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マザー の商品レビュー

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11件のお客様レビュー

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2024/10/31

暖かく楽しい家族、太陽のように明るく朗らかな母、コロナ禍後久々に訪れた実家の果ての姿は……「セメタリー」 精神を病み、医師を辞め、母と二人暮らしだった兄が母の死後選んだ伴侶は……「ワンピース」 10年来音信不通だった娘がシングルマザーとなって帰ってきた。平穏だった母の暮らしは一変...

暖かく楽しい家族、太陽のように明るく朗らかな母、コロナ禍後久々に訪れた実家の果ての姿は……「セメタリー」 精神を病み、医師を辞め、母と二人暮らしだった兄が母の死後選んだ伴侶は……「ワンピース」 10年来音信不通だった娘がシングルマザーとなって帰ってきた。平穏だった母の暮らしは一変し……「ビースト」 閉じ込められた暗い場所で「それ」が聞いた声の主は……「エスケープ」 娘が嫁ぎ一人になった途端変貌した高齢の母が本当にやりたかったことは……「アフェア」 母をテーマにした5つの短編はどれも毒があり、短いながらずしりと重い内容。 それぞれの物語を通じて、「母」という存在の危うさが浮かび上がる。 自分の母、母としての自分を顧みることにもなった作品。面白かった。

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2024/11/01

「母という禍、家庭という地獄」という中島京子さんの帯の言葉が的を得ていて…。 「セメタリー」や「アフェア」には共感。でもそこまでがんばって耐えていきなければ…。 母親が先に立ってしまい、一人の人間として生きるのは難しいと痛感しました。でもこれを読むと、自分の人生もまだこれからかも...

「母という禍、家庭という地獄」という中島京子さんの帯の言葉が的を得ていて…。 「セメタリー」や「アフェア」には共感。でもそこまでがんばって耐えていきなければ…。 母親が先に立ってしまい、一人の人間として生きるのは難しいと痛感しました。でもこれを読むと、自分の人生もまだこれからかもという気持ちにはなりました。そうできるかは別として。

Posted byブクログ

2024/10/08

良妻賢母が良しとたたえられた日本で、母の役目を果たしてきた女性たち。しかしそれは本当に彼女たちの望んだことだったのか。穏やかな家庭の裏にあった真相。そして崩壊する家庭。ぞっとさせられると同時に、どこかしらすっきりする気もする、「母」をテーマにしたブラックな読み心地の短編集です。 ...

良妻賢母が良しとたたえられた日本で、母の役目を果たしてきた女性たち。しかしそれは本当に彼女たちの望んだことだったのか。穏やかな家庭の裏にあった真相。そして崩壊する家庭。ぞっとさせられると同時に、どこかしらすっきりする気もする、「母」をテーマにしたブラックな読み心地の短編集です。 しょっぱな「セメタリ―」でガツンとやられましたが、しかし彼女の心情を思えばそれは当然だよね、という印象。さすがにやりすぎかもとは思うものの、非の打ちどころのない「母」の役目をむしろよく頑張ってきたものです。 「アフェア」も切ないような、すっきりするような。こういう生き方も悪くはないのかもしれないですが、なかなかに痛烈。 胎児の記憶から始まる「エスケープ」は、どうにも不安で恐ろしくてどきどきさせられました。だけどこれは無理に「母」であり続けるよりも、お互いのために良かったのかもしれないと思えます。

Posted byブクログ

2024/09/28

初期の乃南作品を彷彿とさせる切れ味鋭い短編集。 「セメタリー」「ワンピース」 「ビースト」「エスケープ」 「アフェア」の五話収録。 まず各話のタイトルが秀逸。 読後これらのタイトルがストンと腑に落ちる。 全編に共通するテーマは母親。 母性神話を闇雲に信じる人は読まない方がいい...

初期の乃南作品を彷彿とさせる切れ味鋭い短編集。 「セメタリー」「ワンピース」 「ビースト」「エスケープ」 「アフェア」の五話収録。 まず各話のタイトルが秀逸。 読後これらのタイトルがストンと腑に落ちる。 全編に共通するテーマは母親。 母性神話を闇雲に信じる人は読まない方がいいかもと思える辛辣さ。 「セメタリー」では、太陽の様に明るくにこやかだった母親の長年心に秘めていた狂気に戦慄する。 母である事の重圧と、そこから解放されたい想いで揺れ動く彼女達の姿がリアル。 人生の幸不幸、希望と絶望は表裏一体。 母達の反乱に思わず息を呑む。

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2024/09/24

母の凄さや怖さや強さ…ありとあらゆるものを見たという感じだ。 家族を作るのも壊すのも母なのか⁇母次第なのか?と思ってしまう。 そんなことはないと誰かに否定してほしいと思うほど圧倒的にな存在を感じる「母」の短編集である。 「セメタリー」〜田舎町の「ちびまる子ちゃん」に似た家で育...

母の凄さや怖さや強さ…ありとあらゆるものを見たという感じだ。 家族を作るのも壊すのも母なのか⁇母次第なのか?と思ってしまう。 そんなことはないと誰かに否定してほしいと思うほど圧倒的にな存在を感じる「母」の短編集である。 「セメタリー」〜田舎町の「ちびまる子ちゃん」に似た家で育った青年が、コロナ禍の間に立て続けに祖父、祖母、父と亡くなった実家に帰ってみると。 「ワンピース」〜過労で鬱になり医師を辞めて離婚し、母も亡くなりひとりになった兄が再婚していた。 「ビースト」〜夫を亡くし、ひとりになった家に7年前に家を出た娘が子ども2人連れて帰ってきてから、好き勝手をする娘たちに振り回された挙句…。 「エスケープ」〜母の胎内にいるときから聞いていた声の正体がわかったときに…。 「アフェア」〜夫と離婚し、子ども2人も伴侶を得て家を出てから「母」を捨てて後悔のしない最期を送ることにした。

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2024/09/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

2024/08/29リクエスト 1 イヤな人ばっかり登場。 最初の「セメタリー」が一番好き。 円満な家庭を継続させるため明るく過ごすアニメに出てきそうな母親。 介護が 必要になった義両親もポジティブに立ち向かい一人で看る。壊れてしまわないか心配になるほど。その母親の事をありがたいと思っても心配している家族がいないように感じられたのが悲しかった。 それ故、あのラスト。墓じまいして永代供養、死後離婚。やりたいと思ってる人は多いだろうな。

Posted byブクログ

2024/09/18

題名どおり、母にまつわる短編集。 どれもエッジのきいた後味の悪い話。 「セメタリー」と「ワンピース」がよかったかな。

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2024/09/17

あたりまえのように母親の母性を無条件に享受してきた人々に対する母親の反乱。 母親が母親ではなく1人の人間として持つ「人間性」を、周囲は目を逸らし母親役として押しつけていた。 母親だって無条件に愛せるものと愛せないものがあると、綺麗事では済まない本音を描いたエスプリの効いた小説でし...

あたりまえのように母親の母性を無条件に享受してきた人々に対する母親の反乱。 母親が母親ではなく1人の人間として持つ「人間性」を、周囲は目を逸らし母親役として押しつけていた。 母親だって無条件に愛せるものと愛せないものがあると、綺麗事では済まない本音を描いたエスプリの効いた小説でした。 所々で刺さってくる物語だ。

Posted byブクログ

2024/09/17

「母」という言葉の持つイメージでひとの人生を一括りにしてはいけない。 「母」、「主婦」という匿名性のある名前に絡め取られて人としての本性を誰も見ていない。 対象がいなくなることで初めて「母」でも「嫁」でも「妻」でもなくなって、やっと「本来の自分」に戻れるもいうのは悲しいことだ。

Posted byブクログ

2024/09/05

不幸に繋がっていくだろうことは予想できるのに、読む手が止まらなかった作品でした。生々しい地獄が展開され嫌な気持ちになりながらも、その後味の悪さがクセになる、そんな作品でした。 本作は5編からなる短編集で、それぞれ「母」を主題にしております。最初の3編が個人的に好みだったので、そ...

不幸に繋がっていくだろうことは予想できるのに、読む手が止まらなかった作品でした。生々しい地獄が展開され嫌な気持ちになりながらも、その後味の悪さがクセになる、そんな作品でした。 本作は5編からなる短編集で、それぞれ「母」を主題にしております。最初の3編が個人的に好みだったので、そのあらすじを記載します。 「セメタリー」 その母は太陽のような人だった。いつも家庭の中心には明るい母がいて、楽しい家庭だった。そんな過程で育ち、上京した主人公は久しぶりに故郷に帰ることになる。そこで母の思わぬ秘密を知ってしまう。 「ワンピース」 その母は息子思いの優しい母であった。その息子は地元ではかなり優秀で医師となる。しかし、過度な労働環境により息子は鬱になってしまう。そんな息子を母は生涯をかけて支えてきた。そして母の死後、誰が遺産を相続するか兄妹で話すことになる。 「ビースト」 その母は慎ましく丁寧な生活を送っていた。しかし、生活が苦しくなった娘が突如、2人の息子を連れて実家に戻ってくる。祖母として、そして親として娘に優しく振る舞うが、徐々に娘が奔放な態度をとるようになる。そして、かつての慎ましかった幸せな生活が徐々に変貌していく。 正直、最初の3編を読んだ段階では星5評価の作品でした。残りの2編が個人的には、あまりハマらなかったため、星4になってしまった感じです。もちろん、残りの2編も後味の悪さはあるんですけど、最初の3編の気持ち悪さやインパクトに比べると弱いかなと感じました。 胸糞悪い描写もあるので、賛否両論ある作品ではありますが、イヤミス好きな方には、ぜひ読んでいただきたい一冊です!

Posted byブクログ