掛けが効いてきたのは気持ちよかった。 終盤はこれでもかと怒涛の展開が詰め込まれていて目が離せなかった。 パニックに次ぐパニックで、読んでる最中はもう何がなんだかしっちゃかめっちゃか。 最後、結局多数決でイエスにしたのが誰だったか明かされていたっけ? 読み飛ばしてしまった? 予想している人物はいるけど誰だったんだろう? 読みやすかったけど、事が起きるまでの導入が長く感じてしまった。これみよがしな含みをやけに入れてくる、レッドの一人称を読み続けるのが少しだるかった。これは好みの問題か。 クローズドサークルの緊張感や、じわじわくる恐怖感をいまいち味わえなかったところが残念。 この辺り、オリヴァーに邪魔された感があるかな。 とはいえ仕掛けも素晴らしく、楽しい時間をいただけました。ありがとうございます!
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あとがきにあったけれどとある一人の人物に対する苛立ちが一種の目眩しになってるというのがなるほど…となりました 読んだ人には分かると思います
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鬼★5 喉が痛くなるほどの緊迫感に耐えられない! 疑心暗鬼サスペンススリラー #夜明けまでに誰かが ■あらすじ 高校生のレッドは、春休みを利用して親友のマディと仲間たち共にキャンピングカーで旅行に来ていた。夜遅く、携帯電話の電波が届かない人里離れた場所に迷ってしまい、しかもタイ...
鬼★5 喉が痛くなるほどの緊迫感に耐えられない! 疑心暗鬼サスペンススリラー #夜明けまでに誰かが ■あらすじ 高校生のレッドは、春休みを利用して親友のマディと仲間たち共にキャンピングカーで旅行に来ていた。夜遅く、携帯電話の電波が届かない人里離れた場所に迷ってしまい、しかもタイヤがパンクしてしまう。 なんと何者かによって銃撃されたらしく、彼らはキャンピングカーに閉じ込められてしまったのだ! 犯人からの要求は、命が惜しいのであれば、仲間のうちひとりが抱えている秘密を明かせとのことなのだが… ■きっと読みたくなるレビュー 鬼★5 おもろい! そして怖っ サスペンススリラーであり、青春小説であり、超一級品のミステリーでもあるドエンタメ小説。こういう本を読むために生きてるなーと思えるほどの作品、読み逃せない一冊ですね。 ●人間味に溢れた登場人物 主人公レッド、親友のマディ、友人のアーサーとサイモン、マディの兄で大学生のオリヴァーと彼の恋人レイナ。このたった6名のやり取りだけでメインストーリーが進行していく。 相手のことを思いやれる人物もいれば、自分の考えを譲らない人物もいる。彼らはまだ若いけれど、これまでの知恵や経験、そしてトラウマを背負っていて、各々の価値観を持ち合わせている。 特に主人公のレッドは、心情描写がきめ細やかで、ずっと心臓をわしづかみにされっぱなし。警官だった彼女の母親は、ある事件のために既に他界していて母親のことが心残りになっている。 いつもさみし気で何かを後悔しているようなのですが、そこにまだ少女が幼さと生き抜く自信のなさが表れているんすよね。まだ二十歳前後の若者たちの苦闘ぶりが力強くって、すっかり彼らの虜になってしまいました。 ●RV 閉じ込められたキャンピングカー 設備の整った大きなキャンピングカーなんて憧れますよねー。キャンピングカーの平面図があるところがニクイんですよ、はーい私、二段ベッドの上で寝たいです。 それが一転、狙撃者に狙われ、携帯の電波も届かず、閉じ込められてしまうという… なんとなく絵がイメージしやすいんですよね、この設定が秀逸なんです。 さらにその後もプロットもよくできていて、どんどん追い込まれていくという丁寧な仕上がり。読み手を飽きさせない仕掛けが次々ともう…、特に中盤以降はさらに目が離せなくなりますね。また銃声が怖いのなんのって! 暗闇に着弾する音って怖過ぎでしょ! 彼らは無事に脱出できるのか、狙撃者は何者なのか、最初から最後までフルマックスの緊迫感を味わってください。 ●誰かが抱えている秘密って何だ?! 助けあい、逃げ出すために議論してきた仲間の6人だったはずが、徐々に関係性が崩れてくる。 怪しいのは誰なのか? そして何を隠しているのか? なにせ殺害されてしまいほどの秘密なんです、いったいどんな隠し事なのでしょう。この疑心暗鬼がたまんねぇのよ。 そして赤裸々に明かされた秘密が刺激が強すぎてビビった~。こんな密室の緊迫感のある状況でこんな話きいたら、私ならマジ鼻血だしてぶっ倒れる。緊張度が半端なさすぎで手汗がえぐかったです。 ●知りたくなかった事実、そしてひとりひとりのこれから… 本作はサスペンスがメインと思いきや、謎解きも予想以上なんすよ。しっかりと筋にも組み立てられていて素晴らしいですよ。ぜひ読んでみてください。 今年を代表する海外ミステリーですね、控え目に言って必読です。 ■ぜっさん推しポイント きっとこの作品を読んでいる方は、ホリー・ジャクソンの自由研究シリーズの三部作も読まれているでしょう。近年10年くらいの翻訳ミステリーにおける3部作ではNo1だと思っています、未読の方はぜひどうぞ。 ・自由研究には向かない殺人 ・優等生は探偵に向かない ・卒業生には向かない真実 さて、なぜここで自由研究のシリーズをあげたのか。 ホリー・ジャクソンは若い人たちの挑戦、苦難と現実、失敗、成長を描くのがお上手なんですよ。本作でも深々としたためられていますので、是非じっくりと味わってみて下さい。
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