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AI・機械の手足となる労働者 の商品レビュー

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2024/12/31
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要旨 デジタル技術の発展により、物理的な工場という空間を超えて、作業者を工場のような管理の下に置くことが可能となった。その結果、労働力として期待できる潜在的なマンパワーは世界中に広がり、多種多様なバックグラウンドを持つ人々を同じ作業に従事させられるようになっている。また、その労働の参加者も1つの仕事に縛られるのではなく、さまざまな(単純かつ短期的な)労働を掛け持ちして稼ぐことが可能になった。 デジタル技術の発展により、デジタル技術を通じたアルゴリズムで作業者、労働を組織化し、分配、分割、管理をしている。この標準化された規律は、フォーディズムと類似しており、「デジタルフォーディズム」呼べる。これは、フォーディズムという名称の通り、単純な作業や苦痛をもたらす作業を低賃金、長時間労働などの過酷な環境で行わせるもの(貧しい地域、移民など、低賃金労働者を労働市場ターゲットのメインとしている)であり、フォーディズムと異なる点は、労働者の多様性である。デジタル技術により、多様な労働市場から労働者の確保が可能となり、柔軟な働き方も可能である。(ただし、低賃金であるため、結果的に長時間労働を強いることなどは起こり得る。) この多様性を持っていながらも規律を保つために、評価、成果報酬という形や、正社員登用があること、解雇をちらつかせることで労働者の秩序を保っている。また、労働者の多様性ゆえに、労働運動を行うことが難しい環境下におかれている。 出産休暇、失業手当などの正社員が享受する福利厚生はなく、前時代的な賃金制度となっており、これは、移民などの低賃金労働者との階層性を強化するものである。 機械化を通じて人間の労働がなくなると言われているが、機械化の裏方として人間の労働は必要であり、そう簡単に人間の労働がなくなるものではない。 デジタル技術の発展により、階層性がより強まっている。

Posted byブクログ