気候変動と農業の危機 の商品レビュー
去年から、お米が高騰。 世の中、政府が悪い、全農が悪いと犯人探しをしがちである。仕組みを改善したら、お米は安くなるのだろうか。 気候変動について、私達は対岸の火事のようなスタンスで生きている。しかし、本書を読むとこのまま気候変動(地球温暖化)が進むと、米どころか野菜や魚の何もか...
去年から、お米が高騰。 世の中、政府が悪い、全農が悪いと犯人探しをしがちである。仕組みを改善したら、お米は安くなるのだろうか。 気候変動について、私達は対岸の火事のようなスタンスで生きている。しかし、本書を読むとこのまま気候変動(地球温暖化)が進むと、米どころか野菜や魚の何もかも供給量が減少し、値段が上がっていくであろうと危機感を感じる。 本書は、異常気象に対して農家や大学の研究者がどのような農業技術で立ち向かっているのかという報告で構成されている。高温に耐性がある品種改良が進めば良い、というものでもないらしい。 施肥、水調整という工夫は、農業従事者ではない私達にとって、「あれ、そんなこと」と感じるかもしれない。しかし、後継者不足に喘ぐ農家にとって、労働力が確保できなければ、今までより頻繁な施肥や水管理の遂行は極めて困難なのだ。スマート農業でドローン導入だ、という解決方法も若手農家なら可能でも、高齢者では難しい。 日本農業が以前から抱える諸問題が、気候変動対策をさらに複雑、困難にしている。農業は、そして日本は本当に大丈夫なのか、と考えさせられる。 報告と質疑応答から構成された本のため、現場の危機感をヒシヒシと感じることができるが、中期的な課題解決の観点には欠ける。現状理解と課題整理に適した本という印象である。 ただ、もっとこの現実を多くの人達が知るべきだと思う。確かに米が高い、困る。しかし、生業として農業を営む方々にとって、この先が見えない環境状態は生きる糧を失う不安な状態であろう。
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配架場所・貸出状況はこちらからご確認ください。 https://www.cku.ac.jp/CARIN/CARINOPACLINK.HTM?AL=10283299
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