1,800円以上の注文で送料無料

はざまのわたし の商品レビュー

4.2

11件のお客様レビュー

  1. 5つ

    5

  2. 4つ

    3

  3. 3つ

    1

  4. 2つ

    1

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2025/09/24

辛かった、悲しかった思い出の鮮明さたるや。 在日コリアンへの日本人からの差別ももちろんだが、家族の繋がりが読んでて苦しい。断ち切ってしまえと叫びたくなる。

Posted byブクログ

2025/09/03

食にまつわるエッセイとなっているが、本題としては、タイトルにあるように、日本と韓国とのはざまで苦悩する、一人の女性の自伝だ。 日本で生まれ育ちながら、家庭では韓国の文化に強く影響された筆者が、経験してきたものを、食を手掛かりに回想してゆく。 自己防衛というか、他者との間に見えない...

食にまつわるエッセイとなっているが、本題としては、タイトルにあるように、日本と韓国とのはざまで苦悩する、一人の女性の自伝だ。 日本で生まれ育ちながら、家庭では韓国の文化に強く影響された筆者が、経験してきたものを、食を手掛かりに回想してゆく。 自己防衛というか、他者との間に見えない壁を作ってしまう著者の姿がどこか痛々しいです。

Posted byブクログ

2025/08/31

 本作は、全16話の「食」に関する連作エッセイ…とは簡単には片付けられません。在日コリアン家庭で育った著者の、来し方が詳細に綴られた深い内容の自伝的エッセイでした。  かと言って、暗いイメージはありません。確かに「食」の思い出が、自身の常々感じてきたアイデンティティの葛藤や違和...

 本作は、全16話の「食」に関する連作エッセイ…とは簡単には片付けられません。在日コリアン家庭で育った著者の、来し方が詳細に綴られた深い内容の自伝的エッセイでした。  かと言って、暗いイメージはありません。確かに「食」の思い出が、自身の常々感じてきたアイデンティティの葛藤や違和感、劣等感と重なり、ある意味心を削る記憶として刷り込まれているようです。  けれども今現在は、過去を客観的に振り返ることができ、穏やかな気持ちで描かれている様子が伝わってきます。著者自身が仰る通り、思い出の上書きには、長い時間がかかるのですね。本書はまさに人生の棚卸し!  朝鮮半島ルーツの人が、多くの「はざま」でもつ社会からの疎外感…。それらにもがき苦しんできた著者の生き方に、小説世界とは別の心を揺さぶりを覚えました。  本作が深沢潮さん3冊目の読了でしたが、実は直近の2冊も含め、韓国語翻訳者・斎藤真理子さんの影響でした。  斎藤真理子さん曰く ー『はざまのわたし』を読んだら、『翡翠色の海へうたう』と『緑と赤』が重なり合い、水平線がつながったような気がしたー  なるほど代表的な小説を2冊、その後本書を読んで、(偉そうですが)斎藤さんが書かれたその意味がよく理解・納得できた気がしました。  今年は昭和100年とか戦後80年とか言われてます。けれども、ほとんど聞こえてきませんが「日韓国交正常化60周年」にも当たっているそう。隣の国の人々やその文化を尊重し、両国が今後良好な関係性を築いていけたらいいですね。

Posted byブクログ

2025/08/07

著者である深沢潮さんとの出会いは、アジア・太平洋戦争中の沖縄戦と慰安婦問題を巡って2人の女性を綴った「翡翠色の海へうたう」であり、とても感銘を受けた。著者からのお薦めも頂き、複数の書籍を読ませて頂いた。今回は、著者のエッセーであり、在日コリアンとして、また両親の民族意識や家父長制...

著者である深沢潮さんとの出会いは、アジア・太平洋戦争中の沖縄戦と慰安婦問題を巡って2人の女性を綴った「翡翠色の海へうたう」であり、とても感銘を受けた。著者からのお薦めも頂き、複数の書籍を読ませて頂いた。今回は、著者のエッセーであり、在日コリアンとして、また両親の民族意識や家父長制による価値観の押しつけ体験と葛藤を「食」を通じて振り返ります。恋愛観などの葛藤と人としての成長、人生観の変化などを韓日の「食」文化を手がかりに、韓日のかかわりを紐解き、想像を巡らせます。また、韓国への来訪を中心に、アメリカへの留学体験や様々な国々への訪問・旅行を通じて諸外国の方々との人間関係や交流など、世界の食文化と韓日の関係も紹介し、韓日との関係に思いを巡らせます。韓日との「はざま」で揺れ動く「わたし・女性」を追体験することで、懐かさが蘇ったと共に、在日や外国籍の方の心情を顧みる貴重な機会となった。 追伸  「週刊新潮」7月31日号(7月24日発売)では、韓国にルーツを持つ作家の深沢潮さんを名指しで差別対象にしたコラムを掲載したとして、8月4日(月)国会内で同誌版元の新潮社に抗議する記者会見を開いた。深沢さん側は、コラムの内容は事実でなく「外国にルーツがある人が日本を批判することを敵視するもの」だと指摘。「創氏改名」は植民地時代の朝鮮半島での日本への同化政策で「度し難い人権侵害のコラム」だとして、日本全国に広めた新潮社の責任を問うとしている。会見で、深沢さんは「心が打ち砕かれた」として、出版社がレイシズム(人種差別)を放つとは「文学そのものへの毀損(きそん)、文学界への極めて無責任な態度」だと批判。在日コリアンは長年差別され、「みんな隠れて生きている。声を出せる立場だから」と、抗議した思いを語った。日本共産党の吉良良子参議委員議員が連帯のあいさつ。立憲民主党、社民党、れいわ新撰組の議員が参加した。なお、明日香さんがコメントを寄せ、多くの作家・著名人が、深沢潮さんに連帯したメッセージを寄せており、昨今の参議院選挙で跋扈した排外主義に対して、満身の怒りを込めて抗議したい。

Posted byブクログ

2025/08/06

このエッセイは深沢潮さんの人生の棚卸しだと終わりに語っている。独裁的な父と支配的な母の元、厳しく暴力的に育てられたそうだ。学校では自分のアイデンティティに苦しみ、ルッキズムに支配され続け、恋愛願望と過度な他人への奉仕、両親の束縛から解放されるために見合いを繰り返したことなど、赤裸...

このエッセイは深沢潮さんの人生の棚卸しだと終わりに語っている。独裁的な父と支配的な母の元、厳しく暴力的に育てられたそうだ。学校では自分のアイデンティティに苦しみ、ルッキズムに支配され続け、恋愛願望と過度な他人への奉仕、両親の束縛から解放されるために見合いを繰り返したことなど、赤裸々に「食の思い出」と共に語られている。いろいろな食べ物が美味しそうに描かれていて僕も食べたくなった。特に豚肉を白菜で包んで食べるポッサムをさっき妻にリクエストしたばかりだ。

Posted byブクログ

2025/07/27

・ 読書記録25-30 はざまのわたし 深沢潮 著 食を手がかりに描く、著者の自伝的エッセイ 2025年7月26日 アリラン・ブックトークVol.19 『はざまのわたし』に参加 出版後すぐに韓国と日本 それぞれの場所で読んだ本作を 著者様の前で再読する幸せ ご家族ご親戚と...

・ 読書記録25-30 はざまのわたし 深沢潮 著 食を手がかりに描く、著者の自伝的エッセイ 2025年7月26日 アリラン・ブックトークVol.19 『はざまのわたし』に参加 出版後すぐに韓国と日本 それぞれの場所で読んだ本作を 著者様の前で再読する幸せ ご家族ご親戚とのより深いお話し プライベートなお写真のご紹介 写真中、韓国の地域による 食べ物の違いも興味深い 出自に関してご自身の葛藤 お父様との最後の時間 参加者との対話中 教育職の方からの質問 日本の教育について 「同じであることに安心・共感があっても 違う人に対する想像力を養う教育に…」 シンパシーとエンパシー この対話が頭から離れない ブックトークに参加出来て本当によかった 数年前 深沢先生の作品を紹介してくれた友よ ありがとう、心から #はざまのわたし #深沢潮 先生 #本好き #読了 #부엌독서실 #本のある暮らし

Posted byブクログ

2025/07/01

ネットで連載されていたタイトルが「李東愛(イドンエ)が食べるとき」なのだが、その冒頭で、自分を偽らないで書きたいと書かれていた。李東愛とは、深澤潮さんが日本国籍を取る前の本名。そもそも、日本国籍を取ったのも、就職や結婚などで、大変な苦労をしたからだそうだ。 本書は、食を軸にして...

ネットで連載されていたタイトルが「李東愛(イドンエ)が食べるとき」なのだが、その冒頭で、自分を偽らないで書きたいと書かれていた。李東愛とは、深澤潮さんが日本国籍を取る前の本名。そもそも、日本国籍を取ったのも、就職や結婚などで、大変な苦労をしたからだそうだ。 本書は、食を軸にして、自分の越し方を書いているが、現在ではともかく、在日であるというだけで、相当な差別があったということだ。 たぶん、朝鮮半島が日本の植民地であったことで、日本人が朝鮮人を見下していたことに加え、日本とは違う風習や文化に眉をひそめる日本人が多かったからではないだろうか。 韓国人であることがばれないように、ビクビクしながら生きていた著者。また病弱な姉や、すぐに手をあげる両親、ひねくれ者の思春期の自分自身のことなど、洗いざらい吐露している。 また、韓国が民主化する前は、在日イコール スパイとみなされ、韓国に住む韓国人が在日韓国人と交流するのも躊躇われたそうだ。 韓流がブームになるなど、著者も言うように、そう言う意味ではいい時代になったと思う。86歳のお母さんが、堂々とキムチを買えるようになったのもよかった。

Posted byブクログ

2025/04/11

全編が自己紹介のような本。環境や立場は違うけれど、わが家の食事風景や時代の記憶まで呼び起こされ‥懐かしさ誇らしさに恥ずかしさと申し訳なさ‥わたし自身にも身に覚えがあり過ぎて胸の奥がチクリと痛い。 以前、経歴もなにもまったく予備知識のないまま『乳房のくにで』を読んだ時の、物語全体か...

全編が自己紹介のような本。環境や立場は違うけれど、わが家の食事風景や時代の記憶まで呼び起こされ‥懐かしさ誇らしさに恥ずかしさと申し訳なさ‥わたし自身にも身に覚えがあり過ぎて胸の奥がチクリと痛い。 以前、経歴もなにもまったく予備知識のないまま『乳房のくにで』を読んだ時の、物語全体から受けたどんよりとした閉塞感がどこから来るのか謎だったのだが‥ようやくその理由が少しわかったような気がした。web連載だったそうで文章はとても読みやすいが、なかなかハードな人生。書くことで自分を保ち生き延びてきた人なのかも。本書で紹介されたほかの作品も読まなくては。

Posted byブクログ

2025/04/10

食にまつわるエッセイとあるけど、どちらかというとはざまである在日コリアンの著者の韓国と日本での間での話ばかりで、全然食欲湧かない笑。これ食べたいなーってなるエッセイとかではないです、全く

Posted byブクログ

2025/04/08

「食」にまつわるエッセイだが、在日コリアンの家庭で育った著者の来し方を綴ったものである。 要所要所に著者の小説が出てくるのも興味深い。 アイディンティティを拗らせた中高時代の頃の韓国への複雑な思いも感じながら上手く食に繋がっているのも読みやすい。 家父長制度が強いのが国がらなのか...

「食」にまつわるエッセイだが、在日コリアンの家庭で育った著者の来し方を綴ったものである。 要所要所に著者の小説が出てくるのも興味深い。 アイディンティティを拗らせた中高時代の頃の韓国への複雑な思いも感じながら上手く食に繋がっているのも読みやすい。 家父長制度が強いのが国がらなのか、時代なのかそのどちらなのかもしれないが、似たような時代に育った自分にもよくわかると感じることがあり、いろんなところで懐かしくなった。

Posted byブクログ