銀河で一番静かな革命 の商品レビュー
紡ぐ言葉、終わる世界。人間として生きることは決められたことなのか自分で決めることなのか、など。自分がもう少し終わりを意識するようになったら読み返したい本。
Posted by
「地図にないまちをつくったの、遊ぼうよ。」 この一節は、この本の作者であるマヒトゥ・ザ・ピーポーの書いた歌「さよならグレーゴル」からのそれである。僕は、それをはじめて読んだ(正確には、聞いた)日から、この詞がたまらなく好きだ。こんなにもやさしくて、こんなにも切実な言葉ってそうそう...
「地図にないまちをつくったの、遊ぼうよ。」 この一節は、この本の作者であるマヒトゥ・ザ・ピーポーの書いた歌「さよならグレーゴル」からのそれである。僕は、それをはじめて読んだ(正確には、聞いた)日から、この詞がたまらなく好きだ。こんなにもやさしくて、こんなにも切実な言葉ってそうそう書けないと思う。こんな言葉を書ける人になりたい、と強く思ったし、いまも思っている。「言葉」を扱う(という表現はしっくりこない)者としてマヒトゥ・ザ・ピーポーのことを、僕は心から尊敬している。彼のように僕はなりたい。 そんな彼は「目」を落としてしまったと小説内で語る。そんなことはないだろう。むしろ、彼は達観しすぎている。俗にいう「第六感」というやつを持っているはずだ。この話もそんなもうひとつの感覚で見た地球の話なのだろうと僕は思う。でもそれも、生まれもった、天性のそれではないだろう。 「『長くつかったから満喫するとかそういうことじゃないんだけもなあ〜。』」 彼は知りすぎている。それは彼の決死の努力のおかげである。努力なんて言葉はクソくらえと思うが、ここであえて使わせてほしい。特に理由はないけど。グロテスクな世界から、人間が犯した数々の罪から目を背けず、自分の目で見て、自分の言葉で話す彼。そのおかげで、彼は人一倍こころを悩ませている。彼はやさしいのだ。少なくとも僕から見れば。やさしい彼は、誰よりも心を悩ませている。だからこそ、こうもあたたかく鋭い言葉が書けるのだ。 「わたしは考えているようでいつも何も考えていない。強すぎるものからも目を背けて生きている。」 これは自分のことかと思ってどきりとした。思い切り鳩尾を殴られた気がした。くらくらとした。僕は「強い言葉」がキラいで、いつも回りくどくしか話せない。たくさん頭を使ってそうでない言葉を選んでいるつもりで、結局は「言葉」の力に怯えて諦めているだけかもしれない。だから、どきりとした。 「いろはね、こういう時に言うべき英語を知ってるんだ。」
Posted by
- 1
