天使の跳躍 の商品レビュー
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この本で久しぶりに「夢中になって読む」ってことが出来た気がする。 最初から最後までずっと面白かった。 私は将棋をちゃんと知らないけどそれでもストーリーをずっと楽しめた。 「ベテランおじさん棋士が最後の挑戦として若き天才棋士に挑む!」という緊張感から始まった話が最後は「酸いも甘いも知った大人がまだまだ青い若輩者に道を開かせる」ようなすっきりした読了感があった。 女性棋士が大事な勝負のときに生理が来てしまい本調子を出せず負けてしまうというエピソードを、天才棋士でもとっくに成長のピークは過ぎていて衰えの一手を大事な場面で指してしまうというシーンに繋げているのかなぁと思った。自分の努力ではどうにもならないことを、若い棋士よりも先に経験しているおじさん棋士がそこから大逆転に持ち込む部分は本当に面白いと思った。
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無冠のまま40歳を過ぎた棋士がその後タイトルを獲得できた例はない。 知力、体力がいる将棋界で若き天才八冠に挑む。 ある棋士をモデルにしており読み応えのある小説だった。
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46歳の棋士 おじさんでも現役で、自分史上最高で闘える 折れた元天才の青年 「すげえ」、素直に思い昂ってる自分 まだ自分は将棋指しだなと じんと染みた まだ指すんですか? 無様だけど、俺はこっちだと信じてるんだ 一勝してから休まず研究する姿見て、 娘の美玖が「ガチじゃん」 子どもたちも挑戦する父は嬉しいのか 桂馬が他の駒を飛び越え、ハッとするような美しい手筋や美しい詰みを生む。それを天使の跳躍と呼んでます 天才の源。盤上しか見ない 周囲の雑念を追い払おうとしたら、人の顔が認識できなくなった。今回負けることで見えるようになり、学生時代に秘密を知ってたヒカリと通話。「会えない?顔が見たいんだ」ヒカリの顔を知らない →なんか人生の煌めき。いいな
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46歳の棋士が初めてタイトル戦に臨む。 相手は八冠の若手棋士。 一戦一戦の戦いの描写は分かる方には分かるのだろう(残念ながら私は詳しくない)。 棋士も1人の人間。負ければ悔しく勝てば嬉しい。 周りの人達も。 将棋仲間や家族からみた1人の棋士の姿が生々しかった。
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心身ともにピークがすぎた46歳のおじさん棋士が悲願のタイトルに挑む。プロ棋士たちがしのぎを削る超一級の頭脳戦。対局の緊迫感にゾクッとする。将棋に詳しくない私でも最高に面白かった!おじさん棋士がとても人間臭く(だらけたりかっこつけたり思わず失言しちゃったり)、自然に肩入れしてしまう...
心身ともにピークがすぎた46歳のおじさん棋士が悲願のタイトルに挑む。プロ棋士たちがしのぎを削る超一級の頭脳戦。対局の緊迫感にゾクッとする。将棋に詳しくない私でも最高に面白かった!おじさん棋士がとても人間臭く(だらけたりかっこつけたり思わず失言しちゃったり)、自然に肩入れしてしまう。言わない後悔より言う後悔、とにかく行動してみる勇気。周りを固める家族、研究会の仲間、ライバルたち、登場人物は多いけど一つ一つのエピソードが興味深く立体的。外からは伺いしれない将棋界のこともわかりやすく書かれていて知識欲も満たされる。 読み終わって振り返ると作品全体が一つの美しい棋譜のよう。ぱしっぱしっとピースがはまっていくような心地よさ。極上の浮遊感が忘れられない。そしてもう一つの隠された驚きもお楽しみ。 もっともっと世に知られてほしい素晴らしい作品。
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「ほらこういうのが好きなんでしょ」というあざとさを感じるものの、再三涙を流しながら読んだ。熱い思いでひたむきに何かに取り組むという、私はだいぶ失ってしまったもの。昔は私も、ほんの一瞬でもそういうときがあったなあと思う。 過去の様々な出来事や繋がりが、いまの将棋や人間関係に結びつ...
「ほらこういうのが好きなんでしょ」というあざとさを感じるものの、再三涙を流しながら読んだ。熱い思いでひたむきに何かに取り組むという、私はだいぶ失ってしまったもの。昔は私も、ほんの一瞬でもそういうときがあったなあと思う。 過去の様々な出来事や繋がりが、いまの将棋や人間関係に結びつく様は物語が緩まず飽きさせない。 現実の人間も良い面悪い面があり、本人はわかっていてもどうにもならないときもある。そういったことを本作ではそれぞれの人物について書かれている。 将棋界は、他の世界でもそうなのだろうけれど、誰もが認める天才たちが集まり、その中で優劣がつけられる。途中で諦めたり、ギリギリで棋士になれなかったりする人は、本当につらい。「この道しかない」と考えて来ていた人が多いだろう。 「四色問題」(ロビン・ウィルソン/著 、茂木健一郎/訳、新潮社)で名を残せず消えていった、少なくない数の数学者のことを想う。
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プロ将棋の世界を知れた一冊になった。 特に対局中の会場運営側の気遣い(音の邪魔にならないように水道を止めるなど)には、感動した。 また、対局中のシーンや勝つための葛藤のシーンには惹きつけられて目が離せなかった。
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将棋は駒の役割を知ってる程度です 詳しくなくても、とってもよかったです 将棋は、その人の人生そのものというのをひしひし感じる作品でした 涙腺崩壊です
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まず著者に「書いてくれてありがとう」 将棋のおじおじこと木村一基九段が2019年に46歳で念願の初タイトルを獲得したのが元ネタ。 小説なのでもちろん全くそのままではなく、例えば対局相手がきゅんでなく藤井聡太っぽい人になってたり、羽生さんぽい人は独身で豪快なキャラになってたり。 取材はしてても言ってみれば想像なんだけど、主人公の家での様子とか本当にこうだったのかなというぐらいリアル。 A級棋士が集結して特訓するなどあり得ない描写もあったけど(著者もわかってるので異例を強調してた)、おじおじの感動が蘇りました。 私は駒の動かし方しかわからないけど、そんなの関係なく楽しめたし、将棋好きなら出てくる人がこれはあの人だなとすぐわかるようになってて、著者はよっぽど将棋界が好きなんだなと思った。 ただ、ネタバレだから書くけど、永◯さんの書かれっぷりには笑った笑
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感想 面白い!将棋と人間ドラマが相まって、主人公を応援したくなる。 おじさん無冠棋士が自分の昔の経験を重ねて、現在の魔王に挑む!スラムドック・ミリオネアみたい展開。その将棋版? あらすじ 田中一義46歳棋士。これまで無冠。棋士としてのピークはとっくに過ぎたが、聖王戦の挑戦...
感想 面白い!将棋と人間ドラマが相まって、主人公を応援したくなる。 おじさん無冠棋士が自分の昔の経験を重ねて、現在の魔王に挑む!スラムドック・ミリオネアみたい展開。その将棋版? あらすじ 田中一義46歳棋士。これまで無冠。棋士としてのピークはとっくに過ぎたが、聖王戦の挑戦権を得る。 相手は源八冠、6年間八冠をキープした魔王。 時代が変わり、AIが将棋の主流となった。AIを使って相手が知らない差し筋を探して研究する。 一義は第1戦に向けて、新たな勝ち筋を見出し、令和の王に挑む。序盤は目論見通りに展開したが、相手が仕掛けた罠にハマりあえなく負けた。 弟子の涼は、一時は源と並んで時代を築くと期待されたが、21歳になってもプロ直前の三段リーグから抜け出せない。土壇場での弱さが出て、不貞腐れてしまった。 一義と同期の小湊は、涼をかつて同期の天才と呼ばれた星川に重ねる。星川が編み出した後手からの攻め筋を小湊と一緒に詰めて、第2戦への希望に繋げる。 星川は、大切な時期をギャンブルに捧げて降段となり、消息を経つ。 第二局は星川の作戦を使って序盤は優位に進めるも一手間違いから劣勢になるが、なんとか千日手に持ち込む。再局においてはボンミスから一気に攻め込まれて敗退する。 第二局に敗れて途方に暮れていた一義は、小湊に誘われて飲みに行く。そこでかつての7冠の上州に会う。一義は思い切って研究会に誘い、承諾を得る。上州との対局で過去に囚われず新しいスタイルを恐れないことと、大物との対戦で何かが吹っ切れる。弟子の涼も第二局を見てやる気を取り戻す。 第三局は、一義が優先の進め、涼も憎き加賀との対局を者にする。新しいスタイルで源に初めて勝つ。 第四局、後手であらゆる居飛車戦略を対策してきた一義だったが、源は振り飛車で攻めてくる。一義は浮き足だって攻め込まれて、絶体絶命になったが、源の一手の間違いから逆転する。 第五局、達観した一義は全てが上手く指せる展開になり、遂に源八冠を敗る。
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