増やしながらしっかり使う 60歳からの賢い「お金の回し方」 の商品レビュー
2025年46冊目。満足度★★★★☆ 『DIE WITH ZERO』あたりから、お金(と時間)の「使い方」に関する本が増えているが、本書はまさに著者の経営する会社ウエルスペント(well spent)の社名の通り、お金と時間を有意義に使うための考え方が簡潔にまとめられている ...
2025年46冊目。満足度★★★★☆ 『DIE WITH ZERO』あたりから、お金(と時間)の「使い方」に関する本が増えているが、本書はまさに著者の経営する会社ウエルスペント(well spent)の社名の通り、お金と時間を有意義に使うための考え方が簡潔にまとめられている シニア世代にはお勧め
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はじめに:60歳からの「ファイナンシャル・ウェルビーイング」 本書は、多くの人が抱く老後資金への不安に対し、「ファイナンシャル・ウェルビーイング」という概念を提示します。これは、当面の支払いに困らず、将来のお金にも安心し、お金を気にせず人生を自由に選択できる状態を指します。資産の...
はじめに:60歳からの「ファイナンシャル・ウェルビーイング」 本書は、多くの人が抱く老後資金への不安に対し、「ファイナンシャル・ウェルビーイング」という概念を提示します。これは、当面の支払いに困らず、将来のお金にも安心し、お金を気にせず人生を自由に選択できる状態を指します。資産の多寡だけでなく、金融リテラシーが経済的な満足度に大きく影響することを強調し、自分なりのお金の見通しを立てることの重要性を説いています。また、お金や時間を有意義に使う「ウェルスペント(well spent)」の考え方を導入し、インフレリスクに対抗し資産寿命を延ばすためには、預貯金だけでなく投資を取り入れるべきだと提言しています。 第1章:年金・退職金 賢く受け取る、収入を見通す この章では、60歳以降の収入の柱となる年金と退職金の受け取り方を詳述しています。60歳以降も働く場合の給与水準や、雇用保険の給付金についても触れています。退職金は「一時金」での受け取りが退職所得控除により税制上のメリットが大きいことを強調し、その資金を運用に回す機会が得られるメリットも説明しています。公的年金については、「ねんきん定期便」での確認や、加給年金、在職老齢年金の制度を解説。さらに、年金の「繰り下げ受給」と「繰り上げ受給」のメリット・デメリットを比較し、繰り上げ受給した資金を運用することで、長期的には総受取額が増える可能性を示唆しています。相続についても触れ、生前贈与の活用を提案しています。 第2章:60歳からの支出を見通し、お金を確保する 老後の支出を具体的に把握し、必要な資金を確保する方法が示されています。食費や光熱費などの基本生活費に加え、車の買い替えや住宅修繕といった不定期支出も考慮に入れることの重要性を説いています。老後の住まいに関する選択肢(自宅、住み替え、高齢者施設)や、住宅ローンが残っている場合の対処法についても解説。生命保険や民間医療保険の必要性を再検討し、公的保障(遺族年金、高額療養費制度など)を把握した上での見直しを推奨しています。介護費用についても、目安や公的介護保険制度、負担軽減制度を紹介し、介護離職を避けるための専門サービスの活用を促しています。最後に、収入と支出、金融資産を整理し、夫婦で共有してライフプランを立てることで、不安を解消し「ファミリー・ウェルビーイング」を実現できると強調しています。 第3章:なぜ60歳から投資が必要か この章では、60歳から投資を始める必要性を深く掘り下げています。人生100年時代におけるインフレリスクへの対抗策として、預貯金だけでは購買力が低下することを指摘し、外貨建て資産(外国株式や外国REITなど)への投資が短期的な円安によるインフレに効果的だと述べています。長期的なインフレには株式投資が有効であるとし、特に**「世界株インデックスファンド」**を推奨しています。これは多くの銘柄に分散投資できるため、リスクを抑えながら効率的なリターンが期待できるからです。ETFと投資信託の違いや手数料の重要性にも触れ、リスクの高い個別銘柄やアクティブファンドは全体の2割程度の「サテライト」に留めるべきだとアドバイスしています。また、退職金向けの高コストな投資プランや、理解できない商品への投資は避けるよう警鐘を鳴らしています。 第4章:60歳からの賢い投資術 60代からの具体的な投資方法と資産管理の考え方が示されています。60代からでも投資はすべきであり、「数年以内に使うお金は投資しない」「まとめて一気に投資しない」「投資先を幅広く分散させる」という3つの基本原則が重要とされています。資金を「ふだん使うお金」「とっておくお金」「もうすぐ使うお金」「老後に使うお金」に分類し、老後に使うお金の一部を世界株ファンドで運用することを推奨しています。特に、「ダム資金」として運用資産の5年分程度の現金を確保しておくことで、金融市場のショック時にも安心して生活できるとしています。まとまった資金を投資する場合、初めてであれば3~5年程度かけて積立投資を行うのが現実的だとし、価格下落時でも売らずに回復を待つことの重要性を強調しています。NISAやiDeCoといった税制優遇制度を優先的に活用し、高リターンが期待できる株式はこれらの非課税口座に配置する「アセット・ロケーション」の考え方も解説されています。そして、収入が減っても預貯金から積立投資を継続することや、必要な資金を投資信託の一部売却で賄いながら残りは運用を続ける方法を提示しています。
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60歳以降の、退職してからのライフプランについて、目から鱗が落ちること間違いなしの情報が満載となっていました。 特に、年金の繰り上げ支給を選択する方が、逆に有利であるという著者の主張には納得感が高かったですね。 長期的に株式運用の利回りとして7%程度は実績値としてあるので、繰り...
60歳以降の、退職してからのライフプランについて、目から鱗が落ちること間違いなしの情報が満載となっていました。 特に、年金の繰り上げ支給を選択する方が、逆に有利であるという著者の主張には納得感が高かったですね。 長期的に株式運用の利回りとして7%程度は実績値としてあるので、繰り上げ支給を選択することにより、逆に利用する発想は凄いの一言です。 ここの部分を読むだけでも、この本を購入した元を取れるはずです。 また、夫婦のお金の状況は共有すべきであるという著者の主張には、激しく同意できました。 私的には、夫婦が互いの金融資産の状況を全く知らないで老後に突入するというのはあり得ないことだと思ってましたので、よくぞ書いてくれましたという心境になりました。 本書は、60代の方だけでなく、私のような50代の方にも、今後のライフプランを考える際に必読の本だと感じました。本当にお薦めですよ。
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