ウクライナ戦争と外交 の商品レビュー
著者はロシアの武力侵攻前から昨年まで駐ウクライナ大使だった人。ウクライナ寄り、外務省寄りの面はあるかもしれないが、それを割引いても、ぜひぜひオススメしたい本です。
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ウクライナ戦争に関して、外務の現場でどのような判断でどのような行動が取られていたといった、メディアの報道ではあまり明らかにされない現実が分かりやすく語れていてとても参考になった。 外国に対して強気の主張をする右の立場でもなく、政府に対して何でも文句を言う左の立場でもなく、各々立...
ウクライナ戦争に関して、外務の現場でどのような判断でどのような行動が取られていたといった、メディアの報道ではあまり明らかにされない現実が分かりやすく語れていてとても参考になった。 外国に対して強気の主張をする右の立場でもなく、政府に対して何でも文句を言う左の立場でもなく、各々立場でなすべきことを目立たず淡々とこなす、そういった人々の存在こそが平和を作り上げる礎なのだと改めてわからされた気がした。
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ウクライナの開戦前の状況も書かれており興味深く読ませてもらった。公に報道されている事と実際では、やはり違いがある事の認識を新たにしました。
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プロローグ:キーウ赴任と戦争の予兆 2021年秋にウクライナに着任した日本大使の視点から、当時の平和なキーウの様子、そして秋葉次官から直接的に伝えられた戦争の可能性への備えが描かれます。トラブルシューターとしての自負を持って臨んだ大使は、着任後すぐにウクライナ政府要人との意見交換...
プロローグ:キーウ赴任と戦争の予兆 2021年秋にウクライナに着任した日本大使の視点から、当時の平和なキーウの様子、そして秋葉次官から直接的に伝えられた戦争の可能性への備えが描かれます。トラブルシューターとしての自負を持って臨んだ大使は、着任後すぐにウクライナ政府要人との意見交換を行い、開戦直前の緊迫した状況を伝えます。 開戦とキーウからの避難:外交団の動揺 2022年2月24日のロシアによる全面侵攻開始時のキーウの様子、大使館員の安全を考慮しながらの避難の決断、そして西ウクライナへの移動、さらには米国や英国大使館の動きに合わせたワルシャワへの退避といった開戦直後の大使館の行動が詳細に記録されます。 ジェシュフでの活動と大使館再開への道 ポーランドのジェシュフでの大使館活動として、ウクライナ情勢の情報収集、周辺国大使との連携、林外務大臣の訪問、そしてキーウへの早期帰還に向けた東京の外務省との交渉の様子が描かれます。安全確保に関する具体的な提案を行い、7月末に大使館再開の基本方針が決定されるまでの道のりが語られます。 日本のウクライナ支援:人道支援から安全保障まで 大使は、日本のウクライナ支援が国際秩序の維持に貢献し、日本の将来の安定にも繋がるという信念を強調します。エネルギー支援、日本製ガビオンの供与、内務省主導の「不屈の拠点」への協力、地雷探知・除去支援など、日本のきめ細やかな支援活動が具体的に紹介されます。 ウクライナの平和と復興への模索 ウクライナが掲げる公正で包括的、永続的な平和実現のための「平和の公式」と、その実現に向けた国際的な協議の枠組みが解説されます。「平和の公式」の10項目には、食料安全保障、放射能安全、領土一体性、ロシア軍撤退などが含まれており、ウクライナの平和への強い意志が示されます。 戦時下のウクライナ社会と文化、そして指導部の外交 ロシア軍による文化施設への意図的な攻撃に対抗するための大使館内の文化活動、ウクライナ軍の創意工夫、デジタル改革省による「Diiaシステム」の活用など、戦時下のウクライナ社会の強さが描かれます。ゼレンスキー大統領やイェルマーク大統領府長官といった指導者の外交についても触れられます。 日本の安全保障とウクライナ、そして執筆の動機 岸田総理の「今日のウクライナは、明日の東アジアかもしれない」という言葉の重要性を強調し、北朝鮮の事実上の参戦を踏まえ、日本の安全保障におけるウクライナ戦争の意義を改めて指摘します。理不尽な侵略戦争の記録を残す義務感と、犠牲になった人々への義憤の情が執筆の動機であると語られます。
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