メランコリーで生きてみる の商品レビュー
著者の邦訳はほとんど読んでいる。生きる慰めとなる哲学を普段使いの言葉で提示する人、という印象。 不完全な世界、不完全な人生を生きる助けとしてのメランコリー。 本書が指すメランコリーの定義は明確にはされない。自分は「前向きな悲観主義」と了解した。楽観的ではない、さりとて失望して...
著者の邦訳はほとんど読んでいる。生きる慰めとなる哲学を普段使いの言葉で提示する人、という印象。 不完全な世界、不完全な人生を生きる助けとしてのメランコリー。 本書が指すメランコリーの定義は明確にはされない。自分は「前向きな悲観主義」と了解した。楽観的ではない、さりとて失望して拗ねてもいない。 メランコリーな人は内向的で感受性が強い。家にいるのが大好き。静寂、穏やかな日常を好む。花も好き。朗らかさを求められたりパーティーに出るのは苦手。なんだ俺のことか…と思うがこんなの世の中の半分くらいの人はそうじゃないのか? さすがに中年にもなって自分を「感受性が強い」と思うのには気恥ずかしさがある。 向精神薬、天文学、歴史、50歳、園芸についての章がとくによかった。生きるのが苦しくなったら宇宙や歴史に思いを馳せて無限の広さや滅亡の繰り返しと我が身を比較すれば問題が些細に思えて楽になれるかもしれない。地球には大量絶滅が5回あった。宇宙には400億の惑星系がある。太陽は何十億年後かに寿命を迎えて地球を飲み込む。地上ではローマ帝国をはじめとする多くの繁栄した国家が滅亡してきた。 そうした大きい視野を持つ一方で、目の前の物事に集中することも生きる苦しさを和らげてくれる。仕事、園芸、趣味、アートなど。人生の苦しみに対処するには大きい視野と小さい視野を使いわけるのが大事。 著者の本は基本的に経済的に不自由がない人に向けて書かれており本書も例外ではない。低賃金労働や貧困や非モテのメランコリーについては述べられない(一方で性交に関する章は二つある)。いい本なんだけどそのアプローチの狭さがちょっと物足りなかった。
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感想 悲しみに浸ってみる。無理に明るく、幸せなふりをする必要もない。本当の自分は小さく非力な存在。そこに気づいてから日々を謙虚に生きる。
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