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命の砦 の商品レビュー

4.3

42件のお客様レビュー

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2026/03/29

『臨床の砦』がコロナ禍の渦中における医療崩壊の緊迫を描いたのに対し、本作はその前史——未知のウイルスが日本に到達し始めた2020年初頭の不穏と混乱を、同じ信濃山病院を舞台に描く。呼吸器内科医も感染症専門医もいない地域病院が、なぜクルーズ船の患者受け入れを決断したのか。その問いに、...

『臨床の砦』がコロナ禍の渦中における医療崩壊の緊迫を描いたのに対し、本作はその前史——未知のウイルスが日本に到達し始めた2020年初頭の不穏と混乱を、同じ信濃山病院を舞台に描く。呼吸器内科医も感染症専門医もいない地域病院が、なぜクルーズ船の患者受け入れを決断したのか。その問いに、現役医師である著者は小説という形式を借りて静かに、しかし明確なリアリティを伴って克明に答えていく。前作が「闘い」の記録だとすれば、本作は複数の医師の視点から描かれた「覚悟」の記録ともいえるかもしれない。

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2026/03/27

現役の医師でありながらどのように執筆の時間を作っているのだろうか 世の中に日常が戻ってきたことに改めて感謝したい

Posted byブクログ

2026/01/09

先に刊行された文庫版『臨床の砦』の姉妹作品となる。 令和4年のゴールデンウィークを迎え、コロナ診療もすっかり板についた感のある、本来は消化器内科医である・敷島寛治(しきしま かんじ)が、正体不明のウィルスの恐怖に震えた第一波の過酷さは群を抜いていたと振り返る。 信濃山病院(しな...

先に刊行された文庫版『臨床の砦』の姉妹作品となる。 令和4年のゴールデンウィークを迎え、コロナ診療もすっかり板についた感のある、本来は消化器内科医である・敷島寛治(しきしま かんじ)が、正体不明のウィルスの恐怖に震えた第一波の過酷さは群を抜いていたと振り返る。 信濃山病院(しなのやまびょういん)は200床に満たないが、「感染症指定病院」となった。 「公立病院としての当院の役割だと考えてもらいたい」と南郷院長。 横浜にクルーズ船が入港したのが令和二年の二月。第一波の頃はすべて手探り。ワクチンはもとより治療薬もない。コロナ患者を受け入れる病院もわずか。発熱があるというだけで診察を拒否された多くの患者が信濃山病院に送られてきた。 多くの医師が反発し、家族からも、コロナ患者を診ないで、近所に知られたらここに住めなくなると懇願された。死にたくないと泣き出す若い看護師たち。 「役割分担」を理由に見て見ぬふりを続けている他の総合病院。逃げ続けているうちに収まればいいと考えている。 感染症という悪魔に、人間性が試されているようだ。 コロナ診療の過酷な現場の状況が外に伝わらないのは、患者のプライバシーを守るためと、病院を風評被害から守るためでもある。そこに「沈黙の壁」が存在すると三笠。 危機感のある者ない者。 平気で海外旅行に行ってウイルスをもらってきては後から泣きついてくる患者たち。医療者であっても現場の過酷さを知らない者は、3人だったら大丈夫でしょう?などと居酒屋に誘う。そこには「コロナ診療に関わっている医師の入店を遠慮してもらいたい。他のお客様の安全のため」という張り紙があった。コロナ診療に関わっている身にとってショックだが、居酒屋の店主の方がよほど危機管理ができていると感じる敷島だった。 やがて、信濃山病院のスタッフたちは一人、また一人と戦列に加わっていった。 医師として、ではなく、人間として。 人間というものを信じられなくなる場面もたくさん見てきたが、そういう負の面よりも、人間の善意を描きたかったというのが作者の言葉である。 現在では、誰もが普通に「コロナに罹った」と言い、どの診療所でも診てもらえるようになった。 だが、喉元過ぎて忘れてはいないだろうか?自分を犠牲に頑張ってくれる医療者だけに都合よく押し付けて、どうにか乗り切ればそれでOKと大病院や行政が思っているなら大きな間違い。同じことはまた起きる。 忘れてはいけない。

Posted byブクログ

2026/01/03

あのコロナの日々、コロナに対峙する先生達はこんな大変な思いをしていたのかと、頭が下がります。厳しい医療の現場の話なのに、切実ではあるが暗よりも温かさを感じるところが夏川さんらしい。あとがきで、(人間の悪の部分よりも)人間の善に関心を持っていると書いていた。ほんとにそれがよく伝わっ...

あのコロナの日々、コロナに対峙する先生達はこんな大変な思いをしていたのかと、頭が下がります。厳しい医療の現場の話なのに、切実ではあるが暗よりも温かさを感じるところが夏川さんらしい。あとがきで、(人間の悪の部分よりも)人間の善に関心を持っていると書いていた。ほんとにそれがよく伝わってきた。夏川さんのお話大好きだー。

Posted byブクログ

2025/12/31

「臨床の砦」の前日譚。コロナ初期に最前線で地域を支えていた地方病院の壮絶な診療を伝える物語。医師を含む病院職員や家族の葛藤、苦しみは、私自身も感じていたものだった。それでも自分たちがやらなくてはならないという使命感。忘れてはいけない

Posted byブクログ

2025/12/14

コロナ禍の医療従事者達を描いた作品でした。未知のウィルスとの戦いが赤裸々に綴られていて、一気に引き込まれた。パンデミックや緊急事態宣言などと言う聞き慣れない言葉に当時はビクビクしながら生活してた事も今や懐かしささえ感じるが、当時は自身もインフラ関係の仕事をしている為、皆が休みなの...

コロナ禍の医療従事者達を描いた作品でした。未知のウィルスとの戦いが赤裸々に綴られていて、一気に引き込まれた。パンデミックや緊急事態宣言などと言う聞き慣れない言葉に当時はビクビクしながら生活してた事も今や懐かしささえ感じるが、当時は自身もインフラ関係の仕事をしている為、皆が休みなのに何時もは満員電車で身動き取れないのにガラガラの電車に座って通勤した記憶を思い起こしてしまった。マスクや消毒液が無くても助けを求める患者のために頑張ってくれた全ての従事者の方に感謝の気持ちでいっぱいになりました。

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2025/11/12

コロナ禍の医療の実態がフィクションではあるがよくわかった コロナ禍で起きたネガティブな行為の記載はなく、素晴らしい作品だと思う

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2025/10/27
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

『臨床の砦』の続編で『レッドゾーン』の改題作品。 夏川草介作品11作品目。 コロナ第一波の医療現場の作品で、『臨床の砦』を読んだ後だと 補足的な位置になる作品かな。 引き続き 敷島先生が主の話もあれば コロナ診療チームの先生[日進先生·千歳先生]視点の話もあり。 [地域で6箇所ある総合病院のうち 5箇所が一般診療に注力。コロナ患者の入院はもとより 発熱外来も開設する予定なし。] [感染が拡がれば 『信濃山病院』が1病棟を まるごとコロナ専用に切り替える36床案まで提出。] 同じ医師·病院の立場でも コロナ診療の内外でも 随分 違うものなのだと よく分かりました。 医師·看護師にも家族がいるから 「コロナに関わりたくない」のも当たり前な考えだとも思う。 そんな中でも やっぱり敷島先生達のような人達がいてくれたおかげで コロナを乗り越えられて 今があるんだと思いました。 一患者では分からなかった医師·看護師側の当時の事を知る事が出来て 今作品を読んで良かったです。

Posted byブクログ

2025/10/05

コロナ禍の過酷な医療従事者の状況を、忖度無い視点で描いた作品。 これまでも、コロナ禍の状況を描いた作品はいくつもありますが、これは、より本音に踏み込んだ描き方で描写されていて、“リアルな本音だな”と思わずにはいられませんでした。 確かに当時、感染者や感染地域のみならず、治療に...

コロナ禍の過酷な医療従事者の状況を、忖度無い視点で描いた作品。 これまでも、コロナ禍の状況を描いた作品はいくつもありますが、これは、より本音に踏み込んだ描き方で描写されていて、“リアルな本音だな”と思わずにはいられませんでした。 確かに当時、感染者や感染地域のみならず、治療に当たっている医療従事者に対するいわれのない『差別』はありました。目に見えないモノへの恐怖という事はあるにせよ、ちょっとね。冷静に考えればよいのですが、冷静にはなれなかったという事ですね。 それと、一部医療機関自体が、コロナの診療を拒否するという事態もありました。それには、高度医療機関も含まれてたからな。彼らなりの理屈はあるんだろうけどね、リソースや経験・知識という観点で、未知にウイルスに対峙するには高度医療機関に対する期待は大きいのだけど、釈然としないですね。この作品でも、そのあたりの事は描かれています。 医療従事者への“感謝を示すため”という事で、ブルーインパルスが都内を飛行したのも記憶にあるところですが、あれで、どこまで感謝を示せたんでしょうね? この話は、いまも忘れてはいけないし、これから未来につなげていかなければならないと思います。

Posted byブクログ

2025/10/01

最前線でコロナ診療を行ってくださった先生方には、本当に感謝しかないです。 「目の前の人に誠意を尽くす」人として大切なことを見せてもらいました。 私もこうありたいです。

Posted byブクログ