内村鑑三 再臨の風景 の商品レビュー

小林孝吉(著者)

2025/04/09

内村鑑三の再臨信仰の特徴

霊的再臨と有形的再臨:
内村は、キリストの再臨を霊的なもの（心霊の一体化）と有形的なもの（光の中の到来）の両面から捉えていました。
これは、単に歴史的な出来事として未来に起こる再臨を待つのではなく、現在進行形の霊的な出来事としても捉える彼の独特な視点を示しています。
個人的救済と社会変革の結びつき:
内村にとって、再臨は個人の救済だけでなく、社会全体、そして宇宙全体の変革をもたらすものでした。
彼は、再臨によって、不正や苦しみ、死のない新しい天と地が創造されると説き、それが神の国の完成であり、人類の理想の実現であると考えました。
聖書研究との深い関連性:
内村は、聖書、特にヨハネの黙示録やパウロ書簡などを通して、終末と再臨に関する理解を深めました。
彼の再臨信仰は、聖書研究から得られた深い洞察に基づいています。
無教会主義との関連性:
内村は、既存の教会制度や形式にとらわれない、個人の内面的な信仰の核心として再臨信仰を捉えました。
この考えは、彼の無教会主義の思想と深く結びついています。
内村鑑三の再臨信仰の背景

時代背景:
日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦といった当時の世界情勢は、彼の再臨信仰に影響を与えました。
彼は、これらの出来事を神の摂理の中で捉え、再臨への期待を強めていったと考えられています。
個人的な経験:
愛娘のルツの死は、彼に復活への強い希望を与え、再臨への信仰を深めるきっかけとなりました。
内村鑑三の再臨信仰が与えた影響

日本のキリスト教界への影響:
内村の再臨信仰は、当時の日本のキリスト教界に大きな影響を与えましたが、同時に論争の的ともなりました。
彼の独特な解釈は、一部の信者や指導者から共感を呼びましたが、多くの反論や批判も寄せられました。
現代への問いかけ:
内村の再臨信仰は、現代の私たちに、信仰の本質、希望のあり方、そして個人と社会の関係について深く考える機会を与えてくれます。