メトーデ 健康監視国家 の商品レビュー
不健康でいることさえ犯罪となった完全管理社会。その中で不可解な事件を追う主人公のサスペンス。社会に属するものは健康であるべきという公の思想と、個人は愚行権を行使する自由を有するという対立の未来を描いたディストピア小説。
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健康であることが個人の権利ではなく義務となった超健康管理監視社会「メトーデ」で弟の事件をきっかけに転落していく女の物語。 弟の起こした事件の真相がだいぶ早い段階で予想がつく程度のカラクリ、さらにメトーデがどれほど大衆の生活に国家宗教レベルで根付いているのかの描写が少なかったせいで、あまり世界観に没頭できなかった。そのままストレートバッドエンドな展開かと思わせておいてのひねりの効いたバッドエンドは良かった。翻訳小説ならではの読みづらさがある。
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体にチップを埋め込まれ医療は充実しているが健康であることを強要される社会. 弟モーリッツの追い込まれた自殺によってショックから立ち直れないミーアは当局から目をつけられ,どんどん体制権力によって存在を否定されていく.そのプロレスが怖い.
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2009年ドイツ発刊のSF小説の翻訳本。 コロナ禍で部分的に表面化した問題点として、社会は年々健康至上主義的に変化している。その究極的な仕組みの中で“健康”とは市民の権利ではなく、人間としての義務にすり替わり、健康違反者は犯罪者として扱われる。 医者・医療が時に警察や裁判官のよ...
2009年ドイツ発刊のSF小説の翻訳本。 コロナ禍で部分的に表面化した問題点として、社会は年々健康至上主義的に変化している。その究極的な仕組みの中で“健康”とは市民の権利ではなく、人間としての義務にすり替わり、健康違反者は犯罪者として扱われる。 医者・医療が時に警察や裁判官のように描かれるのは現実世界でも存在するシーンでもあり、“医療の警察化”作品中では皮肉的に描いているように見えた。 また、宗教を失って、神の地位を健康と科学が占めた世界(現代が益々それに近付いているが)では、健康や科学に反したり、説明できない事項は非理性人として社会から隔離される。 「私の身体」は“私のもの”なのか“国家のもの”なのか。自分に関する様々な情報が国家に管理される管理社会への警鐘。
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