中学生から知りたいパレスチナのこと の商品レビュー
直感的に、イスラエル≒大日本帝国、ガザ≒満洲、と繋げて考えていたけれど、これほど相似形だとは…と驚いたし、勉強不足を痛感。 もちろん、人はあらゆることに詳しくはなれないけれど、歴史から学べることは多く、それをないがしろにしたところに暴力の繰返しが起き続けているのだなと考えさせられ...
直感的に、イスラエル≒大日本帝国、ガザ≒満洲、と繋げて考えていたけれど、これほど相似形だとは…と驚いたし、勉強不足を痛感。 もちろん、人はあらゆることに詳しくはなれないけれど、歴史から学べることは多く、それをないがしろにしたところに暴力の繰返しが起き続けているのだなと考えさせられました。現代の必読書だと思います。
Posted by
ガザで起きていることが、ユダヤ教とイスラム教の宗教対立として習うことが多い気がするが、植民地主義による見えにくい長期の暴力が起こっているという話が続く。「憎しみの連鎖」などと語りを縮小させる言葉で我々は情報を見ている。そのこと自体に疑問を感じるスタンスでいなければならないと思え...
ガザで起きていることが、ユダヤ教とイスラム教の宗教対立として習うことが多い気がするが、植民地主義による見えにくい長期の暴力が起こっているという話が続く。「憎しみの連鎖」などと語りを縮小させる言葉で我々は情報を見ている。そのこと自体に疑問を感じるスタンスでいなければならないと思えた。また、食料収奪の観点からの議論など、問題に対するアプローチがなるほどと思えるものだった。 「記憶の文化」Erinnerungskulturの話は大学の頃に学び、過去の克服として、過ちにしっかりと向き合うという姿勢を貫く良いことだと思っていた。しかし、イスラエルの行動を追認する立ち位置で、改めてこの言葉が問われることになっているという状況も踏まえて、自分の頭の中のイメージのアップデートが必要だなと思わされた。 ガス室のないホロコーストのようなもの、という趣旨の話をどう考えるべきか。テレビの中のオリンピックと同じ世界・時間帯の話なのだなと複雑な気持ちが消えない。 =============== 歴史の記録や記憶の場ーー歴史的なモスクや教会、博物館、図書館、文化センター、その他もろもろーーが狙われ、瓦礫にされています。ガザを歴史的真空地帯にすることで、そこに生きてきた者たちから、自分たちがその土地、その歴史に根差す「パレスチナ人」であるという歴史性、政治的主体性を奪することが目的です。「パレスチナ人」という歴史的・政治的存在そのものを地上から消し去ろうとしているのです。 これが今、ガザで起きていることです。(p.5) 日本の主流メディア、企業メディアの報道は、パレスチナ系アメリカ人の文学研究者エドワード・サイードが批判する「カバリング・イスラーム」(中東やイスラーム世界で起きる出来事を「報道することを通じて、むしろ積極的にその内実や本質を覆い隠してしまう」こと)を文字どおり体現したものとなっています。 典型的なのは、問題の歴史性を消し去って、「憎しみの連鎖」とか「暴力の連鎖」という言葉に還元してしまうことです。このような語りは、問題の根源にある、イスラエルによる暴力の歴史的起源を問わないで済ませるための詐術です。また「イスラエルとパレスチナ紛争には複雑な、非常に入り組んだ歴史がある」といってお茶を濁すことも、同じく問題の歴史的背景を語らないための方便です。
Posted by