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現代日本人の法意識 の商品レビュー

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5件のお客様レビュー

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2025/02/11

元裁判官で学者の著者の丁寧で緻密かつ論理的に構成された内容に感銘を受けた。 法学部出身だが、法制や裁判の背景にある法意識というものには、思いを巡らすことが無かったので、とても興味深く読んだ。 著者の指摘で思い至ることが多く考えさせられた。

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2025/01/28

日本人は法意識が低い。有罪率が高いのは検察官が優秀なだけでなく、無罪という欠点を作ってはいけないという意識も作用している。裁判官も警察を信頼しすぎて有罪にしがちである。一度も無罪を出したことのない裁判官もいる。冤罪への意識が低い。上に立つものも法に縛られるという意識が低い。手続き...

日本人は法意識が低い。有罪率が高いのは検察官が優秀なだけでなく、無罪という欠点を作ってはいけないという意識も作用している。裁判官も警察を信頼しすぎて有罪にしがちである。一度も無罪を出したことのない裁判官もいる。冤罪への意識が低い。上に立つものも法に縛られるという意識が低い。手続きの透明性が低い。

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2025/01/07

【目次】 第1章 「現代日本人の法意識」について考えることの意味 第2章 日本法の歴史とその特質ー古代から現在までー 第3章 婚姻、離婚、親権、不貞、事実婚、同性婚をめぐる法意識 第4章 犯罪と刑罰・死刑をめぐる法意識ー応報的司法から修復的司法へー 第5章 冤罪をめぐる法意識、刑...

【目次】 第1章 「現代日本人の法意識」について考えることの意味 第2章 日本法の歴史とその特質ー古代から現在までー 第3章 婚姻、離婚、親権、不貞、事実婚、同性婚をめぐる法意識 第4章 犯罪と刑罰・死刑をめぐる法意識ー応報的司法から修復的司法へー 第5章 冤罪をめぐる法意識、刑事裁判官・検察官のあり方 第6章 権利、所有権、契約、民事訴訟をめぐる法意識 第7章 司法、裁判、裁判官をめぐる大いなる幻想 第8章 制度と政治をめぐる法意識 第9章 法意識の基盤にある日本の精神風土

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2025/01/01

日本の法曹の問題点を知り尽くした筆者の鋭い指摘の傍ら、裁判官は自らの信念と直感で裁き、その補完として法があるべしという理念ゆえか、「私見による」見解が後半たくさん披瀝され、どういうスタンスで読むべきか悩むところがあったりはする。次第に「法意識」というより日本社会の課題の話に広がる...

日本の法曹の問題点を知り尽くした筆者の鋭い指摘の傍ら、裁判官は自らの信念と直感で裁き、その補完として法があるべしという理念ゆえか、「私見による」見解が後半たくさん披瀝され、どういうスタンスで読むべきか悩むところがあったりはする。次第に「法意識」というより日本社会の課題の話に広がる。

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2024/12/30

大学は法学部を出た。若い頃は法律を学ぶことで、何かトラブルに巻き込まれても、知識さえあれば社会生活や人間関係の中で自分や周囲の人を守れる、そんな想いを漠然と抱いていた。民法や刑法の知識を身につけるには、様々な判例に触れる事になるから、自分自身の置かれた状況に置き換えて考える事で、...

大学は法学部を出た。若い頃は法律を学ぶことで、何かトラブルに巻き込まれても、知識さえあれば社会生活や人間関係の中で自分や周囲の人を守れる、そんな想いを漠然と抱いていた。民法や刑法の知識を身につけるには、様々な判例に触れる事になるから、自分自身の置かれた状況に置き換えて考える事で、どういった結果になるのか、容易に予測がつく様になる。刑法については自分が犯罪に手を染めたり、身近な人が巻き込まれるなど滅多に無いだろうから、テレビドラマやニュースを観て、犯罪に触れた時に、凡その刑罰の重さを予想する程度ではあるものの、事件や内容の理解度は多少は上がったと思う。法を守る限り、法の傘の下にいる限り、犯罪やトラブルなどが台風や雨の様に降りかかっても、私は大丈夫、守られているという意識だった。 本書は法意識という表題にある通り、日本人が法に対して、どの程度の考えを持ち、それらを活用しているかについて考えている。一般的に日本人は法律に対する意識は低いとされているが、確かに弁護士や裁判官、検察官にでもならない限りは、法学部で学んだ程度で終わった私の様な人間は、前述の通り、何となく守られている、程度の想いしか抱かない、抱けない。中途半端に学んだだけなら、実際に世の中の裁判結果などに違和感を感じる機会が多いだけ、といった事になる。社会人になって、多くの仕事が契約書ベースである事に気づいた時も、内容なんてフォーマット通りで結ぶことが多かった。法務部がチェックして作っているものだし、効率化を図るなら、中身など毎回一々見てはいられない。相手方が提示する契約書でさえ、中身をさらっと読んで、念の為法務のチェックにかけるが、凡そ似た様なコメント、指摘しか無いから、あまり重視せず締結してしまう事もざらだ。システムの仕事に就くと、ソフトウェアなどの販売元やメーカーが海外企業であるケースが多いが、流石に海外メーカに「国内が主戦場の企業」である自社のフォーマットを服ませる訳にはいかないから、相手方の英語書式を和訳する所から始める。そうなると細かい点にも中々面倒で更にチェックも甘くなってしまう。今更だが、何百回もそうした事をやって来たから、中には自社にとって相当不利なものもあっただろうと思う。段々と慣れて適当になってしまうのが現状だ。だが幸いにもトラブルに巻き込まれる事もなく、安定してきたから益々、法や契約に対する意識は低くなってしまったかもしれない。 だが法律も万能では無い。大丈夫だと安心していると、いざトラブルに遭った際に、自分が予想していた様な結果にならなかったり、民法なんかは意外や意外、期待した結果とは異なる事も多くある。長く人生を歩んでくると、自分の知識の無さ、不勉強を後悔しても遅いと感じる事に遭遇する。本書はそうした現代日本の法律に内在されている課題や問題を挙げて、それが成立した経緯や、どうあるべきかについて述べている。確かに読んでいると大学の授業が、かなりの点でそうした課題を挙げて、どう改善されるべきか、という議論が多かった様に記憶する。私の学生時代は尊属殺人などがテーマとして挙がっていたように。読み進めると、まるで数十年前の学生時代に戻ったかのように感じている自分に気づく。 法は万能では無いし、様々な課題を抱えている。そしてそれは社会が変わる度に、新たな課題が生まれてくるから、常に変化、成長しているものだ。常に方に対して一定の意識を向けておかないと、いざという時に困る事になるし、万能では無いから、守られているという柔らかな幻想に浸っているだけだったと気づいた時には手遅れになるかもしれない。 本書はそうした法律が抱える問題の中でも、特に身近に起こる可能性が高い婚姻や離婚に関する意識、ニュースで触れる機会が多い死刑制度に対する意識、冤罪への考え方、政治に関わる犯罪への意識など、日本人が持つ意識について考えていく。そしてそれらが島国日本に於いてどの様に形成されてきたか、精神的土壌から考えていく流れで構成される。ヨーロッパの様な、陸続き、外国・隣人との戦乱に多く巻き込まれた環境とは異なる日本人特有の(和を大切にする)考え方に基づき、何が問題で、どうあるべきか、改めて一人一人が真剣に考える機会を与えてくれる。

Posted byブクログ