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真珠王の娘 の商品レビュー

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2024/10/19
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親を亡くし後ろ盾もない一人の少女がしなやかに強かに、自分の信念に従い自分の力で生きる道を切り開いていく。 「戦争」という理不尽の塊の中で、真珠細工師になるという夢を叶えるため猪のように突き進む冬美。 冬美、早川薫、火崎剣介。三人のそれぞれに一途な思いが綾なす物語に震えるような思いでページをめくり続ける。 女は男の補助的仕事をしていればいい、表に立つことなく男を立てることこそ美徳、という時代に男だけの仕事に風穴を開け閃きと根気で誰もを納得させ説き伏せていく美冬に心から拍手を送りたくなる。けれど、女が家庭と仕事を両立していく困難を、どうしても思わずにいられない。それは令和の今も変わらず横たわる問題だ。 戦時中にも営業を止めなかった帝国真珠の、漂泊と染色の技術。捨ててしまっていた傷や汚れの付いた真珠に新しい命を吹き込む。それを思いつき試行 錯誤しながら会社の新たな事業にまで展開していった少女たちの潜在的力にほれぼれする。 戦争が、偏狭なしきたりが、凝り固まった思考が奪っていった多くの宝もの。 そこに可能性という光を掲げ続けた冬美のこれからの物語も読んでみたい。

Posted byブクログ