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80年越しの帰還兵 の商品レビュー

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4件のお客様レビュー

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2025/11/20

 昨年『ずっと、ずっと帰りを待っていました』を読み、心に残っていました。今年は戦後80年の節目の年でもあり、きちんと史実に向き合いたいと思っていたところ、図書館でこの作品が目にとまりました。  この作品は著者の浜田さんご夫妻が、約20年に渡り沖縄南部の壕や原野を渡りながら、沖縄...

 昨年『ずっと、ずっと帰りを待っていました』を読み、心に残っていました。今年は戦後80年の節目の年でもあり、きちんと史実に向き合いたいと思っていたところ、図書館でこの作品が目にとまりました。  この作品は著者の浜田さんご夫妻が、約20年に渡り沖縄南部の壕や原野を渡りながら、沖縄戦で犠牲になった方々の遺骨や遺品を収集し、ご遺族にお返しする活動を描いたものです。壕は脆かったり、酸素が薄かったりと、収集する方も命の危険と隣り合わせです。  20年以上続けておられても、収集しきれないほどの遺骨や遺品多いんですね…。そしてなんといっても、80年も経過してしまっている…浜田さんご夫妻の活動は常に困難に充ちています。終戦後、遺骨も遺品もなくても弔うことに抵抗を感じたご遺族もいたでしょう。でも、浜田さんご夫妻が遺骨や遺品を届けることで、戦争があったこと、先祖を含めて多くの犠牲があったことを、感じられるようになるのだと思います。そのひとつひとつに、その人に人生があるのだから…。  浜野さんご夫婦の活動に心を動かされ、活動を共にする若手の存在が育っているのもいいことだと思います。一人でも多くのご遺族のもとに、遺骨や遺品が届けられますように…。

Posted byブクログ

2025/10/17

ずっと読みたかったこの本を、図書館にリクエストしてようやく手に取ることができました。もう一冊、夫婦が書かれてる本があって、そちらを先に読むべきだと言われてたのですが先に届いたのはこちらでした。残念、、、 この本には、遺骨収集に人生をかけた一組の夫婦の活動が描かれています。これま...

ずっと読みたかったこの本を、図書館にリクエストしてようやく手に取ることができました。もう一冊、夫婦が書かれてる本があって、そちらを先に読むべきだと言われてたのですが先に届いたのはこちらでした。残念、、、 この本には、遺骨収集に人生をかけた一組の夫婦の活動が描かれています。これまでにも遺骨収集のボランティア活動について耳にしたことがあり、自分も参加してみたいと考えていました。しかし、実際に本を読み進めるうちに、自分には想像以上に厳しい現場なのだと感じ始めました。暑さとの闘い、生々しい戦争の跡、人の最期と向き合う覚悟。北海道で暮らす私にとっては、その環境の違いも含めて、容易には踏み出せない世界でした。 それでも、「何か」を探し出して、遺族のもとに返してあげたいという気持ちは、読後にさらに強くなりました。骨や遺品が見つからないまま何十年も過ごしてきた家族がいる。その人たちの思いに、少しでも寄り添いたいと感じました。 一方で、沖縄の遺族たちがDNA鑑定を積極的に進めていないという現実には複雑な気持ちを抱きました。遺骨の多くがまだ地中に眠っているにもかかわらず、住宅街の下に埋もれてしまっている場所もある。沖縄という土地ならではの事情や、民間人の犠牲の多さ、そして今なお続く課題の重さが浮き彫りになっています。 本に登場する夫婦は、私財を投じて遺骨収集に取り組んでいました。遺骨を見つけた後も、そこから遺族を探すという、終わりの見えない作業が続きます。その姿には、頭が下がる思いでした。 沖縄戦では北海道出身の方々も多く命を落としており、私の知っている地名も登場して、遠い話ではないのだと実感しました。日本人だけでなく、アイヌの方々、北朝鮮など他国から動員された兵士たちの存在も描かれていて、その方たちの遺族を探すには法律の壁も大きく立ちはだかっています。 難題だらけの現実に心が痛みますが、それでも少しでも多くの遺骨が、家族のもとへ帰れますようにと、心から願っています。

Posted byブクログ

2025/09/20

図書館。 戦争関連は興味があるので見つけて手に取った。 筆者は沖縄の遺骨収集に携わる元新聞記者の夫婦。記者ならではのフットワークや人脈を活かし、遺骨や遺留品を遺族に届けるべく活動されている。また、若者にもこの活動を知ってほしいと強く願っており、本書にもその意思を受け継ぐ方が何人...

図書館。 戦争関連は興味があるので見つけて手に取った。 筆者は沖縄の遺骨収集に携わる元新聞記者の夫婦。記者ならではのフットワークや人脈を活かし、遺骨や遺留品を遺族に届けるべく活動されている。また、若者にもこの活動を知ってほしいと強く願っており、本書にもその意思を受け継ぐ方が何人か紹介されている。正直、全く知らない世界だったので、書いてあること全てが新しい発見。弟子入りした遺骨収集の先輩方の経歴が壮絶で、北方領土に住んでいてロシア兵が乗り込んできたところを実際に見た方の話は生々しくて恐ろしかった。沖縄戦の悲惨さは話には聞いていたが、改めて読むと言葉にならない。今は観光地としての色が強い沖縄だが、やはり数少ない地上戦が展開された地という側面を日本人として語り継ぎ、もっと知らなければならないと強く感じた。 行政の動きが鈍い、とどうしても感じてしまったが、これは時代背景的にも難しいのか…。一人でも多くの方の遺骨や遺留品が遺族の元に戻ることを祈ります。

Posted byブクログ

2025/09/07

執拗な攻撃で、 指の爪の大きさに砕かれた無数の人骨。 その身元を特定できた瞬間、 骨片は名前をもった人間になる。                 (カバー文より) 先日読んだ「ずっと、ずっと帰りを待っていました」の著者・浜田哲二さん浜田律子さん夫妻によるノンフィクション ...

執拗な攻撃で、 指の爪の大きさに砕かれた無数の人骨。 その身元を特定できた瞬間、 骨片は名前をもった人間になる。                 (カバー文より) 先日読んだ「ずっと、ずっと帰りを待っていました」の著者・浜田哲二さん浜田律子さん夫妻によるノンフィクション お二人は20年以上沖縄の戦場を掘り続け、戦没者の遺骨収集と遺留品や遺族の手紙返還を続けている。 この本では沖縄で活動を始めたきっかけや、〝遺骨収集の鉄人〟と呼ばれる国吉勇さんについてのエピソードなどにも触れており、その部分も面白い。 活動の本命はもちろん、遺骨を発掘して身元を特定し、遺族のもとへ返すことだが、その過程で遺留品も多く出土するという。 その中ではハンコが多く見つかっているようだ。 名前が彫られているから割と簡単に身元特定できるのかな? と思えば、名字のみでは限りなく難しい作業らしい。 それに行政では個人情報の壁があったり、遺族と思われる方に電話をすれば詐欺と間違われたり と、困難ばかり。 本当に根気のいる作業だなぁ。 〝細い糸を手繰るように〟 という表現が度々出てくるが、まさにその通り。 諦めない気持ちが遺族に辿り着かせる。 沖縄戦で見つかった遺骨で遺族とのDNAが一致したのは6例しかなく、すべてが本土出身の日本兵。 およそ12万2000人が戦没したとされる沖縄県民の遺骨は、ほとんどが家族のもとへ帰れていないそうだ。 兵士は身分を証明するものがあったり記録が残っているが、一般の県民には何もないからだろう。 今年は戦後80年という節目の年であるが、遺族たちにとってはまだ戦争は終わっていない。 ずっと帰りを待ち続けている。 遺骨も遺品もないのでは気持ちに整理がつかぬままだろう。 そんな現実が胸に突き刺さる一冊だった。

Posted byブクログ