虚史のリズム の商品レビュー
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dadaの氾濫に導かれ大著に手を伸ばす 大東亜戦争敗戦後の日本に有象無象が蠢く 登場する人物は四人の女性はじめ皆魅力的だ 探偵が狂言回しとして恋に冒険に奮闘努力する 物語は未来を予知した謎文書を中心に回る 隣の次元の書物が捲られるあたりから狂気が溢れでる 人間は鼠集合体となり、主人公は戦争の泥沼から抜けられないはぐれ鼠となる 人間になり象徴となった天皇の代わりに、国家民族を信仰する集団は本物の天皇を迎えようとする 儀式は溢れる死者の声で埋もれる 自決した者はあちらの世界に行ったのだろうか 最後に霧子が顔を出すのが嬉しい
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初めての作家奥泉光。何という筆力か! ジェットコースターに乗せられたような感覚に、これは何の本だ? 1095ページのどこをとっても密度濃く、頭の中にモヤモヤっとしたものが渦巻く。 日本の戦後史と見えるがSFのようでもある。もちろん探偵小説でもあって登場人物が生きている。 読み始め...
初めての作家奥泉光。何という筆力か! ジェットコースターに乗せられたような感覚に、これは何の本だ? 1095ページのどこをとっても密度濃く、頭の中にモヤモヤっとしたものが渦巻く。 日本の戦後史と見えるがSFのようでもある。もちろん探偵小説でもあって登場人物が生きている。 読み始めてすぐ、これは大変な読書になると予感したが、9日かけて最後の1ページにたどり着いた。 大きな仕事を成した感がある。
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偶然出版されてすぐに本屋さんで並べられているのを見て、ずっと気になっていた奥泉光先生の作品+かっこよすぎる装丁+紹介文の秀逸さのコンボにやられてしまった。 読み始めると戦後の日本が舞台で、ある夫婦の殺人事件について追っていく話が始まり、本の見た目とは裏腹に小さな事件をどんどん解決していくようなお堅めの小説なのかと思っていた。 しかしそんな予想はすぐに裏切られ、「K文書」なるものや、怪しげな宗教、夢なのか現実なのかわからない世界に迷い込んだり、dadadadadadadadaのリズムが聞こえ始める。 それらに心をガッチリ捕まれ、さらに読み進めて行くとさらに大きな「企み」が分かってきて、、ラストまでdadadadadadadadadaと共に突っ走っていく。 初の1000ページ超えの作品、初の奥泉光作品ということでより思い出に残る読書体験となった。 この分厚さでもまた読み返したいと思わせてくれる最高にツボな作品でした。
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テーマもページ数も分厚い力作。不穏な空気を垣間見せながらも、軽妙な石目の章を織り交ぜながらなので、単なるミステリーかとも思わせるテンポで延々と話が進んでいく。かなりの終盤になって物語は一気に混沌の度合いを増し、虚構と現実の並行世界を体感できる。 とにかく文章が抜群に上手いのでいつ...
テーマもページ数も分厚い力作。不穏な空気を垣間見せながらも、軽妙な石目の章を織り交ぜながらなので、単なるミステリーかとも思わせるテンポで延々と話が進んでいく。かなりの終盤になって物語は一気に混沌の度合いを増し、虚構と現実の並行世界を体感できる。 とにかく文章が抜群に上手いのでいつまでも読み続けていられるけれど、並みの文章力でこの話を読まされたら「なんじゃこりゃ」になってしまうかもしれない。K文書や第一の書物のことなどを始めとして、様々な謎がスッキリと解消されずにモヤモヤが残ってしまった。 石目とか橿原いう名前に既視感があったのですが、これは「神器」とリンクしている作品なのでしょうか?(的外れだったらごめんなさい。「神器」の記憶は相当あやふやなのですが) 昨今の日本の状況を見るにつけ、真の日本を欲した教団の人々の気持ちもわかるような気がするのはなんとも複雑な気持ちにさせられました。
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メインストーリーはGHQ占領下の日本を舞台に元中将夫妻殺害事件の謎に迫るミステリだけど、そこにオカルト、宗教、天皇制、夢幻的展開、小説表現の遊びなんかがこれでもかって程詰め込まれて1095ページあるけど最後まで全然飽きない。続き物ではあるけど単体でも面白かった。
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