江戸川乱歩座談 の商品レビュー
江戸川乱歩の生誕130年記念で刊行された、文庫オリジナルの江戸川乱歩の座談・対談・鼎談集。中公文庫から出るというのは意外だが、江戸川乱歩の小説や随筆は現在でも比較的容易に読むことができるが、座談や対談・鼎談などは単行本に収録されることは希で読むことが難しい。現在でも入手可能な光文...
江戸川乱歩の生誕130年記念で刊行された、文庫オリジナルの江戸川乱歩の座談・対談・鼎談集。中公文庫から出るというのは意外だが、江戸川乱歩の小説や随筆は現在でも比較的容易に読むことができるが、座談や対談・鼎談などは単行本に収録されることは希で読むことが難しい。現在でも入手可能な光文社文庫版の江戸川乱歩全集には座談や対談・鼎談は収録されておらず、光文社文庫版全集の前に出た講談社の江戸川乱歩推理文庫の64巻は「書簡 対談 座談」ではあるが、収録されているのは本書にも収録されている長田幹産、徳川夢声との対談、佐藤春夫・城昌幸との鼎談の3編のみのうえ1989年刊なので新刊での入手は難しいだろう。それ以前となると言わずもがな・・・ という訳で、江戸川乱歩の座談、対談、鼎談が全て網羅されている訳ではないが、文庫オリジナルである程度まとまった形で書籍化されたのは大変ありがたいことだ。 収録されている中では、「『新青年』歴代編集長座談会」が面白い。博文館の雑誌「新青年」の初代編集長だった森下雨村から横溝正史、延原謙、水谷準といった歴代編集長経験者に、長年、表紙を描いてきた松野一夫らを招いての座談会で、戦後に行われたものだが皆、キャッキャウフフと当時を楽しげに回想しているのが良い。特に横溝正史と松野一夫のくだけた感じの語り口が良い。ちょっとイメージと違う感じの・・・ あと、幸田文との対談「幸田露伴と探偵小説」もすこぶる面白かった。まだ、露伴が探偵小説好きだったという話しは判るけど、幸田文も好きで父親の「新青年」を読んでいたとか、少女時代、父の露伴と来客の様子から来た道のりなどを推理して遊んでいたなんていうシャーロック・ホームズみたいなエピソードまで飛び出して、自分の中での幸田文の好感度が爆上がりですよ。今市子あたりが、少女自体の幸田文と父露伴が主人公の怪異ミステリを書いてくれないかしら。
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