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人生後半にこそ読みたい秀歌 の商品レビュー

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11件のお客様レビュー

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2025/05/14

ここ数日、薬の副作用で体調が悪く本を読めませんでした。 でも、私は胃腸科では逆流性食道炎があるので「食べてから3時間は横にならないでください」と言われているので寝ているわけにもいかず、二日前からちょっと辛かったですが、この本をがんばって読みました。 この本は先々週だったか、読売...

ここ数日、薬の副作用で体調が悪く本を読めませんでした。 でも、私は胃腸科では逆流性食道炎があるので「食べてから3時間は横にならないでください」と言われているので寝ているわけにもいかず、二日前からちょっと辛かったですが、この本をがんばって読みました。 この本は先々週だったか、読売新聞の書評欄でも取り上げられていて、歌集が取り上げられるのは珍しいなと思い、私もちょうど読もうと思って積んでいました。今の私にちょうどぴったりなタイトルだと思います。 ーーーーーーー 第一部 人生後半へ 著者で歌人の永田和宏さんは2022年に後期高齢者になられたそうです。 中年とは45歳~64歳までだそうです。 〇中年は人生後半への入り口 中年に「門」を読むのは包丁を研ぎあげて鋭刃にさはるのに似る    高野公彦『水行』 漱石の「門」は私はさっぱりわかりません。 〇老いのユーモア あかるすぎる秋のまひるま百円の老眼鏡をあちこちに置く    小島ゆかり『雪麻呂』 私よりひと回り年下の接骨院の奥さんが「この老眼鏡百円なの」とおっしゃっていました。 〇老後と金 老衰をわがするまでにかかるという数千万円をかなしく思う    藤島秀憲『オナカシコロ 短歌日記2019』 銀行の監視カメラにお辞儀して嬉しくて下ろす初の年金           三ツ松秀夫 朝日歌壇 〇老いらくの恋・秘めたる恋 斎藤茂吉と永井ふさ子の恋は秘めたる老いらくの恋。50代で28歳年下の女性と恋した茂吉の逸話はかなり可愛らしく感じられました。 斎藤茂吉記念館に行ったこともありますが、全然知りませんでした。 茂吉の歌は後に、母との死別の歌も出てきますが、こちらの話の方が面白かったです。 山なかに心かなしみてわが落す涙を舐むる獅子さへもなし    斎藤茂吉『暁紅』 50代の恋。 第二部 老いの先へ 〇介護の歌 浅き眠りの父を傍に読みふける介護の歌なき万葉集を     笹公人『終楽章』 もっとも、言えてると思いました。昔と今では寿命が違いますから。この歌集で一番共感した歌です。 笹公人さんのこの歌集は読んでみたいです。 〇ケアハウスという場 「空きを待つ」その空きの意味思いけり特別養護老人ホーム    小山年男 朝日歌壇 これも、もっともな歌老いの歌というのは怖いです。 〇死ぬまでの時間 永田和宏さんの奥様の河野裕子さんは、癌で62歳で亡くなられていらっしゃるのは有名です。 あほやなあと笑ひのけぞりまた笑ふあなたの椅子にあなたがゐない    永田和宏『夏・2010』 最後までわたしの妻でありつづけたあなた、ごはんは、とその朝も言へり    同 河野裕子さんが亡くなられた2010年朝日歌壇をはじめとする投稿欄に河野さんの死を悼む歌が千数百通も寄せられたそうです。 第三部 たのしみへ 〇酒のたのしみ 若山牧水ほど酒の歌の多い歌人はなく、短い生涯の8600余首のうち酒の歌は370首あったそうです。 お酒の歌のところで、この本にほむほむが初登場します。 「酔ってるの?あたしが誰かわかってる?」「ブーフーウーのウーじゃないかな」    穂村弘『シンジケート』 〇友ありてこそ まだ私は60代ではないのですが、栗木京子さんのこの歌は直球ど真ん中でした。 さよならは別れではなく約束と唄えば愉し六十代われら       栗木京子『南の窓から』 来生たかおさんです。 というより私には薬師丸ひろ子さんかな。 〇最後に 孫との日々をたのしむより ユーコちゃんといふ人が居たと思うだらうか日向道なんかで    河野裕子『母系』

Posted byブクログ