越境 の商品レビュー
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本の雑誌・年間ベスト。本作なんて、完全なエンタメ作だと思うんだけど、芥川賞作家なんですね。意外。とはいえ、特に導入部分の、改行や会話文が殆ど無い、びっしり埋め尽くされた字とか見ると、なるほど、文学だなって思えたりもする。舞台は、ロシアが進行し、無政府状態になった北海道。当然、ウクライナの被害が頭を掠めるんだけど、ひょっとしたらあり得たパラレルワールドを垣間見るみたいで、何とも不気味。最終、闘争の原因は核であることが判明し、なんと、その炸裂をもって物語が閉じられる。同部の描写は”はだしのゲン”そのもの。あな恐ろしや…。戦争反対。
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戦闘や壮絶な描写が延々と続き読んでると大変疲れます。これは北海道の騒乱というより、仮想近未来の日本人や極東を取り巻く思想の戦いを描きたかったのかなと。危機感と国民に対する誠実な政治がどこまでも重要である、と言うのが主題かもね。H県とか米とかホンマに大丈夫なん?
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どうやら北海道北部はロシア軍の侵攻を受けた後のようでらる。どうやら入木2尉は自衛隊員ではあるようである。どうやらそのイリキが属している隊はもはや日本政府の自衛隊指揮下にはなく、北方自衛隊として見捨てられているようである。どうやら北海道にとどまっている侵攻軍でさえもロシア国からは邪...
どうやら北海道北部はロシア軍の侵攻を受けた後のようでらる。どうやら入木2尉は自衛隊員ではあるようである。どうやらそのイリキが属している隊はもはや日本政府の自衛隊指揮下にはなく、北方自衛隊として見捨てられているようである。どうやら北海道にとどまっている侵攻軍でさえもロシア国からは邪険にされているようでもある。てなことで、この前作の『小隊』を読まずしてはシチュエーションが珍紛漢紛であり、私の「どうやら」は最後まで「どうやら」のままである。すなわち、誰が味方で誰が敵であるのかさえわからずして虚しく読了となった。
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北海道がロシアに侵攻される しかしロシアが侵攻部隊を反乱分子として切り捨てたことによって、応戦した自衛隊は不法入国者に対する違法な攻撃とされてしまう その後戦場となった北東部はロシア残存兵、あくまでも交戦した一部の自衛隊、取り残された市民、海外から密入国する者達からなる無法地帯に...
北海道がロシアに侵攻される しかしロシアが侵攻部隊を反乱分子として切り捨てたことによって、応戦した自衛隊は不法入国者に対する違法な攻撃とされてしまう その後戦場となった北東部はロシア残存兵、あくまでも交戦した一部の自衛隊、取り残された市民、海外から密入国する者達からなる無法地帯に 日本政府も国民もこれらの人と地を穢れたものと切り捨て、自分たちの正常性を保とうとする 正常側にいた自衛隊員の主人公が操縦するヘリが作戦中に被弾し、無法地帯に取り残される そこでは生きること自体の見方が180°違うほど異なる論理で物事が動いている 今まで見ていた世界は何だったのか? 体制の都合で容易に切り捨てられる人々と、体制の都合に迎合して安寧を保つ人々 国を守るために戦って切り捨てられた人々と戦闘した人を穢れたものとして切り捨てた人々 フィクションでありながら現代のリアルを抉り出している作品です
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読み進めるのが苦痛になった作品。芥川賞を取った方の作品なので(勝手な思い込みだが)もっとこなれた文章を期待していたが、読んでいても情景が浮かんで来なかったのが残念。
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p42 官品 自衛隊から隊員に支給される物品 親も自衛隊である隊員のことを支給品になぞらえてそういう p243 闘いは自由意志を有する2者間の抗争である p385 反抗が許されるのは安全が担保されている時だけだ p391 ある人間の行動を完全にコントロールするなんて無理な...
p42 官品 自衛隊から隊員に支給される物品 親も自衛隊である隊員のことを支給品になぞらえてそういう p243 闘いは自由意志を有する2者間の抗争である p385 反抗が許されるのは安全が担保されている時だけだ p391 ある人間の行動を完全にコントロールするなんて無理なの。でも、人間集団の中には共振性というやつがあって、言語、婚姻制度、慣習や成文法に対する信頼性とかそういうものに対する一体感の強い集団ほど、より強く共振するの。絆だとか伝統とかナントカといって、結束すればするほどに過激だったり異常な行動は目立つs地排斥される。排斥に対する反動はより強くでてきて、あとはこれが無限に続いていくんだよ p396 あらゆる人格はそれぞれ一つの牢獄である ニーチェ p396 占有は、その空間や対象を維持するコスト以上に高い収益が得られるときに発生し、共有はこれから得られるものがそう多くないからこそ広く利用者に開かれ、それ故維持管理のコストを徴収せずに運営されるのではないか? p399 人も街も、使っていないところは腐る
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『ブラックボックス』、『小隊』と作者の小説を読んできたがいつも通りの内省的な文章と独りよがりの社会分析が心地よかった。基本的に私も同じような思考回路なんだろう。 今回の舞台は『小隊』の10年後。ロシア反乱勢力、自衛隊くずれ、分類不可能な反社などが入り乱れてのカオス状態になった北海道。カオスは最後までつづき救われない未来が現在の北海道のほんの少し先に待っている。 ただ、死なないスーパーマンが主人公以外にもいるのが何でもありに思えて不満だった。
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【ロシア軍侵攻から10年後の北海道】元自衛官の芥川賞作家が、『小隊』に続き描く迫真の軍事小説。主人公は、ロシア軍の侵攻で生じた無法地帯から逃げ延びられるのか
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