私はチクワに殺されます の商品レビュー
チクワの穴から人を見ると、その人の死に様が見え、まもなくその人は見た通りの死に方をする。 偶然その事実に気づいてしまった配送業の男は、チクワによる悲劇を防ごうと行動を起こすが……。 コミカルな滑り出しながら読み進むにつれて高まる一方の悲惨さの度合い。二転三転する展開。読む...
チクワの穴から人を見ると、その人の死に様が見え、まもなくその人は見た通りの死に方をする。 偶然その事実に気づいてしまった配送業の男は、チクワによる悲劇を防ごうと行動を起こすが……。 コミカルな滑り出しながら読み進むにつれて高まる一方の悲惨さの度合い。二転三転する展開。読むのが止まらなくなるミステリーホラー。 ◇ 東京都練馬区の郊外にある借家で、夫婦の遺体が発見されたのは6月末のことだ。久しぶりに両親のもとを訪れた娘が発見したときは、死後2週間が過ぎていた。 通報により駆けつけた捜査員が調べたところ、夫は居間と台所の間の欄間にくくりつけたロープで首を吊っており、妻は全身を刃物で数十か所刺され寝室の布団の上で横たわっていた。 縊死した夫が妻の返り血を大量に浴びていたことから、夫による無理心中ということで事件は処理された。 だが、この現場には理解に苦しむような奇妙なものが2つ残されていたのだった。 (「序」) ※全3章と序からなる。 * * * * * まず、序章から提示される謎について触れておきます。 凄惨な無理心中現場。通報を受けて現場に踏み込んだ捜査員が思わず鼻を覆った腐臭。けれど、捜査員が臭気を忘れるほど驚いたのは、床を埋め尽くさんばかりに散らばる大量のチクワを目にしたからでした。 ( 蒸し暑い梅雨の時期。腐臭は死体とチクワの相乗効果なのですね。) なぜこれだけ大量のチクワがあるのか。1つ目の謎です。 そして縊死した夫のポケットから見つかった紙の束。どうやら遺書代わりの手記のようですが、その文章は「私はチクワに殺されます」で始まっているのでした。 この異常としか思えないことばの意味するところは何なのか。2つ目の謎です。 ここからすでに作品の虜になるほどの強烈な序章。ページを繰るのももどかしく読み進めてしまいました。 次に、各章についてまとめておきます。 第1章はその「手記」に綴られた内容で、チクワの持つ魔力に気づいてしまった男が次第に狂気を帯びていくさまが描かれます。 描写はコミカルなのに、徐々に不気味さが増していく。秀逸なホラー作品です。 第2章は、両親の遺体を発見した娘へのインタビューの様子です。取材するのはフリーライターの男で、事件について独自に調べています。 オカルト色の強い第1章と違い、現実に沿った無理のない見解が語られていきます。 そして第3章です。 前半はミステリーそのもので、フリーライターによる謎解きがあり、事件の真相が明かされます。殺人事件としてキレイに収まり、ああそうだったのかと納得しかけたところで迎える後半。うわあ、そう来たか。 初読みになる五条紀夫さんの作品。 コミカルで読みやすいのに、ホラーとしてもミステリーとしてもなかなか高いクォリティーだと思いました。 作品のクォリティーを押し上げるための工夫。例えば、東北地方で昔から伝わる「秘拷穴」という古代呪術を絡めた点が挙げられます。 この民間伝承を紐解く展開は、澤村伊智さんの『ぼぎわんが、来る』などでも同様で、ストーリーに信憑性を与えています。 そのせいで読後は、好物のチクワが不気味に思えて、穴から家族や愛猫を覗き見ることができなくなりました。 ( もともとしたことないですが、「してはダメ!」と強く意識してしまいます。) このゾワゾワ感。皆さんにもぜひ味わっていただきたいです。
Posted by
著者初読。パイセン本。ある男の手記から始まる。その内容は「私はチクワに殺される」というもの。私は何を読まされているのか、という思いで薄寒くなる。続いてある人物のインタビュー。対象者の会話のみを文字起こしした感じだけど、話している内容とテンションに違和感があり過ぎて薄気味悪さはどん...
著者初読。パイセン本。ある男の手記から始まる。その内容は「私はチクワに殺される」というもの。私は何を読まされているのか、という思いで薄寒くなる。続いてある人物のインタビュー。対象者の会話のみを文字起こしした感じだけど、話している内容とテンションに違和感があり過ぎて薄気味悪さはどんどん増していく。そして最後は裏付け部分だけど、ある2人の会話が感じ悪過ぎる。そして最後のブラックボックスの話はなんだったのかさっぱり分からずちょっと混乱。なんか人間って怖いっていうホラーを読んだ印象。考証サイトがあったらみてみたい
Posted by
なんか不思議な話だった。 読み終わってから再確認でパラパラ読み直したけど不思議だな…。 ことの発端は、ある日竹輪の穴から人を覗き、覗いた人が次々に亡くなったことから始まる。 殺意を持って竹輪の穴を覗くだけで人が殺せるなら苦労はない。 読み進めると死体に穴を開けて祈祷を行う民間...
なんか不思議な話だった。 読み終わってから再確認でパラパラ読み直したけど不思議だな…。 ことの発端は、ある日竹輪の穴から人を覗き、覗いた人が次々に亡くなったことから始まる。 殺意を持って竹輪の穴を覗くだけで人が殺せるなら苦労はない。 読み進めると死体に穴を開けて祈祷を行う民間伝承の秘拷穴(ひごうけつ)を元に竹輪(魚の擂り身⇒魚の死体)でも出来るようになったと言う位置づけ設定。 "亀甲占い"は別の小説でも出てきたから知っていたけど、それを更にひねった考え方は面白いな。 短い話なのでサクッと読めるけど、読み終わっても完全にはスッキリしない感じのストーリー。 村田沙耶香さんとか、小川洋子さんの作品が好きな人ならオススメできるかな。
Posted by
斬新でおもしろかった。 デスノートのちくわ版だ!こっちはフルネーム知らなくても使えるから便利!笑 第二章のインタビューでそういうことか、と思ったら第三章の最後でやっぱりチクワなの?!と不思議な小説だった。
Posted by
インパクトのあるタイトルと表紙に惹かれて購入。 ミステリーのような、ホラーのような…… と思えば、ギャグっぽい要素も感じる。 200ページほどでサクッと読めたので、個人的にはホラーを読んだ後の気持ち的な後残り感は無かったかな。
Posted by
以前このタイトルを見てからというもの、気になって気になって仕方なかったこの本。チクワ・サスペンスとはいかなるものか?そしてチクワに殺されるって…HOW?ある男の手記で物語は始まった。先に言うとその男は首を吊って死んでいるのだが。内容はちくわを覗いて対象を見ると、その対象の死に様が...
以前このタイトルを見てからというもの、気になって気になって仕方なかったこの本。チクワ・サスペンスとはいかなるものか?そしてチクワに殺されるって…HOW?ある男の手記で物語は始まった。先に言うとその男は首を吊って死んでいるのだが。内容はちくわを覗いて対象を見ると、その対象の死に様が見えて死んでしまうと。デスノートならぬデスチクワとでもいうべきか。そして第二章ではその娘へのインタビュー、最後は小説の断片として描かれる。最後が少しややこしい。サクッと読めて思わずチー、クー、ワー!と叫びたくなるような読後感…は?
Posted by
題名通りだった笑 作者の思惑通りのミスリードに引っ掛かります。 オカルトと思ったらただの妄想だったのか、と思ったらやっぱりオカルトなんだって、うまく騙された感じ、面白い。 とはいえ、安易なオカルト落ちに逃げる事なく、ミステリーとオカルトのバランスも良かった。 無駄が少なく淡々と進...
題名通りだった笑 作者の思惑通りのミスリードに引っ掛かります。 オカルトと思ったらただの妄想だったのか、と思ったらやっぱりオカルトなんだって、うまく騙された感じ、面白い。 とはいえ、安易なオカルト落ちに逃げる事なく、ミステリーとオカルトのバランスも良かった。 無駄が少なく淡々と進む感じは好き、頁数の割りに濃密なのもそのせい? 世にも奇妙な物語とか、そっち系が好きな人にオススメ。
Posted by
イヤミス、ホラー、オカルト、猟奇、狂気…苦手要素が満載…でも一番怖いのは、チクワを普通に見られなくなりそうなことかもw 要素の割に読みやすかったのは展開が無駄なく早いからかな。頁数の割に濃密。凄い。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
軽〜いホラーミステリーを読みたいときにちょうど良い作品。 チクワという響きが怖さを半減させてるけれど人の亡くなり方は悲惨でそのギャップに混乱する。(良い意味で) 結局、“チクワに殺される”は本当で一番ヤバいのは娘だった。 フリーライターの岡嶋が「チクワ娘って何ですかぁ!」って言ったのはちょっと笑った。 私も思ってたので笑 人の死が見えたチクワはちょっと食べたくないなぁ…笑
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
題名に惹かれ、衝動買いしてしまった一品。 3章に分かれ、第1章はチクワの輪を見て他人を死に至らしめてしまう事になった中年男性の悲劇が1人称で語られ、第2章、第3章で徐々にその謎が解き明かされていく。 設定自体が中々思い着かないものなので突っ込みどころは満載ではあるが、日常的にあるチクワからここまでストーリーを展開させたのは興味深かった。 最終章の後半までは何とか強引に論理的に進めようとしていた感はあるが、最後の展開に関しては?がついてしまったので気持ちの落とし所が難しかった作品である
Posted by