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軍都の陽炎 の商品レビュー

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2025/11/16

港あるところ遊郭あり、というのは聞いたことがあったけど、軍隊あるところ遊郭あり、も言われてみればなるほどね、と。こういう男たちを相手するハメになった女の人たちの気持ちを知りたい。戦後はそりゃもう生きるため、なんだろうけど。

Posted byブクログ

2025/06/30

八木澤高明『軍都の陽炎 軍靴と娼婦の記憶を旅する』集英社文庫。 今年2025年は、戦後80年、昭和100年の節目に当たるためか、様々な出版社から戦争関連の著作が次々と刊行されている。 本作は、日本各地の軍都と呼ばれた場所にあった色街の痕跡を追い求め、現在のその土地の状況を描い...

八木澤高明『軍都の陽炎 軍靴と娼婦の記憶を旅する』集英社文庫。 今年2025年は、戦後80年、昭和100年の節目に当たるためか、様々な出版社から戦争関連の著作が次々と刊行されている。 本作は、日本各地の軍都と呼ばれた場所にあった色街の痕跡を追い求め、現在のその土地の状況を描いたノンフィクションである。 生と死との間で苦悩したであろう軍人たちの性のはけ口と言うよりも、生への渇望を満たすため、或いは生きていることを確認するために軍の施設の近くには色街が存在したのだろう。戦争では前途ある多くの若者たちが始まったばかりの人生の中で生命を落としたのだ。何とも悲しい話である。そんな色街も現代に僅かな痕跡を遺しつつ、新たな生活の場として生まれ変わっているのだ。 戦後は米軍基地の街となった横須賀という名の響きには、自分のような地方に暮らす者にとっては格好良い港町としての憧れがあった。しかし、実際に横須賀に行ってみれば、自分が住んでいる地方都市と然程変わらぬ田舎の雰囲気には驚かされた。そんな横須賀にもかつては軍港があり、色街が栄えていたようだ。 青森の大湊にも色街に小松野遊郭があった。水上勉の『飢餓海峡』に登場する娼婦の八重も小松野遊郭の出身という設定だった。八木澤高明は大湊の小松野遊郭跡地の前に訪れた六ヶ所村についても触れている。核燃料物質再処理施設を誘致した六ヶ所村は莫大な原発マネーを手にし、かつての過疎の村は大きく変貌した。自分も六ヶ所村に行ったことがあるが、本書にも記述されているように本州の北の外れの村には似つかわしくないような近代的な村役場、図書館や公民館、殆ど車の行き来の無い広々とした道路には驚いた。 舞鶴の遊郭だった建物はアパートへと変わっていたというから面白い。戦後に早々と遊郭は店仕舞いし、自衛隊の下宿に変貌し、アパートに変わったという建物も遺されているようだ。 鹿児島の知覧は特攻隊の出撃基地のあったところだ。既に敗戦濃厚で、物資や兵器が乏しい日本には自爆しかなかったというから悲惨な話だ。特攻という死への旅立ちの前に色街で最期の思い出を遺す若者も大勢居たことだろう。 北海道の千歳にも色街があったとは意外だった。3度ほど新千歳空港を利用し、千歳に出張したことがあるが、洗練された街としか印象に無い。 本体価格840円 ★★★★

Posted byブクログ