山手線が転生して加速器になりました。 の商品レビュー
2024-11-24 タイトルからバカSFかと思っていたが、なかなかどうして。 知への信頼と憧憬に満ち溢れた、壮大にして希望に満ちた短編群。決して幸せなだけでは無いところにも矜恃を感じる。 そして数多くのイースターエッグが嬉しい。映画、小説、物理学者、数学者。こういう遊び心もたま...
2024-11-24 タイトルからバカSFかと思っていたが、なかなかどうして。 知への信頼と憧憬に満ち溢れた、壮大にして希望に満ちた短編群。決して幸せなだけでは無いところにも矜恃を感じる。 そして数多くのイースターエッグが嬉しい。映画、小説、物理学者、数学者。こういう遊び心もたまりません。
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山手線が加速器に!というだけでジャケ買いならぬタイトル買い。 パンデミック後の世界、すごいことになってる…
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前に出版された『シュレーディンガーの少女』が良かったので、最新作のこちらの短編集も読んでみた。 先に巻末付録の「作中年表」を読むことをおすすめする。何の説明もなしに「撤退宣言」とか「モラヴェック」といった言葉が出てくる。この年表に基づいた、人類が都市を放棄して、リモート暮ら...
前に出版された『シュレーディンガーの少女』が良かったので、最新作のこちらの短編集も読んでみた。 先に巻末付録の「作中年表」を読むことをおすすめする。何の説明もなしに「撤退宣言」とか「モラヴェック」といった言葉が出てくる。この年表に基づいた、人類が都市を放棄して、リモート暮らす世界を描いている。つまりは、連作短編集のような体裁となっている。いや連作短編集と言っていいのだろう。 表題作は、鉄道としては廃止された山手線が円形加速器に再生され、さらに自意識を与えられるという話。加えて中央線が直線加速器になっている。さらにその1年後を描いた一編もあり、アイディアとしては秀逸。
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松崎有理氏の名前は創元系のSFなどで存じ上げてましたが、読むのは初めての方です なかなかの物理学や宇宙工学のネタも盛り込まれつつ、経済学や料理の化学的な話もあって、そして冒頭に収録されている巻タイトルにもなっている『山手線が転生して加速器になりました。』はほんとにそのままの話、山...
松崎有理氏の名前は創元系のSFなどで存じ上げてましたが、読むのは初めての方です なかなかの物理学や宇宙工学のネタも盛り込まれつつ、経済学や料理の化学的な話もあって、そして冒頭に収録されている巻タイトルにもなっている『山手線が転生して加速器になりました。』はほんとにそのままの話、山手線が高度な加速実験機に転生して自律して喋ったりする 転生っていうか擬人化の話で国鉄時代の運行やストの記憶とか喋るのが凄くじわりますし、可愛い (でも山手線も同僚の中央線もちょっとめんどくさいキャラでもある、それがまたいい) 短編集ですが、少しずつ各話のリンクもある楽しさや、全世界規模の疫病の流行によるフルリモート化の社会が形成された(もしかしたらこれから起こり得る)近未来の世界観や、SFの高度で上質な風合いなど、読みごたえばっちりで取っつきやすいです でも、小説としてどことなく、なんとなく、各短編のオチがあっさりしすぎてるというか、弱めに感じてしまうところもありました 漫画界における超名作SF短編集を連想する雰囲気もあるためになおさら 登場人物の掘り下げがもう一声欲しいなあ、とか 外宇宙からの来訪者の目的や真相はもっとエグいはなしのが好みだなあとか、個人的な感覚なのですが
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完全にタイトル買い。おもしろおかしく楽しい物語かなと思っていたら、ただ単にそれだけではなかった。 ちなみに山手線が転生した加速器の正式名称はミューオンリングコライダー。本文中の説明をそのまま使わせてもらうと、衝突(コリジョン)を起こすからコライダーであり、山手線の環状を転生させ...
完全にタイトル買い。おもしろおかしく楽しい物語かなと思っていたら、ただ単にそれだけではなかった。 ちなみに山手線が転生した加速器の正式名称はミューオンリングコライダー。本文中の説明をそのまま使わせてもらうと、衝突(コリジョン)を起こすからコライダーであり、山手線の環状を転生させた衝突型加速器だからリングコライダー。加速して衝突させるのは点のように小さな荷電粒子で、この粒子を電車の車両のようなかたまりにして列車のように並べたものがビーム。そのビームは加速空洞を通るたびに電場で加速され、二本のレールをパイプにしたものの中をそれぞれ反対方向に何度も回し、限りなく光に近い速さまで加速してから衝突させる。というものらしいのだが、専門的なことは全く分からない。 そして、意識もあるので喋るし考える。過去(山手線時代)の記憶もあってストライキまでしてしまう。中央線まで転生しており両者の掛け合いは面白く、人とのやりとりもほのぼのとして可愛らしいところもある。 こんな感じで始まるのだが、実のところ地球の生命滅亡の危機があったり、超強力ウィルスのパンデミックを経た地球の変化だったり、介護と仮想空間の未来だったり、地球外知性との遭遇だったりとなかなかに色々と味わえる七篇の短編集。ほぼ全編がパンデミック後の世界のことなので、現実世界でも経験したコロナ渦中から現在までを連想してしまう。もしも都市文明の放棄がここまで進んでいたら今ともまた違った世界になっていたのだろうか? さらに巻末には宇宙開闢から宇宙終焉までの年表が付いており、読み終えた後に見てみると作中のそれぞれの出来事がどう繋がるのか分かる。ちょっと切なかったりワクワクしたりととても楽しめた。
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松崎有理「山手線が転生して加速器になりました。」読了。近未来SF短編。科学&SF好きには堪らない蘊蓄や展開があり大きく心を揺さぶられた。最高に面白かった!身近な山手線から始まり時空を超越した世界に各お話が絶妙に絡み合う。AI、加速器、タイムマシン、ダークマター、ブラックホ...
松崎有理「山手線が転生して加速器になりました。」読了。近未来SF短編。科学&SF好きには堪らない蘊蓄や展開があり大きく心を揺さぶられた。最高に面白かった!身近な山手線から始まり時空を超越した世界に各お話が絶妙に絡み合う。AI、加速器、タイムマシン、ダークマター、ブラックホール、てんこ盛り!
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表題作は、パンデミックにより都市が放棄され、東京から人がいなくなり無用となった山手線を線形加速器に転用しちゃったお話。本としては同じ歴史を共有するシェアワールドSF短編集という感じ。どのお話も人々は地方に分散し、リモートコントロールのロボットを使ったり、仮想空間で仕事をしてる。総...
表題作は、パンデミックにより都市が放棄され、東京から人がいなくなり無用となった山手線を線形加速器に転用しちゃったお話。本としては同じ歴史を共有するシェアワールドSF短編集という感じ。どのお話も人々は地方に分散し、リモートコントロールのロボットを使ったり、仮想空間で仕事をしてる。総じてみんな楽しそう。 難しい描写は少ないので手軽に読めますが、それでもSFなので情報量は多い。作品全体で歴史線がしっかりしているので、今後も活用して作品が出てくるといいなと思う。
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タイトル見て即買いしてしまった。 転生前の記憶を持ちながら加速器になった山手線。パンデミックで人がいなくなった都市。VRで作り上げた空間で繰り広げる空想。タイトルの通りぶっ飛び設定が詰まっていて物理好きに刺さる作品だった。どんな風に考えたらこの世界観に辿り着くんだろう。 あとは献...
タイトル見て即買いしてしまった。 転生前の記憶を持ちながら加速器になった山手線。パンデミックで人がいなくなった都市。VRで作り上げた空間で繰り広げる空想。タイトルの通りぶっ飛び設定が詰まっていて物理好きに刺さる作品だった。どんな風に考えたらこの世界観に辿り着くんだろう。 あとは献辞の時点でニヤつける。
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SF短編の詰め合わせ。出たらかならず買うと決めてる作家の一人。 とある感染症のパンデミックを経て人類が都市文明を放棄してリモートで暮らすようになった世界を舞台にした連作短編(「小説宝石」に発表された5編+書き下ろし2編+付録の書き下ろし作中年表)で、文庫オリジナルというハンディ...
SF短編の詰め合わせ。出たらかならず買うと決めてる作家の一人。 とある感染症のパンデミックを経て人類が都市文明を放棄してリモートで暮らすようになった世界を舞台にした連作短編(「小説宝石」に発表された5編+書き下ろし2編+付録の書き下ろし作中年表)で、文庫オリジナルというハンディさがうれしい。さっそく移動のお伴に。 巻頭言で言及されているスティーヴン・ウェッブのサイエンス・エンターテイメント「広い宇宙に地球人しか見当たらない50の理由: フェルミのパラドックス」「広い宇宙に地球人しか見当たらない75の理由」(青土社)へのオマージュにあふれた一冊で、読み始めればぐっと引き込まれ、さまざまなテーマに沿ったどの話も科学知識(素粒子、ブラックホール、フェルミ・パラドクスからダークマターまで)にほどよく人情やユーモア、楽しいギミックが散りばめられていておもしろく、期待に違わぬ松崎有理ワールドを堪能した。最後に年表をながめたら最初から読み返さずにはいられない。 コロナ禍の最中にはもちろん興味深く読んだ<パンデミックに伴い人類が都市文明を捨てたリモート世界>という設定は一息ついたいまも古びることはなく、全編どれもよかったけれど、仮想空間こそが生きる場所となった人々が切ない「不可能旅行社の冒険」とそれぞれに孤独な大人たちと孤独な子どもの邂逅をえがく「ひとりぼっちの都会人」が特に好き。
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