気の毒ばたらき の商品レビュー
待ちに、待って、待っていた三作目。 「ぼんくら」や「桜ほうさら」といったシリーズの 集大成ともいえる「きたきた捕物帖」。 北一の、文庫屋として、そして岡っ引き見習いとしての、 芯が徐々にできつつある、そんな新作だった。 「気の毒ばたらき」と「化け物屋敷」の 中編、二話。 ...
待ちに、待って、待っていた三作目。 「ぼんくら」や「桜ほうさら」といったシリーズの 集大成ともいえる「きたきた捕物帖」。 北一の、文庫屋として、そして岡っ引き見習いとしての、 芯が徐々にできつつある、そんな新作だった。 「気の毒ばたらき」と「化け物屋敷」の 中編、二話。 一話では、千吉親分が築いた文庫屋が焼け落ちた。 文庫屋の女中、お染が放火の下手人と目され、 その行方が探される中、彼女の遺体が発見される。 北一は、風呂の釜焚き、喜多次の力を借りて、 真相を追うのだが…。 二話目は、村田屋治兵衛の新妻が殺された、 二十八年前の事件の真相を北一が追う。 新しい仲間、犬のシロとブチが加わり、事件の 「本当のところ」を、おでこや、栗山、沢井などの 助けを借りて、読者の前にさらしていく。 ただ、この決着の仕方は、あまり、腑に落ちる ものではなく、後味のいいものでもない。 ただ、今でも、おでこの仲の良い友人(きっと、 弓之助のことだろうが)も、遠い長崎から、手助け をしている。 「きたきた捕物帖」と副題がついているくらいだから、 もちろん、きたきたコンビの捕物話なのだろうが、 千吉親分の、子分とも呼ばれない、末席にいた北一が、 (すすんで取り組むというのではないだろうが) 捕物に鼻を突っ込んでいく道筋に、もう一つ、 納得がいかない。 頭の良すぎる弓之助や、手助けをするおでこなら、 平四郎と行動を共にするうち自然に事件に巻き込まれ、 それはそれで、腑に落ちるのだが。 ま、今後、北一の捕物に対する性根がしっかり してきたなら、違和感も薄れるのだろう。 江戸の市井小説というのは、読むうちに、 心が安定してくる。 火事のような災害や、流行り病や、貧しさで、 明日をも知れぬ暮らしの中で、 それでも、明るく、今日一日、おてんと様を のぞめれば、それで、御の字、と、強くたくましく、 生き抜いていく。 これでいい、これが、人の生き方なんだなと、 安心させてくれる。 だからこそ、黒い闇が闇のまま、祓われもせず、 残っていく結末は、すわりが悪い…。
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会いたかったよ、北一さん。 『きたきた捕物帖』『子宝船 きたきた捕物帖』に続くシリーズ第三弾は「気の毒ばたらき」「化け物屋敷」の二篇収録。 若干17歳、子どもの様な純粋さを失わず、いつも誰かの為に心を砕き、思いやり深い北一への愛おしさが止まらない。 本作では、放火や窃盗、2...
会いたかったよ、北一さん。 『きたきた捕物帖』『子宝船 きたきた捕物帖』に続くシリーズ第三弾は「気の毒ばたらき」「化け物屋敷」の二篇収録。 若干17歳、子どもの様な純粋さを失わず、いつも誰かの為に心を砕き、思いやり深い北一への愛おしさが止まらない。 本作では、放火や窃盗、28年前に起きた残忍な殺人事件などが描かれ、決して心地良い内容ではないけれど、おかみさんの松葉や相棒の喜多次、おでこさんにおみつ、いつものメンバーの良心に心温まる。 北一が笑えば嬉しくなり、北一が泣けば貰い泣き。 笑いと涙と愛情が詰まった人情小説。
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また約2年ぶりの『きたきた捕物帖』シリーズの続編である。今回は全2編と1編当たりが長い。過去作品と比較して、謎めいた北一の相棒・喜多次の台詞が多く、北一と喜多次が、よりコンビらしくなっている気がする。 表題作の第一話「気の毒ばたらき」。北一と、千吉親分の文庫屋を継いだ万作・おたま夫婦との微妙な関係は、過去の作品でも描かれてきたが、今回はたっぷり語られる。その文庫屋から火が出た上に、容疑者として浮上したのは…。 死者こそいなかったものの、万作・おたま一家のみならず、周辺の長屋からも焼け出された人々がいる。すると、彼らの仮住まいで事件が発生。きたきたコンビが探るのは主にそちらの事件だが、火事が発端とはいえ付け足しのような印象を受ける。 北一でなくてもいい嫁とは思えないおたまの、一面とは。面倒な人間には違いないが、読者の味方もちょっと変わるのが読みどころか。一応丸く収まったとはいえ、最後のシーンの後、やっぱりこっちの事件は必要だったのかと思ってしまった。 第二話「化け物屋敷」。あの「おでこ」も再登場し、北一が過去の未解決事件を探る、シリーズとしては珍しい展開。あの親分やあの親分まで登場するが、とにかくその事件というのが、現代社会でもありそうな唾棄すべき犯行で、腹立たしい。 諦め切れずに、喜多次らの力を借りて、危険地帯(?)に踏み入る北一たち。そこで彼らが見たものとは。特訓の成果で助かった、とだけ書いておこう。正直。「彼」だって被害者だよなあ。北一としては、成長過程の苦い経験だった。 それにしても、このシリーズの鍵を握るのは盲目のおかみさんなのだと改めて思った。そして、おかみさんの能力に匹敵する喜多次の能力。本作に描かれたのは、喜多次の能力のほんの一部に違いない。なぜ、喜多次は長命湯に留まるのか。 北一は真っ直ぐな性格で、毎回彼なりに頑張るものの、最後はおかみさんや喜多次に頼ってしまうことに、内心忸怩たる思いがあるかもしれない。それでも、北一は確実に成長している。いつの日か、対等なコンビになれるだろうか。
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このシリーズも、もう3冊目か。 北一が、探索に関わるなら体を鍛えることも大事と気付いて鍛錬を始めたのがよかった。きっかけが、とんでもな掏摸に蹴倒されたという大災難だったけど、災い転じて、かな。 おかみさん、今回も大事なアドバイスを色々北一におしえてくれた。 長屋のみんなも、周囲の...
このシリーズも、もう3冊目か。 北一が、探索に関わるなら体を鍛えることも大事と気付いて鍛錬を始めたのがよかった。きっかけが、とんでもな掏摸に蹴倒されたという大災難だったけど、災い転じて、かな。 おかみさん、今回も大事なアドバイスを色々北一におしえてくれた。 長屋のみんなも、周囲の人も、みんなあいかわらず温かくて。私は、ああいう中に入るのはちょっと無理だと思うんだけど、見ている分には温かくていいな、と思う。 新しい仲間、シロとブチ、いいねぇ。 事件はどうにもやりきれないものだったけど、北一の成長著しい姿や、喜多次との仲も少し縮まったかな、というのが救い。最後のあれは不意打ちが過ぎる、、、
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謎解き×怪異×人情が味わえるシリーズ3弾。おでこさんがしっかりと登場したり弓之助らしき人物の近況も何となく知れる。やりきれないまま終わるのかと思ったら最後に少しの救いがあって良かった。北さんが筋を通しつつ商いに励んだり岡っ引きの道を進む様子に成長を感じる。新しく仲間の2匹も登場し...
謎解き×怪異×人情が味わえるシリーズ3弾。おでこさんがしっかりと登場したり弓之助らしき人物の近況も何となく知れる。やりきれないまま終わるのかと思ったら最後に少しの救いがあって良かった。北さんが筋を通しつつ商いに励んだり岡っ引きの道を進む様子に成長を感じる。新しく仲間の2匹も登場したり長屋のみんな、お武家さん等々北さんは本当に周りの人に恵まれてる。
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【収録作品】 第一話 気の毒ばたらき 第二話 化け物屋敷 岡っ引き見習いの北一と、相棒・喜多次の「きたきた」コンビによる物語の第三弾。 「ぼんくら」シリーズの人気キャラクター「おでこ」がすっかり大人になって脇を固める他、懐かしい名前がそこここにある。あの人たちからつながっている世界線で、北一と喜多次の成長が描かれる。 しかし、事件は暗澹たるもので、真相や犯人がわかって、すっきり、とはいかない。北一を見守り、支える周りの大人たちが厳しくも温かい。
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初読。図書館。舞台は江戸だけれど、扱う事件のイヤラシさやそれに関わる、巻き込まれる人々の気持ちは、現代でも変わらないと、宮部さんの時代物には、特にこのシリーズにはそれを感じる。謎解きして犯人を捕まえてスッキリ、っていうふうにはならない物語の面白さがある。そこがシリーズの次やさらにその先を期待させてもくれる。北一の親分やその前につながる物語も読み返してみたくなる。時間があればだけど。シリーズの最後までじっくり付き合っていきたい。
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『きたきた捕物帖シリーズ』三作目。宮部みゆきの小説は、茂七親分→政五郎→千吉→北一と、続いている。「茂七の事件簿 」「ぼんくら」の次にNHKでドラマ化されないかな?
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きたきた物語、巻が進むほどに面白くなる。 本作は初めから引き込まれた。 登場人物がわかっているから、というわけではなさそう。主要人物2人以外はうろ覚えで、読み進めるうちに思い出してきた状態。 2話あるが、どちらも現在の特殊詐欺やトクリュウ強盗を思い起こさせる(実際は違うけど)。 ...
きたきた物語、巻が進むほどに面白くなる。 本作は初めから引き込まれた。 登場人物がわかっているから、というわけではなさそう。主要人物2人以外はうろ覚えで、読み進めるうちに思い出してきた状態。 2話あるが、どちらも現在の特殊詐欺やトクリュウ強盗を思い起こさせる(実際は違うけど)。 最後にほんのちょっぴりの救いがあってよかった…。
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北一が成長していく姿に接する事が出来るのは嬉しいけれど、その分、危ない目に遭う事も増えてしまうのが心配。でも、鍛錬を始めて、覚悟が段々と固まっていくのを止めるなんて出来ない。無事を祈りながら見守るしかない。ほとんどオカンの様だけど、これからも見届けたい。
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