蒼天の星 星見天海 評伝 の商品レビュー

関根則男(著者)

2025/06/19

明治政府による神仏分離令や太政官布達第19号の発布によって、仏教界に混乱が生じた時代。主人公が帰依していた曹洞宗も分離危機が勃発する。宗門内で不利な立場となることを認識しながら調停役を引き受け、時の内務大臣の助けを得ながら紛争を解決する。大本山の貫主推薦を受けるも辞退。さらには全国4,000カ寺の末寺を擁する名刹「最乗寺」の住職も退いて、少年期に出家した故郷の寺院に隠棲する。
世に知られることなく、まさに蒼天の空に隠れる星のごとき禅僧の生涯に光を当てた一冊である。