劇的に上げる・最大限に引き出す トップジャーナル掲載への戦略と思考法 徹底図解 の商品レビュー
トップジャーナル掲載への戦略というタイトルではあるけれど、本書の大部分を通して書かれているのはトップジャーナルではない雑誌に掲載された論文や研究をどのように考えて実施したか、ということ。 すべての研究と同様、トップジャーナル掲載といういわばエベレスト登頂のような偉業であっても、...
トップジャーナル掲載への戦略というタイトルではあるけれど、本書の大部分を通して書かれているのはトップジャーナルではない雑誌に掲載された論文や研究をどのように考えて実施したか、ということ。 すべての研究と同様、トップジャーナル掲載といういわばエベレスト登頂のような偉業であっても、一つ一つの過程をロジックをもって積み重ねることの重要性が繰り返し語られる。 特に観察研究をどのように実施するか、のテーマが個人的には非常に勉強になった。 単群の介入研究として実施するのか、前向き観察研究なのか、それとも後ろ向きが良いのか?などどれもロジックをもって実施すればそれぞれが適切な解となりえる。研究者がどう考えてどれを選択するか。 また、一般的には弱みと考えられやすい単施設研究や後ろ向き研究にも強みがあるという視点はなるほどとうならされた。単施設研究であるからこそきめ細やかなデータ収集により臨床に役立つ情報を提供できるし、研究というバイアスがかからずに日常臨床そのもののデータを収集できるのは後ろ向き研究ならでは。 もちろんNEJM掲載の過程も非常にスリリング。 さすがエベレスト登頂だけあってスピード感が違うし、NEJMエディターとの事前交渉やデータ確定前の投稿など数々の離れ業がさらっと語られている。 本書の最後は持続可能な臨床研究のためにはSDGs (Science, Drinking, Golf, hot Spring)が大事という信条で締め括られている。 研究においてやっぱり重要なのは信頼できる仲間とのチームづくり。 いかにそれをおこなうかの一つの解がSDGs、かもしれない。
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