常夏荘物語 の商品レビュー
遠州峰生の名家・遠藤家の邸宅である常夏荘に10歳の時に引き取られた耀子は、寂しい境遇のなかでも周囲の優しさに支えられて子ども時代を生きぬいてた。38歳になった今は夫の龍治とは別れて暮らし、娘の瀬里は東京で予備校に通っているはずが… 瀬里のことを心配していたのは、父の叔父であり祖...
遠州峰生の名家・遠藤家の邸宅である常夏荘に10歳の時に引き取られた耀子は、寂しい境遇のなかでも周囲の優しさに支えられて子ども時代を生きぬいてた。38歳になった今は夫の龍治とは別れて暮らし、娘の瀬里は東京で予備校に通っているはずが… 瀬里のことを心配していたのは、父の叔父であり祖母の義弟にあたる立海でもあった。 複雑な関係のようではあるが、そうには見えなくて、ただそれぞれが子どもの頃に家庭というものの温かさを感じることが少なかったからかもしれない。 峰生での暮らしもずっと平穏かというと厄介ごともありはしたが、周りの支えや優しさもあり祖母の友人「ネコ」のおかげでミネフェスを成し遂げる。 瀬里の父・龍治の最期の言葉はみんなの幸せを願うことで…。 そうであってほしいと思っていたことが、叶ったことはよかった。 いろんな家族のかたちはあるけれど、嘘偽りのない人生なら普通と違うと思われたとしても幸せだろう。 見つけた道を進めばいい。 美しく生きること。 顔を上げて生きること。
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いよいよ完結編。全四作品に登場した常夏荘の皆が心温かく離れ難い。如何なる場面も各人に共感し、ドキドキ、イライラ、ハラハラさせられた。龍治と耀子の永遠の別れに落涙。『手を伸ばせ、遠慮なく。掴め。』龍治が望んだ通りの結末に安堵した。
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久しぶりの伊吹有喜作品、なでしこ物語の延長線、耀子と立海の関係がそのまま。今回は常夏荘を中心とした女性三代(照子-耀子-瀬里)が峰生という狭い地域で生きていく物語。何だか本家・分家とか世間体を気にしながら生きていくって辛いこと。しかし、この三代は世間体にも、嫌がらせにも負けない。負けない力は本人たちだけではなく周りの女性仲間があってこそ。本当に男性陣は脆弱且つアホな存在で、女性のエネルギーに満ちた気迫が心地よい。なでしこ物語と同様、女性が社会的自立と精神的自立を目の当たりにできた。瀬里の性格はキュート。⑤
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「なでし子物語」「天の花」「地の星」に続く、 シリーズ第4巻。 3代の女性を描いた感動の大河小説。 素晴らしい作品でした! 10歳で遠藤家の常夏荘に引き取られ、38歳を迎えた耀子。 前作より更に月日は流れ、離れて暮らしながらもお互いを気遣い合う耀子と夫・龍治。 娘・瀬里との親子...
「なでし子物語」「天の花」「地の星」に続く、 シリーズ第4巻。 3代の女性を描いた感動の大河小説。 素晴らしい作品でした! 10歳で遠藤家の常夏荘に引き取られ、38歳を迎えた耀子。 前作より更に月日は流れ、離れて暮らしながらもお互いを気遣い合う耀子と夫・龍治。 娘・瀬里との親子関係に、もどかしさや寂しさを感じた。 周囲のやっかみや妬みを受けつつ、孤独感や心の空虚を抱えながらも懸命に頑張っている耀子に、たまらない気持ちになる。 耀子の気持ち。 龍治の気持ち。 立海の気持ち。 照子の気持ち。 誰に寄り添って読んでいても、どうにも胸の奥から強い感情が溢れてくる。 1人1人の幸せを願わずにはいられない。 読みながら、滂沱の涙。 そして、自然と背筋が伸びるような気持ちになりました。 哀しく、切なく、美しく…。 端から見るだけではわからない、周囲には計り知れない、本人たちにしか理解できない積み上げてきた歴史がきっとある。 長い年月を経て紡がれてきた常夏荘の歴史と、周囲の人たち1人1人の人生に思いを巡らせ、胸がいっぱい…。 心を大きく揺さぶられる最高に素敵な読書時間でした。 『何があろうと、何がおころうと、誰にも代わってもらえない。自分の人生は自分のもの。』 『暗がりを行く者を導く星の光は、夜が明ける と花に宿って地を照らす。天の花、地の星。いつだって希望の光はともにある。』
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2008年から物語が始まったことをかなり読み進めてから気づいた。なんか雰囲気が今のような違うような?と。物語の序盤でギリ間に合った。 前作から結構時間が経ってしまってどんな内容だったか思い出すのが大変だった。家族構成が複雑で何度も冒頭の家系図を見ながら読み進めた。 相変わらず耀子...
2008年から物語が始まったことをかなり読み進めてから気づいた。なんか雰囲気が今のような違うような?と。物語の序盤でギリ間に合った。 前作から結構時間が経ってしまってどんな内容だったか思い出すのが大変だった。家族構成が複雑で何度も冒頭の家系図を見ながら読み進めた。 相変わらず耀子に降りかかる試練の多さにまたか!と辛くなりつつも、最後はやっとここに落ち着いたか〜と軽い疲労感とともに完。
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感動した。最後まで読めて良かった。 思い返せば、このシリーズの第一弾を読んだのが2017年の秋。 それから7年の歳月を経て偶然にも同じ秋に完了。その上物語のクライマックス、オクトーバー・フェスティバルとも同じ季節。そんな偶然が重なった秋にこのシリーズの最終巻を読了できて感無量。 わずか10歳の時に常夏荘に引き取られてから28年間、常夏荘や峰生を守り抜いた耀子。 いつも一生懸命。たくさん失敗もした。周囲の嫉妬の渦にのみ込まれ、出る杭も打たれまくり。深い孤独に苛まれ後悔することもしばしば。 けれどその度に思い出すのは、幼い頃に尊敬する青井先生から教わったあの言葉。 「自立、顔を上げて生きること。自律、美しく生きること、新しい自分を作ること」 この言葉通り自分の信念を曲げずに何度でも立ち上がる耀子。常に凛と構える耀子の姿に感動した。 残りの人生は、自分の気持ちに素直になって幼い頃から大切に想い続けたあの人と共に、自由に生きてほしい。お幸せに! そして私事ですが、ブクログ20周年の記念付箋が見事当たって、嬉しい秋になりました。ありがとうございます! ブクログのスタッフの皆様、大切に使わせていただきます(*^^*) ブクログがこの先30年40年と続いていきますよう、応援しています!
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シリーズ第4作。2008年没落しつつある名家遠藤家の孫瀬里の進路、母耀子の事業、母子三代の物語。 非常に良かった。こういう大河小説的なものは好みなのだけれど、その中でも抜群にいい。ストーリー展開もいいけど、人物造形もすごくいい。映像化強く希望。(朝ドラはおむすびはやめて、これを...
シリーズ第4作。2008年没落しつつある名家遠藤家の孫瀬里の進路、母耀子の事業、母子三代の物語。 非常に良かった。こういう大河小説的なものは好みなのだけれど、その中でも抜群にいい。ストーリー展開もいいけど、人物造形もすごくいい。映像化強く希望。(朝ドラはおむすびはやめて、これを使えばいいのに・・・)
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現実的ではない夢物語? だからこそかな?どんどん引き込まれてしまいました。 皆がそれぞれ前に進んで行き幸せになれそうでよかったです。
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大団円。ようやくリュウカとヨウヨの行く末が見届けられて感無量。長かったなぁ。龍治のことは悲しくて涙が出たけど、彼の言うように、欲しいものは全て手に入れて幸せだったんじゃないのかな。大好きなこのシリーズが終わってしまって寂しい。
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始まりがあるから終わりがくるのだけど、その人生をどう生きてきたのか見届けたものとして本作を読み終えて、とうとうシリーズが終わるのかと万感交到る 「ヨウヨ」「リュウカ君」 燿子の来し方に、この先、キラキラしたあの日のようなの行く末があることを願わずにはいられない
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