ファージ・ハンター の商品レビュー

山内一也(著者)

2025/02/13

ファージ療法は抗菌剤より早くからあった
Crisprは細菌・アーキアのファージに対する獲得免疫
CAS9はDNA切断酵素

2025/02/10

概要
本書では、バクテリオファージ（細菌ウイルス）を利用したファージ療法の歴史、進展、及び現在の研究状況について詳細に述べられています。この治療法は、抗生物質に耐性を示す細菌に対する新たな治療法として注目されています。

ファージ療法の歴史
初期の発見と研究
- ファージの発見: 1917年、フェリックス・デレーユがバクテリオファージを発見し、その治療可能性を示しました。
- 初期の成功: デレーユは赤痢の治療に成功し、ファージ療法が急速に広まりました。

研究の停滞と復興
- 抗菌薬の台頭: 第二次世界大戦後、抗生物質の普及に伴い、ファージ療法は一時的に衰退しました。
- 冷戦時代の研究: スターリン政権下でのグルジアでのファージ研究所設立や、デレーユとエリアヴァの共同研究が行われました。

現在の状況と研究
抗生物質耐性問題の増加
- 耐性菌の増加: バンコマイシン耐性菌など、抗生物質に耐性を持つ細菌が増加している。
- ファージ療法の復活: 近年、ファージ療法の再評価が進み、臨床試験が行われています。

具体的な臨床事例
- パターソンのケース: 薬剤耐性の感染症に苦しむ患者に対してファージ療法が適用され、回復を果たした事例が紹介されています。
- 臨床試験の進展: 複数の臨床試験が行われており、FDAからの緊急使用承認が得られています。

ファージ療法のメカニズム
ファージの作用
- 感染機構: ファージは細菌に感染し、その内部で増殖します。これにより、細菌を効果的に死滅させることができます。
- 抵抗性の研究: CRISPR技術の発展により、細菌の抵抗メカニズムも解明されつつあります。

未来の展望
- 新たな治療法の可能性: ファージ療法は、抗生物質耐性の細菌に対する新たな治療戦略として期待されています。
- 研究の進展: ファージ療法に関する研究はますます活発化しており、将来的には臨床での応用が拡大する見込みです。

結論
本書は、ファージ療法の歴史的背景から現在の臨床応用、さらには将来の展望までを包括的に扱っており、抗生物質耐性問題への重要な解決策としてのファージ療法の可能性を強調しています。ファージ療法の理解が深まることで、より効果的な治療法の開発が期待されます。