1,800円以上の注文で送料無料

日本美のこころ の商品レビュー

5

2件のお客様レビュー

  1. 5つ

    2

  2. 4つ

    0

  3. 3つ

    0

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2024/12/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「伝統は残すものではなく、残るもの」という言葉が真理だと思った。いわゆる伝統と言われる堅苦しいものだけでなく、街も、生活も、慣習も。全部そうだ。 残るものにも、残らないものにも、理由がある。 もちろんこれまで築き上げられてきた日本の伝統文化が、なくなればいいとは思っていない。ただし、無理やり「残そう」とする動きには、違和感を感じていた。 残すのでは、残る、という言葉は、そんなことを考えていた自分にしっくりきた。 残っていくものにも、残っていかないものにも、必ず理由がある。 物を買うことにも、理由を持つことを最近意識している。何が気に入ったか、ずっと愛せるか、手入れして長く使えるか、想いを持って作られた物か。 ふるさと納税もそうだ。節税効果によってやや市場が荒れている気もするが、その土地で採れたものを選ばせていただくように心がけている。 消費者の選択意識や購買によう投票によって、この伝統文化も残るかどうか決まる。積極的に、文化や背景に共感できるものを手に取り、大切にする習慣をもちたい。

Posted byブクログ

2024/12/10

以前紹介した『日本美のこころ』『日本美のこころ 最後の職人ものがたり』をまとめた文庫本。めちゃめちゃ良い。人生で何度も読み返すであろう1冊。 自らのオックスフォード留学記をまとめ「赤と青のガウン」を発刊した彬子女王殿下。 6年間のイングランド留学を終えて、次に向かわれたのは「日...

以前紹介した『日本美のこころ』『日本美のこころ 最後の職人ものがたり』をまとめた文庫本。めちゃめちゃ良い。人生で何度も読み返すであろう1冊。 自らのオックスフォード留学記をまとめ「赤と青のガウン」を発刊した彬子女王殿下。 6年間のイングランド留学を終えて、次に向かわれたのは「日本美のこころ」を探す旅だった。(博士号取得は、大英博物館所蔵の日本美術コレクションを研究) 『日本美のこころ』では、日本文化に精通された彬子女王の知識、気づき・発見、想いを、柔らかくユーモア混じった文体で読めるのが嬉しい。単純に勉強にもなるし、これから旅・観光をしたときに「彬子視点」を持って各地を巡ることができる。 盆栽・和紙・煎茶・浮世絵・磁器・土偶・蹴鞠・日本庭園などのモノから、皇居・正倉院宝物殿・出雲・高千穂などの場所、祭事まで、昔から連綿と紡がれてきた文化の過去と現在を楽しんだ。 『日本美のこころ 最後の職人ものがたり』では、彬子女王殿下が北は青森から南は沖縄・久米島まで日本各地の“最後の職人”を訪ね、取材している。 最後の職人とは、後継者不足・材料の枯渇・用途の減少により失われつつある伝統の手わざを、最後のひとりとなっても守り続ける矜持をもって、日々仕事に励む職人さんたちのこと。 烏帽子(えぼし)、杼(ひ)、蒔絵筆(まきえふで)、キリコ、丹後和紙などはギリギリ知っていたが、 烏梅(うばい)、和釘(わくぎ)、金唐紙(きんからかみ)、御簾(みす)、漆(うるし)かき道具など、見たことも聞いたこともないものを作っている職人さんもいて、とても興味深く読んだ。 特に印象に残ったのは、冒頭の「わたしが行きついた答えは『伝統とは残すものではなく、残るもの』であるような気がしている」との一文。 その後「今日までその技術が残ってきたのには理由がある。そして、その技術は失われるのにもまた理由があるのである」と続く。 目を見開いて日本文化・伝統を研究し続けてきたからこそ綴ることができた、彬子女王ならではの言葉には魂が宿っている。

Posted byブクログ