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富士山 の商品レビュー

4

189件のお客様レビュー

  1. 5つ

    48

  2. 4つ

    78

  3. 3つ

    42

  4. 2つ

    5

  5. 1つ

    1

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2026/03/11

全部面白いが、特に息吹とストレス・リレーが良い。最後に手先が器用、ストレス・リレーを持ってきたことで後味が良くなっている気がした。

Posted byブクログ

2026/03/09

5つの短編のうち、最後の『ストレス・リレー』が最も印象に残った。 『富士山』や『息吹』も…結局5つ全部だなー。自分の生活でも「あるある!」で、主人公が40歳前後のものは特に共感。 正直、平野啓一郎には苦手意識がある。 もう20年ほど前になるけど、『日蝕』を読んでちょっとわからな...

5つの短編のうち、最後の『ストレス・リレー』が最も印象に残った。 『富士山』や『息吹』も…結局5つ全部だなー。自分の生活でも「あるある!」で、主人公が40歳前後のものは特に共感。 正直、平野啓一郎には苦手意識がある。 もう20年ほど前になるけど、『日蝕』を読んでちょっとわからない…という感想だった。それきり読んでないよな、と思っていたけど、その後知り合った人に勧められてもう1冊くらいは読んだ気もしてきた。どうも内容がよくわからなかったのだと思う。もはやタイトルも、誰に勧められたのかも記憶にない。 でも、この本は違った。 惹きつけられるように、あっという間に読み終わった。 私たちの日常は、常に選択の連続だとか聞く。あり得たかもしれない分岐は、いくつも存在する。 ここで左を選ぶか、右を選ぶか。はたまたどちらも選ばずに、ここに留まるか。 ここを動くのは、例えば雨があがったら?それまで何をする…? その間にもし車が突っ込んできたら…というのはさすがにあんまり起きないにしても、『息吹』の話のように、たまたま入った店で、耳にした話から人生が変わる…というのは、大げさでなくフツーにあり得そうな話だ。 私の人生は大体行き当たりばったりだけど、そこにも「偶然」と「運命」か交差していたりする、かも…?行き当たりばったりだからこそ、偶然がモノを言うような…? そんなことを思うと、ただのフィクションではないし、他人事でもなかった。 この本は、雑誌VERY2025.7月号で、田内学が平野啓一郎と対談している中で紹介されていた。対談のテーマは、「私たちが貨幣空間に飲み込まれてしまう前に」だった。 聡明すぎるお二人なので、対談の中身はイマイチ理解しきれなかったけど、この本は読んでみたいと思った。例のごとく図書館で予約したところ、半年経って手元に届いた。 〈「あり得たかもしれない人生の中で、なぜ、今のこの人生なのか?」些細な出来事が人生を左右する「偶然性」の「運命」をテーマにした5篇を収録〉 という紹介文に、興味を持った。 読み終わってから、このときのVERYの自分のメモを読み返したら、田内学も『ストレス・リレー』を挙げていた。 〈ルーシーのようにストレスや不安の連鎖を止める人が必要〉と。 対談を読んだ時点ではただのメモだったけど、その言葉は実際に読み終わってからズッシリきた。 私のイライラも、どこかで伝染しているな…と。子どもから受けるイライラで、夫がイライラし、夫の怒りを私も消化しきれずイライラで返し、それを子どもたちがまた受け取っている…。うちの中で繰り広げられるこのリレー、いつ終わるんだ…。 リレーっていうか…追いかけっこだ。 回遊式の水槽の中でひたすらサメが魚を追っている。サメは魚を捕まえられずにイライラし、魚は逃げ切れるかの恐怖でイラついている。なんか、そういう不毛な感じがする…。 ちびくろサンボのトラも、こんなんして前のトラの尻尾を咥えてイラついてグルグルしてるうちに溶けちゃったんじゃなかったっけ…。 2人の対談の〈貨幣空間が大きくなっている今、愛情空間の重要度が高くなっている〉という自分のメモを読み返しても「なんだっけ?」状態だけど、〈家族はうまくいったらラッキーくらいの心持ちがちょうどいい〉という平野啓一郎のセリフのメモに、再び救われた。 この本の感想を書いているうちに、私に平野啓一郎を勧めてくれた人のことをボンヤリと思い出してきた。友人の結婚式だったか、その後の合コンだったか、何で知り合った人かも忘れてしまったけど、どのみち交際には至らなかった人、のはず。 その人に、よくわからないながらも平野啓一郎の魅力や、それ以外のお気に入りの本のことなど、聞いて受け入れる人間力というか、女子力的なものが私にあったら…「今とは違う愛情空間」に身を置いていたかもしれないんだよなぁ。 「愛情空間とは、本来、人が一番影響を受ける空間」と、田内×平野対談をメモしていた。 私は夫のことを、貨幣空間の1つ深いところの「友情空間」にいる人だと思っているのだけど、ひとつの家族として生活している以上、「愛情空間」にいるわけで、影響を受けるのは避けられない。 うーーーーん。 尻尾をつかみ合って溶けてしまうトラ側より、溶けたバターでホットケーキをほおばる側でありたいよなぁ…。 『富士山』の感想からだいぶ逸れてしまった。 だいぶ逸れてしまったけど、こんなふうに思考があっちこっち飛んでいく本は、私にとって良本で、これからもあっちこっち「分岐」を楽しむきっかけになったらいいな、と思っている。

Posted byブクログ

2026/02/26

自分は、途中で富士山が見える新幹線に乗るとき、E席以外でも「今日は富士山が見えるだろうか」と楽しみにしてしまう。近くで見る大きな富士山は、地元の「富士山の見える最北端の山」の山頂から見えたあの小さい山だという感動を毎回感じるから。富士山の魅力は、人の数だけ「想い」があることだろう...

自分は、途中で富士山が見える新幹線に乗るとき、E席以外でも「今日は富士山が見えるだろうか」と楽しみにしてしまう。近くで見る大きな富士山は、地元の「富士山の見える最北端の山」の山頂から見えたあの小さい山だという感動を毎回感じるから。富士山の魅力は、人の数だけ「想い」があることだろうと思う。自分は、自分の知っていることしか知らない。それでいい。ただ、多様性があること、それを否定しないこと。もし、やタラレバに逃げないこと。不機嫌を人のせいにしないこと。自分を自分が一番大切にし、優しく厳しくすること。人に依存せず、できれば人の中で自分を育てること。大切な人を亡くしたての人は、伊吹に注意。

Posted byブクログ

2026/03/03
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※このレビューにはネタバレを含みます

色々な分岐点が登場する小説。 もしあのとき、 彼と別れる道を選んでいなかったら…『富士山』 自分が違う世界線で不治の病を抱えていたら…『息吹』 自分が受けたストレスを無意識に誰かに伝播させているとしたら…『ストレス・リレー』 そんなもしもの世界が詰め込まれた本作を読んで、冷や汗が止まらなかったシーンが多々あった。 どの話もフィクションとノンフィクションの境目がなく、気持ち悪く、でもとてつもなく面白い… もしあのとき、違う選択をしていたら… 違う選択ができない世界を生きているからこそ、選ばなかった世界を羨んだり嘆いたりもする。けれど、それでも私は自分が選んだ世界で登場人物たちのように 迷いながらも自分の選んだ世界をなるべく肯定できるように生きていきたいなぁと思う。 また絶対読みたい作家さん。

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2026/03/07

不思議な気持ちになる物語たち 最後の『ストレス・リレー』、 軽くて、でも本質的で良かった。 ちょうど人の言動に対して「想像力がないなあ」なんて驕った憤りを感じてしまっていたから、ストレスリレーなのかもってところまでは自分も想像できてなかったな、人は鏡だな、など思った。 『息吹...

不思議な気持ちになる物語たち 最後の『ストレス・リレー』、 軽くて、でも本質的で良かった。 ちょうど人の言動に対して「想像力がないなあ」なんて驕った憤りを感じてしまっていたから、ストレスリレーなのかもってところまでは自分も想像できてなかったな、人は鏡だな、など思った。 『息吹』がなぜだかとても苦手だった。備忘として書いておく。

Posted byブクログ

2026/02/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

とても面白かった。短篇集。表題作の「富士山」は女性が主人公。マッチング・アプリで知り合った男性と仲良くなり、旅行に行くことになった際、旅の途中で女児が犯罪に巻き込まれている場面に遭遇する。咄嗟の場面で女性は、助けに動いたが、あまりに突然すぎて男性は動けなかった。幻滅した女性は、その後、男性と関係を終了。数年後、女性は、その男性が子どもがナイフで襲われているのをかばって死亡したニュースを見る…。男性の優しさを見抜けなかったのか、関係を終了したことがきっかけになったのか、思い悩むという内容。あり得たかもしれないいくつもの人生を考えると不思議な気持ちになってくる。 「ストレス・リレー」もとてもよかった。ストレスが人から人に感染し、いろんな人をイライラさせていく。しかしそのストレスのリレーをルーシーという人物が止める。京都の鴨川でのんびり過ごすことによって。だからこそ彼女は文学の対象、というラストがとても良い。カート・ヴォネガットも親切にしなさい、と言っていたのはこれに近いものなのかもな…と妄想…

Posted byブクログ

2026/01/28

山は見る方角や角度によって趣が異なる。 人間もまた然り。 と、頭では理解しているのだけれど、誰かを見るときには、自分が見ている面がその人の全てであるかのように捉えがちだ。 偶然の重なりで運命が動いていく、という本書のテーマもさることながら、視野の狭い私って客観的に見たらこんな感...

山は見る方角や角度によって趣が異なる。 人間もまた然り。 と、頭では理解しているのだけれど、誰かを見るときには、自分が見ている面がその人の全てであるかのように捉えがちだ。 偶然の重なりで運命が動いていく、という本書のテーマもさることながら、視野の狭い私って客観的に見たらこんな感じなのかも?そんなことも考えさせられた、5話収録の短篇集。 面白かったのは最後の『ストレス・リレー』。怒りなんて一時的なもので、その日その人のほんの一部でしかないのに、感染力が高く、食らうと引きずりがちなやっかいな感情。たまに見かける怒りの感染連鎖をこんなに冷静に見せられたら、思うことはふたつ。人間って本当に弱くて小っちゃ。そして、人生はタイミング次第。 暗いのに不思議と前向きな『鏡と自画像』、4ページほどの短篇に3世代の想いが凝縮される『手先が器用』、このふたつも、視点を変えたらまた違った想いをそこに感じられるのだと、心に残る興味深い作品だった。 謎の彼と、それほど結婚に拘る彼女がよく分からないところが現実的でもある『富士山』の物悲しさを抱えたまま、難解な『息吹』に突入する並びは好きになれなかった。『息吹』は読み返して理解しようという気分になれず、今回はわからないままにしておく。この本はきっとまた手に取るから。

Posted byブクログ

2026/04/14

追うか追わないか、その店に入るか入らないか、それだけで大きく結果か変わる事があるって分かっていても面白い。

Posted byブクログ

2026/01/21

曖昧で微妙な心の動きの描き方が鮮やかで、ゾワゾワザワザワさせられる。特に息吹。予想外な方向への展開に戸惑って振り回された。読み手に丸投げされた結末だけれど、遺された人間のやりきれない想いが作用した哀しい話だと受け止めた。

Posted byブクログ

2026/01/17

平野啓一郎の短編というだけで読みたくなるのだが、この短編集はテーマも興味深い。 私たちの人生は、実はふとした偶然で構成されていて、私たちがどんな人間かということだけで、人生が決まるわけではない。 じゃあ、その偶然が起こらなかったら?という観念的なお話が面白い。 たとえば、第一志望...

平野啓一郎の短編というだけで読みたくなるのだが、この短編集はテーマも興味深い。 私たちの人生は、実はふとした偶然で構成されていて、私たちがどんな人間かということだけで、人生が決まるわけではない。 じゃあ、その偶然が起こらなかったら?という観念的なお話が面白い。 たとえば、第一志望の大学に合格しなかったら…くらいなら想像できる。 でも、実は人生のターニングポイントは、この作品みたいに小さな偶然そのものなのでは? すごくわからやすいなぁと思ったのは、4作目の「手先が器用」で、わたしもそういえば動物が好きだねとか、絵が上手だねとか言われていたので、おばあちゃんの期待を裏切らないよう、そう演じていたところがある。 5作目ではストレスをウイルスのように見立てて、都市部で起こりがちな人から人という伝染を描く。 誰かの何気ない行動が、知らないところで誰かの意思を変えていく。そのきっかけがなんなのかは影響を与えた当人には知る由もない。 こうした偶然のもたらす影響力を描いたのが本作なのだ。とても観念的なお話なので、不思議な気持ちになる。

Posted byブクログ