榊部長、そのイケボは反則です! の商品レビュー
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新人時代の苦い記憶から「イケメンが苦手」になってしまったアラサーOL・萌香。異動先の営業一課は、社内でも実力派揃いの花形部署。そのトップに立つのは、かつて教育係として萌香を追い詰めた張本人である榊部長。 彼に対してずっと“苦手意識”を抱いていた萌香は、不安と緊張の中で新しい部署での仕事を始めることになる。 ところが、思わぬところから状況は一変する。実は榊が、萌香が長く癒しとして聴いてきた“人気イケボ配信者”だったという衝撃の事実が判明。仕事では冷徹なエリート、裏では甘い声で人を蕩けさせる配信者。 そのギャップがなんとも反則級で、ここから二人の距離が一気に縮まっていく。 萌香の中で、かつての恐怖が「誤解だった」と解けていく描写が丁寧で、彼の見え方が変わる瞬間の空気がとても良い。 榊側もまた、彼女を気遣いながら距離を詰めてくる姿が随所ににじんでいて、「こんなふうに守られたら好きになるに決まってる…」と思わず頷いてしまうほど。 イケボ配信中の甘い囁きと、仕事中の冷静でストイックな態度。この二面性が物語のアクセントになっていて、“耳で落とされる”という表現がぴったりくるほどの破壊力がある。 また、萌香が少しずつ榊を信じ、仕事でも恋でも前に進む姿は自然で共感しやすい。重くならず、ふわっと甘く、ちゃんとドキッとさせてくれるバランスで進むので、読んでいて心地よかった。 全体として、“溺愛モードの上司×癒やされたいアラサーOL”という王道オフィスラブを、イケボというスパイスでより魅力的にした作品だと感じた。
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