1,800円以上の注文で送料無料

企業・自治体職員のための未来予測の進め方 の商品レビュー

5

2件のお客様レビュー

  1. 5つ

    1

  2. 4つ

    0

  3. 3つ

    0

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2025/09/27

100ページ以降がとても参考になります。 特に、地政学リスク(米国の内戦)と、アンケートで「ホンネ」を読み取ることの難しさの部分が良い。

Posted byブクログ

2025/04/19

本書は、企業や地方自治体の職員が直面する未来予測の必要性に応えるための実践的なガイドブック。著者はNRIで長年経営コンサルタント等を務めた小笠原雅則氏。2020年以降の社会情勢変化やTCFD提言に基づくシナリオ分析義務化など、非財務情報開示圧力の高まりを背景に、未来予測の進め方を...

本書は、企業や地方自治体の職員が直面する未来予測の必要性に応えるための実践的なガイドブック。著者はNRIで長年経営コンサルタント等を務めた小笠原雅則氏。2020年以降の社会情勢変化やTCFD提言に基づくシナリオ分析義務化など、非財務情報開示圧力の高まりを背景に、未来予測の進め方を体系的に解説する。 第1章では、まず「預言」「予言」「予測」の違いを明確化。予測は20世紀以降主流となった科学的・論理的思考に基づくものと定義する。「未来予測」(短期・中期)と、より長期で合意形成を目指す「未来洞察」を区別しつつ、これらを「広義の未来予測」と捉える。未来予測手法の全体像を示すフレームワークとして、ラファエル・ポパー博士の「フォーサイト・ダイヤモンド」を紹介。これは「創造性」「証拠」「専門性」「相互作用」の4観点から33種類の手法を分類整理するもので、本書はこの枠組みに沿って解説を進める。スキャニング法やシナリオ・ワークショップなど、よく使われる手法や組み合わせについても概説し、未来予測のプロセス(現状分析→狭義の未来予測→未来洞察)と各手法の対応関係を示す。本書では特に「未来推理法」を中心に解説すると述べる。 第2章では、具体的な未来予測手法を解説。「現状分析」に関わる手法として、課題抽出のためのブレーンストーミング、課題整理のためのSWOT分析や関連樹木法、そして課題の優先順位づけのプロセスを説明。「狭義の未来予測」の手法としては、創造性を促すワイルドカードやSF、専門家の意見を集約するデルファイ法、要素間の相互影響を見るクロスインパクト分析、最も一般的なシナリオ法(ストーリー記述型/テーマ設定型)、具体的なイメージを掴むシミュレーション法/ロールプレイング(定性的)、数理モデル等で定量的に予測するモデル分析、過去の傾向を延長する外挿法、未来の目標から逆算するバックキャストなどを紹介する。 第3章では、未来予測の活用事例を紹介。地方自治体では、新潟市が人口減少対策として、京都府北部地域が広域連携のために「地域の未来予測」を作成し、次期計画策定や市民との共通認識形成に役立てている。企業事例では、ロイヤル・ダッチ・シェルがオイルショック以降シナリオ分析を経営戦略に活かし続けている。さらに、歴史を動かした未来予測として、SF作品(2001年宇宙の旅等)、ローマクラブ「成長の限界」、トフラー「第三の波」、ハンチントン「文明の衝突」、アル・ゴア「不都合な真実」などを挙げ、社会変革への影響力を示す。分野別動向として、人口(IPSS推計)、気候変動(IEAデータ)、インフラ(整備遅延)、宇宙・天文(予測可能)、科学技術(実現期待技術)、経済・産業(ランキング低下、空き家増等)、地政学リスク(予測困難性、ハザード/ディザスター)、政治予測(困難さ)などの現状と見通しを解説。 第4章では、本書が中心とする「未来推理法」(スキャニング法、文献レビュー、外挿法、時系列分析などを含む著者提唱の手法)の実践方法を解説。未来に関する言葉「予測」「見通し」「目標」を確実性や主体性で区別し、情報を検索・評価する際の注意点を強調。人口、環境、科学技術、経済など、分野ごとの予測特性を理解し、根拠や論理を検証する重要性を説く。 第5章では、データ読解時の注意点を詳述。二次情報でなく「一次資料」にあたること、情報発信側の意図(極端なシナリオ強調傾向)を理解すること、経済指標の速報値と確定値の違い、アンケート調査のバイアス(日本人の回答傾向、隠れ支持者など)、市場調査データの限界(競合未考慮など)を指摘。 おわりに、未来予測の真の目的は未来を当てることではなく、予測を踏まえて現在取るべき行動を検討し、実行することであると結論付ける。予測を活用し、より良い未来を築くための施策実行こそが重要であると強調する。

Posted byブクログ