雨の日の心理学 こころのケアがはじまったら の商品レビュー
何もしてない、あるいはどうでもよいと思えることが、知らない間に自分にとって大事なものになっていたりする。知らない間に生きやすい環境づくりができていたりする。「良い環境とは、それが存在していることに気づかれない環境」というのはその通りだなと思う。 そして、それが足りなくなった時...
何もしてない、あるいはどうでもよいと思えることが、知らない間に自分にとって大事なものになっていたりする。知らない間に生きやすい環境づくりができていたりする。「良い環境とは、それが存在していることに気づかれない環境」というのはその通りだなと思う。 そして、それが足りなくなった時に、または他の人をケアしている人が疲れた時に一緒に崩れないようにするために、贅沢をすること・勉強をすることが大事というのは言われてみれば確かにそうだなと。大学生の頃のダンテか何かの講義の中で、「一定の浪費は悪ではなくむしろ必要なこと」といった趣旨の話を聞いた記憶だけが残っているが、ケアをする時も「必要最低限のニーズを満たすだけ」ではもたなくなることがきて、その時にする贅沢が「自分を人間扱いすること」になるというのは理解できる。また、勉強についても、「わからない」が「わかる」に変わるだけでケアが楽にのることもあり、勉強自体を楽しむこと・新しい知識を得ること自体が孤独を防ぐことに繋がる。その2つのことが大事という感覚を人生の早いうちから得ていたのは今思うとよかったなとこの本を読んで思えた気がする。 ==================== 特別に悩みがない日にだって、こころのケアは絶えることなく交わされています。 朝出勤すると「おはよう」とあいさつしてくれて、「今日もいい天気だね」とどうでもいい雑談を交わす相手がいることで、僕らのこころはケアされている。 よく晴れた休日に、自分で自分のためにコーヒーを淹れて、友人とLINEでどうでもいいトピックをやりとりしていることで、こころはケアされる。 朝起きて、出かける場所があることそのものがこころのケアになるし、仕事から帰ってきたときに、自宅に家族が「居る」ことそのものがこころのケアになっている。(p.34) 世間知とは、何をしたら生きやすくて、何をしたら生きづらくなってしまうかについてのローカルな知のことである。(p.37) 傘は雨を防ぐだけではなく、同時に孤独をも防ぎます。二人で傘に入っていると、多少は濡れるかもしれないけれど、みじめな濡れ方ではなくなります。 「わかる」とは、こころがこころを「わかる」ことであり、そのときこころとこころは部分的であるにせよ重なっています。 「わかる」とはつながっていることそのものです。 雨の日にも、わかってくれていた誰かがいたことの価値は限りなく大きい。(p.94) もちろん、何も語られないかもしれない。子どもはスルーを続けるかもしれないですよね。それはそれでいいんです。まだ話したくないのでしょう。 そうだとしても、「?」と思うような一言を、無視しない親であることは相手に伝わります。ややこしい話から逃げない勇気が伝わる。すると、子どもも次のときには勇気を出してちゃんと話してくれるかもしれない。 「?」の感覚が大事です。あなたはかすかなヒントを受け取っている。だったら、勇気を出して、相手に聞いてみよう。 「どういうこと?」(p.183)
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東畑先生の本はわかりやすく心に響く。 私も同じ分野を仕事にしているけど、精神分析に関してはど素人。知らないくせに胡散臭いとすら思ってしまう。一方で憧れもある。 一般向けのこの本は、ケアをする人にとって大事なことがたくさん書かれている。それは何を専門にしていても必要なことだ。 図書...
東畑先生の本はわかりやすく心に響く。 私も同じ分野を仕事にしているけど、精神分析に関してはど素人。知らないくせに胡散臭いとすら思ってしまう。一方で憧れもある。 一般向けのこの本は、ケアをする人にとって大事なことがたくさん書かれている。それは何を専門にしていても必要なことだ。 図書館で借りたこの本を今度購入したいと思う。時々読み返したい。
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大切な人が雨に降られっぱなしのとき、共倒れににならずに、一緒に晴れるのを待てるために。特効薬はないかもしれないけれど、読んで良かった。
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誰かのケアをしなければいけない状況に突然陥るということは、その人はすでに雨の中にいるということ。 そういう人と接することが一筋縄ではいかないのは体験済でなので、「あぁ、こうすればよかったのか」と、色々な場面を思いながら読んだ。 そもそもケア(傷つけないこと)とセラピー(傷つきと向...
誰かのケアをしなければいけない状況に突然陥るということは、その人はすでに雨の中にいるということ。 そういう人と接することが一筋縄ではいかないのは体験済でなので、「あぁ、こうすればよかったのか」と、色々な場面を思いながら読んだ。 そもそもケア(傷つけないこと)とセラピー(傷つきと向き合うこと)の違いもよくわかっていなかったのだけど、改めて言われてみるとケア→セラピーの順じゃないといけないことがよくわかる。 相手がどんな状況にいるのか聴いて理解することから丁寧に。 結局、カウンセラーより素人である私たちが一番ケアをする立場になることが多いのは、確かにそうだと思う。 そんな素人にわかりやすくケアの仕方が説明されていて勉強になった。 最後の先生への宿題になっていた質問の内容は、日頃私も思っていることだったので、回答が興味深かった。ケアの究極の問いのようなので、また別の機会に、より熟考された回答が頂けるのかな。
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家族や友人、職場の人や恋人。あらゆる誰かをケアする人のための本。突如としてこころに不調をきたすことを雨にたとえ、ケアとはなにか、こころをわかることとは、こころの声をきくには、こころにはどうすればいいのか、ケアをする人のケアとはを著者でありカウンセラーの東畑さんが講義した内容をその...
家族や友人、職場の人や恋人。あらゆる誰かをケアする人のための本。突如としてこころに不調をきたすことを雨にたとえ、ケアとはなにか、こころをわかることとは、こころの声をきくには、こころにはどうすればいいのか、ケアをする人のケアとはを著者でありカウンセラーの東畑さんが講義した内容をそのまままとめた本 もともとが数日にわけて行われて講義だったため、書き方も東畑先生がしゃべっているように書かれており、読みやすいものになっている ケアはの価値は見づらく数値の評価もできないものであるため、ケアは軽く扱われがちであることやケアというものには納品やクライマックスがなく、いつまでも終わりが見えないとされている またケア=依存労働と名前をつけていて、誰かの依存を労働として引き受けることが労働であり、現状はそれを担う人や立場が限られている。そもそも社会事態にケアする人を傷つける構造があることを著書のなかで記しており、そういう人たちのつらさややるせなさにも寄り添う内容だった。ケアというものを考えたい人によっても良書だと思う。効果的なケアのひとつに”お金”と言い切っていたところが一番印象に残っている
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程度の差こそあれ、長い人生において一度や二度は土砂降りの雨にびしょ濡れになった経験があるはず。事前に天気予報を調べ、雨具やこころの準備していたつもりでも、思いがけないスピードと方向から、それは突然“はじまって”しまうのだ。私にも明確に“こころがずぶ濡れ”だった時期があり、(今も完...
程度の差こそあれ、長い人生において一度や二度は土砂降りの雨にびしょ濡れになった経験があるはず。事前に天気予報を調べ、雨具やこころの準備していたつもりでも、思いがけないスピードと方向から、それは突然“はじまって”しまうのだ。私にも明確に“こころがずぶ濡れ”だった時期があり、(今も完全に解消されたわけではないが)いちばん苦しかったとき、偶然出会った本の中の言葉に救われてきた記憶もある。本書が、雨の中で困っている多くの人たちにとって乾いたタオルや暑さ寒さをしのげる一時休憩所のような場所になりますように。
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とてもよかった。復習兼ねて読んでみたけれど とてもよい。 東畑さんの本はやはり読みやすい。 今までうまくいっていたケアの声かけがうまくいかなくなった時、何が起きているのか? いつの間にかその人は暴風雨の中にいて、既に晴れの日ではなくなっていた…。(こちらは晴れもしくは曇りだけ...
とてもよかった。復習兼ねて読んでみたけれど とてもよい。 東畑さんの本はやはり読みやすい。 今までうまくいっていたケアの声かけがうまくいかなくなった時、何が起きているのか? いつの間にかその人は暴風雨の中にいて、既に晴れの日ではなくなっていた…。(こちらは晴れもしくは曇りだけど) 暴風雨の中にいる人には、こちらも雨対応にした観察、分析、声かけが必要になる。(認知症疑いの人への対応も同じかもしれない。) そして、そのうちこちらも知らず知らずのうちに暴風雨に巻き込まれていく。 その時何が起きているのか…。 ケアをする人の混乱を整理し、チアアップしてくれる本。 時に今、自分自身がどうもおかしいと思っているけれどどうしたらいいかよくわからない、という人にも噛み砕いて自己理解を促すための交通整理をしてくれるような本。 人のこころをケアするのに、何の知識もなく丸腰で暴風雨に巻き込まれ続けることほどしんどいものはない。 ひと通りの大事なことが全部詰まっている。東畑さんもおっしゃっているが、まさに総集編のような本。知識大事。
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とても読みやすい。東畑節も冴えてて最高。が、その読みやすさの裏で内容はとても難解だと思った。スラスラーと読めてしまうが、内容をしっかり咀嚼するためには再読、熟読が必要だと感じた。
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ツイッターなどで著者の宣伝やまえがきなどを読み、今の自分に必要な本だろうと思えたので、新刊ほやほやで入手。 家庭や職場でだれかの心をケアしなければならないような事態はある日突然降ってくる。順調に暮らす人生の晴れの日には正しくてなんの問題のないケアでも、人生の雨の日には間違いになっ...
ツイッターなどで著者の宣伝やまえがきなどを読み、今の自分に必要な本だろうと思えたので、新刊ほやほやで入手。 家庭や職場でだれかの心をケアしなければならないような事態はある日突然降ってくる。順調に暮らす人生の晴れの日には正しくてなんの問題のないケアでも、人生の雨の日には間違いになってしまうこともある。では心の調子が悪い人をケアするうえでどういうことが大事になるのか。5回のオンライン講座を元にしたもので、気楽に読める「心のケア入門」。 これまでの本や新聞のコラムで読んだことのある話もけっこうあるが、全体を通して重要な理論をかみくだいてていねいに紹介して、具体的な技術も紹介して、最後に読書案内もついているのがありがたい。
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