死んだ石井の大群 の商品レビュー
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333人の石井が集められ、デスゲームが始まる。なんだろう、苗字に注目すれば「リアル鬼ごっこ」だし、首輪は「バトル・ロワイヤル」。ゲームのルールは「神様の言うとおり」に近い。最後の一人になるまでというところは「イカ・ゲーム」にも似ている。うわ、私デスゲームを題材にした小説、好きだな…。自分でひくわ。 でも余程の聖人君子でない限り、こういう作品好きだよね?眉をひそめながらも読んでしまうよね? ただし、なぜ最後の一人になるまで残酷なゲームを行うのかの理由がはっきりしていないと納得はできない。夢落ちとかは絶対やめてほしいところだ。本書の「デスゲームの理由」はすっきりと腑に落ちた。石井たちがどんどん死んでいくのと同時進行で、探偵が調査を進めていくのも面白かった。しかし、探偵助手はよく真相が推理できたものだ。何も考えてなさそうに見えるが、優秀だったのか。何を書いてもネタバレになりそうでこれ以上書けないが、予想外の終着地点に連れていかれた感じがする。石井たちよ、安らかに…。
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気がつくと真っ白い部屋にいた石井唯(中2)。記憶を探るがまったく思い出せない。周りには大勢の老若男女がひしめき合う。驚くことに333人全員の苗字が“石井”であることが判明。 突如響きわたる《声》から「ドッジボール」を始める指示が言い渡される。60分間ボールを避け続けること。避けら...
気がつくと真っ白い部屋にいた石井唯(中2)。記憶を探るがまったく思い出せない。周りには大勢の老若男女がひしめき合う。驚くことに333人全員の苗字が“石井”であることが判明。 突如響きわたる《声》から「ドッジボール」を始める指示が言い渡される。60分間ボールを避け続けること。避けられなければ首輪爆発による即死のデスゲームがスタートした… 一方探偵の伏見は、高校の同級生から中年新人俳優•石井有一の捜索依頼を受ける。石井は演技未経験ながら、“憑依”したかのごとく役へ没入して演じ分ける才能を秘めた俳優だというが… 私がミステリを読み始めたのは1999年頃。それまで小説というものをほとんど読んでこなかった私を、虜にした本を読んだのがキッカケだった。 その本の名は「バトル•ロワイアル」。“デスゲーム文学”の草分け的存在だ。中学生同士の殺し合いというあまりにもセンセーショナルな内容から、当時賛美両論を巻き起こしたが、私はエンタメと割り切って面白く読んだ。深作欣二監督による映画も何度も観た。柴咲コウはあれを期に一躍スターダムに登り詰めていったもんなー(遠い目)。 その後色んな作品を読み進めるうちに嗜好が変わって、今ではミステリの中でも「本格ミステリ」を最も好んで読むが、「デスゲーム」も依然好きなジャンルの一つである。何が好きなのかは自分でもよくわからないけど、“死んだら終わり”の状況下で生き残りをかけて試行錯誤する登場人物達に、感情移入しながらハラハラドキドキする感覚がたまんないのかも。 さて本書。「バトロワ」の流れを汲むデスゲームを本流としつつも、様々な要素が内包されていた。しりとりやじゃんけんといった身近なゲームをアレンジして競うという点では、「地雷グリコ」と似通った一面もある。あちら程、頭脳バトル要素は色濃くないけれども。終盤に明かされる生き残った石井達のほにゃららは、辻村深月の某ベストセラー作品を彷彿とさせ、このとんでも設定を SFかと思わせといてリアルに着地させているのは剛腕。ミステリでは使い古されたオチなんだけれども、すっかり騙されてしまった。大胆に張り巡らされた伏線も、気持ちよく回収。 本書の中で紹介されているデスゲームetc(※)、未読本もあったのでそのうち読んでみようかな。 (※)「バトル•ロワイアル」「カイジ」「ライアーゲーム」「神さまの言うとおり」「リアル鬼ごっこ」「インシテミル」「死のロングウォーク」「イカゲーム」 《死んだシリーズ》 1.死んだ山田と教室 2.死んだ石井の大群 3.死んだ木村を上演
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多重人格モノって、いつも「密室」で人格同士が話し合ってるよね。というところから「密室で行われるデスゲーム」と接続する、という発想自体は面白かった。 一方で、物語の中核をなすメッセージは、「石井有二が生きるために必要のない人格はなかったんだ」という、勇ましい部分も弱い部分も含めた人間のすべての部分の肯定というところにかかっている。 しかし、デスゲーム×多重人格というアイデアによって引っ張られた物語なため、どうしても人格同士で「殺し合う」という過程が発生してしまう。 この「殺し合う」という過程を、デスゲームの文脈とは異なった文脈で読み替えることでうまく全体のテーマと接続できるとよかったと思うけれど、「殺し合いはしたけど結果的にはすべて統合されるよ」という修治の説明のもとで乱雑に”問題なし”ということにされてしまう。 じゃあデスゲームである必要なかったんじゃない?というのが当然浮かんでくる疑問で、そこを回収してくれるともっと力強い「生の肯定の物語」になったんじゃないかと思う。
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金子玲介作品2作目。 前作の「死んだ山田と教室」が良かったので 今作も図書館で見つけて借りました。 表紙と背表紙のタイトルのフォントが デスゲームのイメージと違うなぁと思いつつ 読み始めました。 白い部屋に集められた333人の石井さん、首に黒い首輪、ゲームに負けたら 飛ぶ首。 ドキドキハラハラしながら読み進めました。 でもまさかそういう結末だなんて思ってもみなくて 蜂須賀の最初の指摘… 「あなた、」 「有一さんじゃないっすよね?」の後は衝撃的でした…! 今作もしっかり楽しませてもらいました。 1作目、死んだ山田と教室 2作目、死んだ石井の大群 2024年冬に次回作発売予定らしい… タイトルが「死んだ木村を上演」… 次回作も絶対読もう……!楽しみ!!
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どうしようー読めるかなーが読み始めの感想です。 私 「バトル・ロワイアル」とか「神さまの言うとおり」とか「カイジ」とか 所謂デスゲームものが苦手です…。だって何の意味があって殺し合うの??怖すぎるっ!自分が巻き込まれたら もうさっさと死にたい!けど死ぬのも怖い! 怖かったけど予想...
どうしようー読めるかなーが読み始めの感想です。 私 「バトル・ロワイアル」とか「神さまの言うとおり」とか「カイジ」とか 所謂デスゲームものが苦手です…。だって何の意味があって殺し合うの??怖すぎるっ!自分が巻き込まれたら もうさっさと死にたい!けど死ぬのも怖い! 怖かったけど予想以上にポンポンと死んでいくので最後まで読みきれましたー! ✎┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 唯は目覚めると真っ白な部屋にいた。 ここはどこ? 《お待たせいたしました》 どこからか機械音のような声が響く 《三つのゲームを実施し、最終的に勝ち残った一名のみが生還となります》 壁にかかった黒い画面には333人の石井の名前…。 これは誰が何の目的で始めたゲームなのか…。 最後まで生き残るのはどの石井? ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 探偵の伏見は、高校の同級生だった鶴田から人探しの依頼を受ける。鶴田の主宰する劇団の劇団員 石井有一を探して欲しいと。芝居の千秋楽前日に何の前触れもなく姿を消した有一。探偵の助手兼 フリーのピン芸人 蜂須賀と石井有一の行方を捜し始めると、有一の部屋から大量の●●を見つけ…。 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 前作の『死んだ山田』同様に「生きろ」というメッセージを受け取りました。 「山田」のレビューも「和久津、中身ぎちぎちで生きろ!」って書いてるなぁ。 こちらは「中身なんてなくても どうしようもない日々でも それでも生きていくしかないんだよ!」かな。 わたしが好きなのは 青春もの>デスゲーム ということで私は前作の方が大好きでした。でもこちらも面白かった!「死んだ山田」と同じく脇役さえも面白い。やたらと声がデカい椎木がいいな笑 次は『死んだ木村を上演』! 楽しみ(*ˊᗜˋ*) 蜂須賀みたいなのいるよねー。ボケてるようで 最後に美味しいとこ持ってくやつ笑!
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『死んだ山田~』が面白かったのでこちらも読んでみました。読み始めてすぐに「イカゲームじゃん!」と思いましたが、果たしてどう収拾するのかの方が気になってどんどん読み進めることができました。結果、なるほどそういうオチかと。 この冬に刊行予告されているシリーズ3部作の最後『死んだ木村...
『死んだ山田~』が面白かったのでこちらも読んでみました。読み始めてすぐに「イカゲームじゃん!」と思いましたが、果たしてどう収拾するのかの方が気になってどんどん読み進めることができました。結果、なるほどそういうオチかと。 この冬に刊行予告されているシリーズ3部作の最後『死んだ木村~』が待ち遠しいです。
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気がついたら大量の石井に囲まれていた… トンデモな世界観を堪能できるミステリー #死んだ石井の大群 ■あらすじ 石井唯は気が付くと体育館のような場所にいた。周りにも老若男女が大勢いあわせ、どうやら皆同じような境遇だった。唯が話しかけると、なんと全員の苗字が石井であることが判明す...
気がついたら大量の石井に囲まれていた… トンデモな世界観を堪能できるミステリー #死んだ石井の大群 ■あらすじ 石井唯は気が付くと体育館のような場所にいた。周りにも老若男女が大勢いあわせ、どうやら皆同じような境遇だった。唯が話しかけると、なんと全員の苗字が石井であることが判明する。これは一体、どういう状況なのか… 一方、探偵を営んでいる伏見とその助手の蜂須賀のもとに、人探しの依頼が舞い込んでくる。石井有一という劇団員が行方不明になっているらしい。彼らは調査を開始するのだが… ■きっと読みたくなるレビュー おもろい!色んな要素を盛り込んでますね~。でもいいバランスの取れ具合で、個人的には前作よりも好きです。 いきなり何だかよくわからない世界に飛び込むのですが、感情描写が親しみやすく、場面描写などの説明も綿密でしっかりしてるんですよ。全体としてもページ数も少なめなのに、テーマとしては生と死を扱っていて厚みがあります。 今回もセリフ回しがお上手です。なにがおもろいって、ファイナルウェポンですよ。ファイナルウェポン。なんだそれって方は、是非読んでください。もう爆笑です。もはやコントのやり取りなんですよね、いい角度の切り口だし、粘着度も素晴らしいんすよ。 ストーリーとしてはですね… 面白味をそいじゃうので、何も言いたくありません。たくさんの石井が出てきてわちゃわちゃ感、何じゃこれ感、ヒリヒリ感が強いです。伝わるかなー。そしておそらくは、当初考えていた以上の展開になります。 謎解きのプロットもなかなかウマイんですよ。徐々に情報が提示されていき、ハッとするような気づきが訪れる。ここはもうミステリーなので楽しんでください。 本作、結構むちゃなことをやっているんですが、軽すぎず、重すぎず、読み物として楽しく面白味もある。文体もライトなんですが、おさえどころは落ち着きもあって丁寧、文芸としてのバリューもあると思います。褒めちっぎてますが、ホントにバランスがいいんですよね、これ大事です。 どなたにもおすすめできる、不思議さ満点のエンタメ小説でした。 ■ぜっさん推しポイント 前作もそうなんですが、生と死の狭間の描き方が力強くて好きですね。死に対する悲哀と覚悟、そして生に対する勇気と怯え。人間の究極の葛藤といえる部分を読み手に突き付けてくるんです。 読み終わってみると、いまの自分の生き方はどうなんだろうか?と考えずにはいられなくなるんですよね。皆さんはどう思いましたか?
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途中から何となくそうなのかなーとは思ってた。 デスゲームパートと調査パートが交互にいい感じになっているので、飽きることなく読み進められた。 「死んだ山田~」とはまた違った読み味で面白かった。
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「死んだ山田と教室」は、ラノベ的なノリが多かったのですが、今作は少し抑え気味で好きなテイストでした。デスゲームの場面と探偵捜査の場面とを交互に楽しめました。 石井の大群が何者なのか… 勘のいい人なら読みながら気づくでしょう。
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Amazonの紹介より 白い部屋に閉じ込められた333人の石井。失敗すれば即、爆発の3つのゲームで試されるのは、運か執着心かーー。 14歳の唯は死にたかった。理由なんてなかった。何度も死のうとした。死ねなかった。今、はじめて生きようと思った。この理不尽な遊びから抜け出すために。 ...
Amazonの紹介より 白い部屋に閉じ込められた333人の石井。失敗すれば即、爆発の3つのゲームで試されるのは、運か執着心かーー。 14歳の唯は死にたかった。理由なんてなかった。何度も死のうとした。死ねなかった。今、はじめて生きようと思った。この理不尽な遊びから抜け出すために。 探偵の伏見と蜂須賀の元に、石井有一という人物を探してほしいという依頼がきた。劇団の主宰が舞台での怪演を目の当たりにし、その才能にほれ込んだ矢先の失踪だった。 唯と有一の身に何が起きたのか、そして二人の生死の行方はーー。 前作「死んだ山田と教室」では、主人公の生きたいという魂の叫びが印象深く、ストーリーとしてもとても良かったので、楽しみでした。 冒頭から突如始まるのは、バトルロワイアル。それも石井姓の人達ばかりで、どんどん人が死んでいきます。 それぞれの首に爆弾が仕込まれていることもあり、これはイカゲーム?バトルロワイヤル?今際の国のアリス?など、聞いたことのあるドラマが次々と思い浮かび、これは何かのオマージュなのか?とか思ってしまいました。 それと同時にもう一つの物語も進行していきます。 それは、ある人物の捜査依頼。突如新星のごとく現れた中年の舞台俳優・石井有一が千秋楽の前に行方不明になったということで、探偵に依頼をします。 共通しているのは、どちらも石井という人物。どのようにして繋がり、どのような展開していくのか楽しみでした。 ここまでで印象的なのは、333人分の石井○○が書かれていたことです。 よく思いついたなと思うくらい、全員分異なった名前が書かれていて、読んでいて唖然としてしまいました。 もちろん、その中には石井有一も含まれていますが、バトルロワイアル編での主人公は、石井唯という人物です。 14歳ということもあり、次々と起こる惨劇は衝撃的すぎのなではと思うくらい衝撃の連続でしたが、懸命にゲームを抜け出そうとする描写が印象的でした。 3つのデスゲームを通じて、なぜこのようなことが行われたのか明らかになります。 そもそも、ゲームの参加者たちは怪しい人達ばかりなのですが、そういった疑問も後で解決していきます。 今迄のデスゲームでの緊張感とは違い、後半戦では別の空気感が流れていて、展開としても意外な方向でしたので、面白かったです。 同時進行の探偵編では、石井有一を深掘りすることで色んな発見と驚きが待ち受けます。有一がどんな人なのか深掘りするだけでなく、蜂須賀のズカズカ踏み込む性格と冷静な伏見の凸凹さが面白く、魅力的でした。 そして、2つの物語が合わさったとき、デスゲームの真実が明らかになります。 どことなく、メッセージ性が前作と似ている部分もあって、生きたいという魂の叫びにグッときました。 終わり方も、温かみのあるラストだったので、良い余韻に浸れました。 生きていれば何かしらは起こる。辛い事が連続で起きたとしても、救ってくれるかもしれません。 死んだら最後であり、生きていると色んな奇跡があるかもしれません。 生きることの大切さといったメッセージ性が伝わった作品でした。
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