争いばかりの人間たちへ の商品レビュー
巻末にようやく書いているのであるが、初出が最も古いもので2010年である。編者が(おそらくいるだろうが)、せめて、現在の見地とは異なる箇所に註を付すことはするべきだっただろう。章立てしているくせ項がバラバラな上、(著者自身が鈴木先生との対談著でいっているように)ミラーテストなどい...
巻末にようやく書いているのであるが、初出が最も古いもので2010年である。編者が(おそらくいるだろうが)、せめて、現在の見地とは異なる箇所に註を付すことはするべきだっただろう。章立てしているくせ項がバラバラな上、(著者自身が鈴木先生との対談著でいっているように)ミラーテストなどいきものの知性を探る手段としてもはや適当でないものが平然と書かれていて、読むのが苦痛になってしまった。 また、異論を殊更申し立てるつもりはないが、「人間を特別と思わない」といいつつ、著者の視線にはゴリラの国の住人ではない、あくまで人間の科学者としての視点しか持たない「危うさ」が見えるように思う。ゴリラが誤解されているさまざまのことはすんなり読めたが、ゴリラに学ぶべき視点があるという箇所で、「サルと比較して」優れている点を述べるのはおかしくないだろうか。 「心の理論」からいっても「いきものは(ホヤのような簡単なしくみでできていても)自分と他者を区別するちからがあり、『それぞれ人間が感じるのとはちがう仕方で世界を認知し行動している』」のが今日明らかにされつつあるのだから、だれが優位とかではなくただ人間中心主義がおかしいということを、この方にはいってほしかった。
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ゴリラの研究者がゴリラ研究で考えたこと、感じたことをエッセー的に記した多数の散文を一冊にまとめたもの。連載とか書き下ろしではない。そのため同じ記載が何度も出てくる。 そしてゴリラ研究結果を政治問題に拡張して、現代社会は問題が多い、という論法。ゴリラは平和主義、暴力を好まない。な...
ゴリラの研究者がゴリラ研究で考えたこと、感じたことをエッセー的に記した多数の散文を一冊にまとめたもの。連載とか書き下ろしではない。そのため同じ記載が何度も出てくる。 そしてゴリラ研究結果を政治問題に拡張して、現代社会は問題が多い、という論法。ゴリラは平和主義、暴力を好まない。なぜ人間にそれができない、といったもの。 読了40分
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