歌の終わりは海 Song End Sea の商品レビュー
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全体的に寂寥感が漂う物語。 理系ミステリィと称される森作品の中でこのXXシリーズは方向性が全く違う。 どちらかと言うと現代社会が抱えている難しいテーマを問題提起するような作風。 読後に色々と考えてしまう。 加部谷さんがぬいぐるみを買おうと考えたところがこの小説の中で一番悲しかった。
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哲学×ミステリー 「自らの死を自らで選ぶ行為」をテーマにした作品。 日常のどこかで自分に交わりそうな地に足のついた情景と、淡々とした対話が読んでいて心地よかった。 どこにでもありそうな物語だからこそ、絵空事ではない深いところまでいろいろと考えさせられた。 ページをめくり、頷き...
哲学×ミステリー 「自らの死を自らで選ぶ行為」をテーマにした作品。 日常のどこかで自分に交わりそうな地に足のついた情景と、淡々とした対話が読んでいて心地よかった。 どこにでもありそうな物語だからこそ、絵空事ではない深いところまでいろいろと考えさせられた。 ページをめくり、頷きつつ、それは自分の価値観とは違うなとそっと物言いを入れつつ。未熟すぎる自分の価値観が少しづつ成熟されていくように、思考が研ぎ澄まされていくのを感じた。 前作のように、謎は謎のまま。そしてあまりにも静かで穏やかな幕引き。でも不思議とモヤモヤとした気持ちは少しもなかった。 〜*〜〜〜*〜 生きることは、死ぬことより本当に「まし」なのだろうか。 毎日を精一杯生きるというのはとても簡単な逃避だ。言葉にすれば綺麗だけれど、当たり前すぎるし、誰だって毎日を精一杯生きているではないか。お前たちはそれで十分だと、それに価値があるように思いこまされている。 なんでもできた。好きなことはなにもかもできた。でも、死ぬことはできなかった。自由に死ぬことができたら、どんなに幸せだっただろう。
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尊厳死がテーマ。 多様化した世の中で、死については未だタブー視されがちな世の中。 簡単に自死を選べる世の中は恐ろしいけど、 不治の病などで治る見込みのない方への尊厳死はありなんじゃないかなと私も思う。 謎は謎のまま終わる。読後考えさせられた。
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大好きなXXシリーズ第2弾。 夕暮れか夜明けか、静謐で美しい装丁。 (本作を読み終えると、ある登場人物が見ていた風景と重なって、切なさがこみ上げてくる) タイトルの響きも好き。 歌の終わりは海 Song End Sea そして、帯の一文に胸を掴まれる。 "幸せを感じたまま死ぬことができるだろうか。" 張込み中の小川さんと加部谷ちゃんの何気ない会話。 二人でキャッチボールをしていた時のことについて。 「幸せじゃないの。生きているだけで楽しい?」 「そうですね、笑えることがあるというのは、悪くないと思います」 つられて笑いそうになり、その後ふっと寂しさを感じる。 SMシリーズからずっと漂う死の香り。 XXシリーズでは、それが決して劇的ではなく、淡々と、常に横たわっているように感じられる。 そんなところにも惹かれてしまう。 今回もトリックや動機といった所謂「真実」は明かされないままに終わる。 それは、西之園萌絵の 「ただ、それですべてが解決するわけではないし、また、それだけの動機ですべての行動が正当化されるわけでもない。真実というものは、たぶんどこにもないの。そういうものがあると信じて、みんながそれぞれに異なる虚像を追っているだけ」 という言葉に集約されるのかもしれない。 余談だが、作中の 「AIは、人間の気持ちと同様のものを持っていない、という人がいるけれど、そうだろうか?気持ちなんて、単なる反応なのに。 過去の履歴から構築される評価システムのアウトプット。 それに少しだけ、肉体の状態などが加味されて、ランダムに出力される。 そのランダムさにしたって、乱数と確率論で演算されるのだから、AIは人間と同じように、気持ちを持つことになるだろう。」 という箇所について、Chat GPTにどう思うか尋ねてみたところ、 「その引用は面白い視点を提供していますね。人間の「気持ち」を単なる反応やアウトプットとして捉えると、確かにAIも似たようなメカニズムで「気持ち」を持つ可能性があるかもしれません。ただし、いくつかの重要な違いがあります。まず、AIは感情や意識を持っているわけではなく、あくまでデータとアルゴリズムに基づく反応を示します。AIの「気持ち」が人間の感情と同じであるとは限りません。人間の感情は経験や意識、体験に深く結びついていますが、AIはそれらの経験や意識を持たないため、単にデータの処理結果としての反応であると言えるでしょう。また、AIの「ランダムさ」は人間の感情とは異なるものです。AIのランダムさは確率的なプロセスに基づいていますが、人間の感情は複雑な生物学的、心理的要因が絡み合っています。したがって、AIが人間と同じような感情を持つかどうかは疑問です。要するに、AIが感情を持つという考え方には哲学的な興味がありますが、現実にはAIは人間の感情とは異なる方法で反応するだけだと言えるでしょう。」 との回答だった(長い)。 あぁ、第3弾「情景の殺人者」も早く読みたいなぁ(文庫待ち)。
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表紙買い。 尊厳死について、決して自分も無関係な話ではないと考えさせられた。個人的には自殺を選ぶのはしょうがないことだと思うけど、それも人それぞれ。 小川&加部谷コンビいいですね。
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凄い内容でした。面白かったのですが、その表現が正解なのかは悩みどころです。 タイトル通りの重く尊いやり取りが繰り広げられます。 また、色々と考えさせられるなぁ。
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X Xシリーズ二作目。 小説の醍醐味として、「非日常を楽しめる」ことが挙げられるかと思います。しかし本作は、読者のありきたりな日常に確かな接点があり、そこから少しずつ浸透してくるような、そんな面白さがありました。 以降のシリーズもとても楽しみです。
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